親父のペンチ
親父が約五十年も前から使っていて、ここ七年くらいは放置され、錆びでボロボロになっていた重たいペンチ。
この前何気に手に取って見ると、「KTC」京都ツールと書いてあるではないか!
京都ツールの事は良く知りはしなかったが、聞いた事がある。
ちょっと綺麗にしてみるか!
って事で ヤスリだの金ブラシだの紙ヤスリだので磨いてみた。
そんじょそこらの錆び具合では無かったので、とても疲れた。
そしたらどんどん綺麗になって、
錆びだらけだった時の写真を撮り忘れたけど、
まるで別人、いやまるで別ペンチに生まれ変わった。
KTC恐るべし
流石は老舗の工具メーカーだ。
50年経った今でも、変わらない品質
変わらない質感。
錆びと言う名の垢を取り除いたら、まぁなんて素敵な工具だったのかと感心させられた。
当時、少ない小遣いで高価だった京都ツールのペンチを、ピカピカのペンチを手に入れた時の親父の顔が浮かんできた。
何でも自分で作ったり、修理するのが得意だったなぁ。
そう言う器用さは受け継がれなかったけど、
錆を落とす事くらいは出来る。
思い出を発掘する事も出来る。
いやぁそれにしてもカッコいいペンチだなぁ。
好きだったワンカップのお酒と一緒に、
仏壇に祀っておこう。