内側側副靭帯の救世主「FPM」
◆ FPM
この3文字が表すものを知っている野球選手はおそらく今はまだあまりいないのではないでしょうか。
今回は、僕自身の研究テーマにも関係するこのFPMについてできるだけわかりやすく解説したいと思います。
このFPMを理解することは、トミージョン手術の原因となる内側側副靭帯の損傷をする危険性を確実に下げることに繋がると思っています。
なので
「トミージョン手術をしたくない」
「トミージョン手術をしたが復帰したい」
そんな人には是非読んでいただきたいと思います。
◆ 内側側副靭帯(MCL)
トミージョン手術とは、断裂してしまった内側側副靭帯(MCL)を再建する手術です。
このMCLは画像のように肘の内側にあって、投球によって非常に大きいストレスが加わります。
人間の体にある靭帯というものは、無理な力で引き延ばそうとすると当然断裂してしまいまうのですが、それはMCLも同様で、投球を繰り返すことによって無理なストレスを何度も受けると断裂してしまうのです。
人間の死体のMCLがどれほどの力で断裂するかを調べた研究の結果からは、MCLは34N・mという力で引き延ばすと断裂することがわかりました。
では、投球ではどれほどの力が肘に加わるか調べた研究についても見ていきましょう。
投球するときに最もMCLにストレスがかかるとされているのがいわゆる最大外旋やMERと呼ばれる瞬間の一瞬前だと言われています。
この瞬間に肘に加わるストレスを調べた研究を見てみると、いくつかあり、結果はそれぞれ異なりますが小さいもので50N・m、大きいものだと120N・mにもなるとのことです。
MCLは肘にかかるストレスの55%を受けるという研究結果を考慮したとしても、27~66 N・m程度のストレスが靭帯にはかかるはずであり、投球をするたびに靭帯が断裂するギリギリの、場合によっては靭帯が断裂してもおかしくないストレスがMCLにはかかっているのです。
では、なぜ投球をしてもMCLは簡単には断裂しないのでしょうか。
そこで登場するのが、これから紹介するFPMです。
◆ FPMとは
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