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2024年9月24日(火)「醗酵飲料・日本の醗酵茶」

今日の東京はほぼ晴れ。
朝の最低気温は19℃弱、日中の最高気温は24℃迄しか上がらず。流石に涼しいですね。相当久し振りにクーラーを全く付けず、扇風機も回さなかった一日となりました(笑)。いよいよ、秋の到来ですかね。流石に朝の20℃割れは涼しく、早朝のお散歩もとっても清々しいカンジです。さて、

昨日は「二十四節気・『秋分』の時季のメニュー(案)」について書いてみましたが、本日は「醗酵飲料・日本の醗酵茶」についてお届けしたいと思います(冒頭地図はコチラから拝借しました)。

居酒屋をやるんだから、ノンアルなんて置かなくても!?とのご意見はあるのだろうとは思うのですが、流石に今の時代(ハードコア系?=ノンアル拒絶(笑)に徹すると言う選択肢も無いでは無いのですが)ノンアル系を置かないと、その分の機会損失にも繋がりかねないので、やっぱノンアル系も置くべきだな、と考えています。
ソレもあって、以前にはノンアルコールビールなんかも色々と試飲したりしてみたワケですが、今回はソレ以外。

お茶と言う世界は、コレまた大変に深淵なる世界でありまして、今の流行りコトバで言えば「沼」が広がっている世界でもあるワケです。そんなお茶世界の中でも、やっぱり醗酵系には多少拘ってみたい。

お茶と言うモノは大きく分けて緑茶を代表とする非(不)醗酵茶と、ウーロン茶を代表とする醗酵茶に分類されます。尚、通常お茶の場合の醗酵は、微生物等による醗酵ではなく、酵素による酸化を指しているようです。
更に分類すると、ウーロン茶のような半醗酵茶と、紅茶を代表とする(完全)醗酵茶に分類されます。
更に更に分類すると、醗酵茶の中にはフツーの醗酵茶と、プーアル茶を代表とする後醗酵茶と言うのがあります。中々に、ヤヤコシイですね。

夫々何が違うかと言うと、非(不)醗酵茶と言うのは、正にお茶畑からお茶っ葉を摘んで来て、その茶葉が醗酵しないように、茶葉を加熱(蒸す・煮る・炒る等)するコトで醗酵(=酸化)の原因となる酵素の活性を止めて作られるのが緑茶であり、フレッシュな香りやら苦味やら渋味やらを味わうコトが出来、鮮やかな緑も愉しめる、と言うモノです。
次に醗酵茶。原料は緑茶と同じ。その中でも、半醗酵茶は摘んだ茶葉を干し、ある程度(半分位?)醗酵させたトコロで加熱するコトで酵素の活性を止め醗酵を途中でヤメたモノ。緑茶に比べると、苦味や渋味がなく、少々茶色く色付き始めた頃に醗酵を止めているので、黄褐色をしているのが特徴的(ウーロン茶なんて、正にコレですよねぇ)。ポリフェノールが含まれてたりして、降血圧降下やら、血中コレステロール上昇抑制効果なんかもあるようですね。
そのお次は(完全)醗酵茶。紅茶が代表選手です。コレは半醗酵茶が酵素の働きを途中で止めていたのとは異なり、最後まで醗酵させてしまったモノです。ソレにより芳醇な香りや新たな渋味が生まれたりして、またお茶っ葉も赤褐色になっちゃったりして、ソレはソレで魅力的なお茶になる、と言うワケです。
最後に、後醗酵茶。コレは、他のお茶と違っている最大の特徴は、麹菌やら乳酸菌等の微生物を利用してホントに醗酵させて作るお茶だと言うコト。代表選手としては、中国は雲南省で作られているプーアル茶、ですね。
だから、飲み口としては少々酸味があったりする。

ただ、後醗酵茶と言うモノは世界的にもそんなに沢山あるワケではなく、一番有名なのはプーアル茶なワケですが、日本にも絶滅危惧種的な後醗酵茶が、幾つかはあるようなんです。
どうやら、現時点で日本にある醗酵茶は4種。
高知は大豊町碁石茶、徳島は上勝町阿波番茶、愛媛は西条市石鎚黒茶、富山は朝日町バタバタ茶、ですかね。

夫々のルーツを辿ってみると(と言うホド辿り切れてませんが…)、コレらの日本の後醗酵茶のルーツは現在の中国雲南省とかミャンマー国境辺りじゃないか、と言う説があります。こりゃあ、オモシロい。あの辺(雲南省近辺やミャンマー)ではお茶っ葉を漬け込んで漬物(?)にして食していたらしく(今でもその食文化は残っているみたい)、ソレを当時の倭寇前期倭寇でしょう、多分)が日本に持ち帰って伝えた、と言うのが伝来ルートとのコト。倭寇の一部は瀬戸内海の塩飽諸島をベースにしていた集団もあったようなので、四国にソレが広まったと言うのも、あながち荒唐無稽な説でもありますまい(空海が伝えたと言う説もあるようですし、自然発生的に出来たモノと言う説もあるようですが)。何れにせよ、ロマンのあるおハナシではありますね。

今回は、そもそもNHKの「小雪と発酵おばあちゃん」で石鎚黒茶の番組を観て、ああコレも醗酵飲料の一つなんだな、と思って調べ始めたのが切欠でした。が、中国歴が比較的長い自分にとっては醗酵茶としてのウーロン茶やプーアル茶はある程度身近であっても、日本にも醗酵茶があるなんて、知らなかったと言うのが正直なトコロです。

で、日本の4つの後醗酵茶、タイのミャン(?)は以下の製造工程で作られているようです。コチラのHPに掲載されていた図が非常に分かり易かったので拝借しました。

世界的にみても二段醗酵の後醗酵茶は碁石茶と石鎚黒茶の2例のみ!

阿波番茶の場合は木桶への漬け込みによる乳酸醗酵1回のみなので一段醗酵、碁石茶と石鎚黒茶の場合は蒸したアトに真菌(カビ付け)による醗酵の後に木桶への漬け込みによる乳酸醗酵の2回を行うので二段醗酵のお茶だと言われてて、コレは世界でもこの2つでしかやられていない製法なのだとか。オモシロいモンです。
ココで言う漬け込みをする際の醗酵と言うのが、乳酸醗酵なんですね。お茶っ葉についている乳酸菌や酢酸菌が空気を遮断された木桶の中で雑菌を抑えて増殖、乳酸醗酵させるコトで一種独特の香りと酸味を醸し出す。
実際飲んでみると、ほんのりではありますが、乳酸醗酵特有の酸味が感じられるんです。

この間行った「発酵デパートメント」で売ってたので、買ってみた。
碁石茶の由来。
コレだけ取ってみても、碁石のようには見えませんが…(笑)。
お茶の色はプーアル茶のようでもあり、ほんのりと乳酸醗酵の酸味が感じられました。

ただ、コレら日本の醗酵茶は生産者が少なく、上述の通り絶滅危惧茶になってしまってるんですよね(ネットで買うコトは出来ますが)。大事にしたいモノです。

明日は「未利用魚・シナノユキマス」についてお届けしたいと思います。

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