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ゆゆ式で情報処理について学ぶ (2023年12月号より)

■まえがき

 2年ぶりです。

 毎回4コマを描かせていただいてましたが、今回は情報処理部つながりで情報処理について語らせていただきます。私も今年の10月に情報処理安全確保支援士に登録されたので、胸を張って語ります(えっへん)。
 一部、きらら本誌のネタバレを含みますのでご注意ください。

■2023年12月号のゆゆ式

 2023年12月号に発売されたまんがタイムきららに掲載されたゆゆ式において、最後の4コマで情報処理に関するネタが描かれています。ざっくり流れを書くと
(1) おかーさん先生以外に秘伝の先生(架空)が顧問で存在する流れになった
(2) ゆずこは秘伝の先生宛に秘伝のメッセージをモールス信号で残した
(3) それを見たおかーさんが頑張って解読した

解読成功!

という話です。酔拳使いのすいちゃんを思い出しますね。

■なぜ失敗したのか?

 ゆずこは秘伝の先生だけにメッセージを送りたいからモールス信号で「かくれてないででてきてください」と書きましたが、おかーさんにバレてしまいました。何がいけなかったのでしょうか?
 なぜならば、モールス信号はルールを知っていれば誰でも解読できてしまうからです。もちろん普通の人はルールを知らないわけですが、おかーさんはホワイトボードを見て「これはモールス信号」だと理解し、スマホを駆使して解読できてしまいました。

■符号と暗号

 情報処理において第三者に情報を漏らさないように通信する際、「暗号」を使います。ルールに則って情報をデータに変換するだけでなく、通信相手と共有した「鍵」と呼ばれるデータも用いて元のデータをぐちゃぐちゃにすることで第三者に内容が漏れないようにできます。(厳密には暗号の機能は他にもいっぱいあるのですが、長くなるので省略します。)
 一方、ルールに則って元の情報を別の通信しやすい形式に変換するのは「符号」という技術です。モールス信号ももちろん、今皆さんが画面で見ている文字も計算機の内部では0, 1のデータ(符号)になっています。ただ、ルールさえ知っていれば0, 1のデータからどんな文字かわかります。例えば「yuyushiki」をUTF-8で変換すれば
y : 01111001
u : 01110101
y : 01111001
u : 01110101
s : 01110011
h : 01101000
i : 01101001
k : 01101011
i : 01101001
といった感じです。ちなみに、このような変換は「情報源符号化」と呼び、この0, 1を通信で送る際には雑音への耐性を持たせるために「通信路符号化」と呼ばれる処理を行います。インターネット等の実用的な通信においては、これらの処理の前後にも様々な技術が詰まっているんですが、とっても長くなるのでここでは省略させていただきます。

■ゆゆ式における情報処理

 長々と情報処理に語ってしまいましたが、ゆゆ式においては「情報処理」について話題になったり部活テーマとして設定されたりすることはめったにありません(私含め二次創作ではよく出てくる気がしますが)。
 なので、情報処理っぽい話題が原作で出てきたことにとってもテンションが上がってしまいました。ゆゆ式は自分が知らないことを知られるだけでなく、情報処理部の3人が好きな分野の話をしてくれるかも?という楽しみがあると思います。今後も情報処理ネタが出てくれたらいいですね。

■あとがき

 今回の件を通して、情報処理部の3人が(縁ちゃんが美容師に興味を持ったように)情報工学の分野に興味を持ったり、あるいは皆さんが興味を持ったりしてくれると嬉しいです。深くて難しいですが、数学が好きならとってもおもしろいので是非お勧めです。
 拙い文と説明でしたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。皆さんのAdvent Calendarの記事も毎年楽しみにしていますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 さて、原稿やらなきゃ……。


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