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「思考力」を鍛えるためのたったひとつの考え方

こんにちは、西村マサヤです。

先日、僕の音声メディア「stand.fm」にこんな質問がきました。

西村さん、いつもツイッターを拝見しています。
質問ですが、過去の放送で【思考力】という言葉を使用されていました。
この【思考力】はどのように鍛えられるのでしょうか。

また、西村さん自身、ある問題に直面した時、思考するためのフレームワーク等があれば教えて頂きたいです。

こちらの質問には、stand.fmの配信でもお答えしたのですが、結構反響がもらえたので改めてnoteでも言語化することにしました。


「思考力が高い」とはどういう状態か

まずは「思考力が高い」の僕なりの定義からお伝えしたいと思います。

これはすなわち、「自分の脳内で行われる「会議」の質が高いこと」だと僕は考えています。


「思考力をなぜ高めたいのか」という問いから考えるとわかると思うのですが、これは「良いアウトプット」を出すために、「思考力を高めたい」わけですよね。


では、一旦「思考力」の話を置いておいて、「良いアウトプット」を出すためには何が必要か、をシンプルに考えてみましょう。この答えは、「良質な議論」「たくさん」行うことだといえると思います。

程度の差はあれど、基本的に「議論した時間」に比例して、アウトプットの質は高まります。議論すべきイシューやアジェンダの難易度が上がれば、それに準じて議論の総量も増える。これは当然のことでしょう。

次に「議論に参加するメンバー」の話。

良いアウトプットを出すには、「優秀」であり、かつ「多様なメンバー」に、会議に参加してもらう必要があります。よく問題になりますが、「おっさんしか参加してない会議」では、アウトプットの方向性が狭まってしまうのは、みなさんもイメージしやすいかと思います。男女、年齢、バックグラウンド、、等、多様であればあるほど、これまでになかったアイデアが出やすくなるはずです。

余談ですが、以前イノベーションを学ぶワークショップに参加した際に知った「ハーバード・ビジネス・レビュー」に載ってる下記の図がすごくおもしろかったです。

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(引用 : プロジェクトチームのクセを認識してイノベーションの可能性を高める

見ての通り、メンバーの多様性を高めるほど、価値の高いアイデアが出る傾向にあるそうです。これおもしろいのが、多様性が低いほど、価値の「平均点」は高くなるのがポイント。

要するに、「安定的にヒットを打つ」のなら、多様性の低いメンバーを集めるべきで、「三振 or ホームラン」を期待するなら、多様性の高いメンバーを集めるべき、だと理解しています。これは実際の仕事に照らし合わせても納得感ありますね。


「思考力が高い人」の脳内では何が起きているのか

先ほど、「思考力が高い人」とは「脳内で行われる「会議」の質が高いこと」だと説明しました。ではさらに具体的にイメージしてもらうために、「思考力が低い人」の脳内を覗いてみましょう。


たとえば、思考力の低い山田太郎さんが、コーヒービジネスに興味を持ったとします。これは厳密に言うと、山田太郎さんの脳内の「山田太郎Aさん」がコーヒービジネスに興味を持った状態です。

山田太郎A「コーヒービジネスっておもしろそう!」

次に、山田太郎Bさんが出てきてこう言います。

山田太郎B「いいね!やってみよう!でもお金ないから銀行でお金借りよう!」

そしてそのまま銀行に行き、借金をするものの、勝算や戦略がひとつもないので事業は失敗し、借金生活へ...。


めちゃくちゃ単純化していますが、いわゆる「思考が浅い」という状態はこういう脳内だと思っています。要するに、「思いつき」の山田太郎Aさんに対し、「どうやったら儲かる方法を作れるかな?」と問う山田太郎Cさんや、「コーヒービジネスにもいろんなパターンがあると思うので、ちょっと調べてみようか」と提案する山田太郎Dさんがいないのです。これが「思考力が低い人」の脳内

※もちろん、上記の山田太郎さんは「フットワークの軽さ」という点では優れています。なので、必ずしもこのような行動が「悪」だとは僕は思っていませんが、このnoteは「思考力を鍛える」方法についての内容なので、「無思考で行動すること」と対比して説明しています。


繰り返しになりますが、「思考力が高い人」とは「脳内で行われる「会議」の質が高いこと」。

もし山田太郎さんの思考力が高かった場合、脳内ではこのような議論が起きるはずです。


山田太郎A「コーヒービジネスっておもしろそう!」 (ここまでは一緒)

山田太郎C「コーヒービジネスってそもそも儲かるのかな?」

山田太郎D「コーヒービジネスって言っても、スタバみたいに高価格なお店と、ドトールみたいに低価格なお店と2パターンに分かれるよね。僕らがやるならどっちが向いてるんだろうか?」

山田太郎E「そもそも店舗ビジネス以外もあるよね。自宅に豆を送るサブスクとか」

山田太郎F「じゃあまずは考えられるコーヒービジネスをたくさん洗い出してみよう。それと並行して、僕らが「本当にやりたいこと」についても議論していこう。じゃあ太郎Gはコーヒービジネスについてググって網羅的に調べてみて。太郎Hは太郎Aと一緒に、自分たちが届けたい価値について言語化してみて。」

(そして、各自がネクストアクションを進めていく...。)


僕がこれまで出会ってきた「思考力が高い人」は、このような「脳内会議」がいつも高速で行われている、そんな印象を受けました。

言い換えれば「視野が広い」とか「視点が多い」とかそういうことなのですが、抽象度の高い「思考力」という概念を、抽象度の高い「視野」や「視点」で説明するのもナンセンスなので、今回は「脳内会議」という概念で説明させてもらいました。


「思考力」を鍛えるためのたったひとつの考え方

では、次に「思考力」を鍛えるためにはどうするべきなのか。

ここまで読んでいただいた方はわかったかと思いますが、「思考力が高い」とは「脳内会議に参加するプロジェクトチームのレベルが高い状態」を指します。つまり、太郎A、太郎Bなどなど、一人ひとりの太郎をスキルアップさせること、そして会議のアジェンダに応じて「適切なメンバー(太郎)を参加させること」、この2つを繰り返すことが、「思考力を鍛える」ということだと考えています。

僕のイメージとして、会議に参加する一人ひとりの太郎は、「観点」であり「スキル」です。最初に発言した太郎Aは、「思いつき」や「ひらめき」を担っています。これももちろん大事なのですが、太郎Aだけだと成功確率は極めて低い。

そんな「思いつき」担当の太郎Aに対し、「そもそも儲かるの?」と問いかける「クリティカル・シンキング」担当の太郎C、「コーヒービジネスの構造調査」を提案する「整理力」担当の太郎D、、、といった風に、脳内会議の参加者が担っているのは「各観点」であり、思考力の高低はこの太郎の役割と発揮レベルの差が生んでいるのだと僕は思っています。


つまり、「思考力を鍛える」とは脳内のいろんな太郎のレベルを上げ続けることの1点に尽きます。そのためには、実際に「良質な会議にたくさん参加すること」でしか向上しないと僕は思っています。

優秀な人が多く集まるプロジェクトに参加すると、実際に上記のようなレベルの高い会議が行われています。参加者が「思いつき」で言いたいことを言うのではなく、各自がきちんと「観点」を持って、問題提起やアイデアを出している。こういう会議にたくさん参加することで、段々と「自分の脳内で再現できてくる」ようになります。


実際、僕も1人で思考をする際には、「これ◯◯さんならなんてツッコんでくるかな...」とか、「今の要件を満たすアイデアを□□さんはどういう風に思いつくだろう...」などなど、リアルで仕事したことのあるいろんな人を脳内のリトルマサヤに憑依させながら、多様な議論を脳内で起こしています。


脳内会議をどれだけ多く、そしてどれだけ速く行えるか。

そのために、たくさん「良質な会議」に参加し、「自分の果たすべき役割を担う」こと。

この繰り返しが、「思考力」を鍛えるためのたったひとつの考え方だと考えています。


ということで、脳内の「リトルあなた」を鍛えていきましょう!

あとはこのテーマに関する参考図書貼っておきます。



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西村マサヤ
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