2025年1月27日(月)「未利用魚・ヌタウナギ」
今日の豊田はほぼ曇り。
朝の最低気温は0℃、日中の最高気温は11℃迄しか上がらず。
先週土曜日から実家戻りしてます。31日(金)迄は愛知県滞在予定です。
先週土曜日からは二十四節気・大寒の次項、七十二候の「水沢腹堅(さわみずこおりつめる)」(沢に氷が張りつめる時季)となっています。まぁ、今が1年のウチでも一番寒い時季と言うコトなのでしょう(実際、統計的に見ても最低気温を記録するのはこの水沢腹堅の時季が一番多いのだとか)。さて、
先週末は「醗酵飲料(焼酎)・東京島酒」についてお届けしましたが、本日は「未利用魚・ヌタウナギ」についてお伝えしたいと思います。
ヌタウナギ(沼田鰻)。
名前からすると、何となくヌタヌタしたウナギかと思えますが、このサカナは深海に棲むニョロニョロ系ではあるものの、ウナギの仲間ではありません。生きた化石系の古い系統の生き物でありまして、ヌタウナギ目ヌタウナギ科ヌタウナギ亜科ヌタウナギ属に属する魚です(一説によると、魚類ですら無いとの説も(笑))。
このおサカナは、日本では東北地方から九州の割と広範囲に、そして水深の深いトコロに棲息しているようです。そもそも深海漁をやっているフネが少ないコトもあり、また日本では食材としての需要が殆ど無いコトもあって(とは言え、秋田等一部地域では食用として活用されている)、市場に出回るコトは殆ど無いようではあります。が、過去に豊洲市場や築地場外でも見掛けたコトはあります(一体誰が買うんだろうか?韓国料理屋かな…)。
このサカナの特徴としては、深海に棲むと言うコトもあって目が退化してて眼球には水晶体が無かったりもして相当な弱視か見えてない状況にあるコト、そしてもう一つがヌタ(粘液)。体側には粘液の放出孔がズラリと並んでいて、危険を察知するとこの放出孔から大量のヌタを振り撒くんです。コレによって敵をヌタによって窒息死させたり、敵を遠ざけたりする効果を持っているのだとか。以前焼津は小川港の深海専門漁師の長兼丸さんに乗せて貰った際にこのヌタウナギも戴いて来たコトがあり、家で捌く際に往生しました(笑)。もう際限なくヌタが出て来て、排水溝が危うく詰まりそうになったホド出るわ出るわ。死んで暫く経った個体だと言うのに。一体どういう構造になっているのか、不思議なホドに出てくれました。アレにはホント驚かされましたねぇ。
従い(?)、この大量のヌタ発生によって漁網やフネに悪影響を及ぼすのみならず、漁獲したサカナの商品価値迄も落としたりするので、漁業関係者には大変嫌われ、厄介者扱いされているのだとか。
ただ、も一つオモシロいと思えるのはイールスキン(Eel Skin)。韓国土産なんかでイールスキンの財布なんてのがあったりしますが、そのEelの皮ってのがフツーのウナギのモノではなくて、このヌタウナギの皮であるってコト。動物愛護の観点からフェイクファーが多くの分野で利用されている昨今の状況下では、このイールスキンの活用も一つの方法論でもあるかも知れません(フェイクファーについては、石油化学製品でもあるコトもあってSDGsの観点からは議論の余地はあるようですが)。
ヌタウナギは上述の通り日本ではやや嫌われモノ感があり殆ど食べられないのですが、韓国では割とポピュラーな存在でありまして(ウナギ等と同じで、食べると精が付くとの信仰(?)あるようです(笑)。韓国語では꼼장어(コムジャンオ))、ソウルには専門店もあるホドです。朝鮮半島南部の港町である機張(キジャン)や釜山(プサン)なんかでは、コムジャンオ屋台がズラリと並んでいたりするトコロもあるホド。大抵は、ヤンニョムだれをたっぷり塗りたくって焼く、或いは素焼きの何れかかな。まるでモツ(ミノ)食ってるようなくにゅくにゅ、そしてブリンブリン感あって、ソジュ(韓国焼酎)にも合う。中々に、美味いモンです。
釜山最大の魚市場であるチャガルチ市場なんかに行くと、沢山活きたヌタウナギが売られていて、オモシロいのは国産モノは(当時)キロ30,000ウォン(約3,000円)に対して、アメリカからの輸入モノはキロ18,000ウォン(1,800円)。国産モノは黒っぽく、アメリカ産は白っぽかったかな。矢張りドコの国でも国産信仰と言うか、国産モノの方が貴重なんですかね(日本からも相当韓国には輸出してるみたいだけれども、日本モノのヌタウナギは見たコト無かったなぁ…)。
ま、中々手に入らない食材ではありますが(コレ専門に獲ってる漁師もおられるようです)、一度位は食べてみても良いサカナかも知れません。
明日は「有害鳥獣・改めて、有害鳥獣駆除活動について」をお届けしたいと思います。