繰り返し

朝、蝉の鳴き声で起こされなくなった。

今年も彼らは命をかけて全力でメスを呼び、交尾して散っていく。

彼らもまたこの世に生まれ、そして死に…全く同じ事を繰り返し続けている。

どうせ来年また彼らは土からむくむくと起き、木にとまって羽化し、再び鳴き叫ぶのだろう。

単純に彼らの生態がこの宇宙の本質を表しているというなら…この世は繰り返すことになるな。

では、人間も…？やはり前世というものがあり、今は現世の領域を生きて、終われば次は「来世」と呼ばれる時代へと行く…のだろうか？

うーん…

確かに自然の動植物たちの命もまた、コピー&ペーストの如く繰り返す。だが、彼らが我々人間に教えようとしていることは、それだけではないような気がする。

少なくともこの私…マサヤン＝ケンヂは、そういった一般論に流されてはいけないのだと思う。

虫はどこまでいっても虫だ…人間じゃない。あえてわかりやすく優劣を付けるなら、虫は下等生物という表現にふさわしい。

そう考えると彼らの生態は、「何も考えないと、我々のように繰り返す羽目になってしまうぞ」という警告・戒めと捉えられないだろうか。

そして彼らは、人間と違って個性がない。

いやまぁ…種類がめちゃくちゃあるので、ある意味で人間以上に個性的だが…

同じ種類同士だと、それこそコピー&ペーストのようにほぼ差が見られない。人間なら100人いれば100人、全く違う顔と体をしているというのに…だ。

似たような無量大数の存在たちが懸命に行なっているのはズバリ、「輪廻転生」。春夏秋冬、この輪廻地獄をずーっと同じように繰り返し続ける。

乱暴な言い方をすると、「個性のない無数の存在たち」は「その他大勢たち」と言い換えることも出来そうだ。

なら結局、彼らの生態そのものが「その他大勢たちのような存在は、ずーっと同じ領域で繰り返す宿命にあるのだぞ」というメッセージ…なのかもしれない。「システムみたいなものさ」…と。

私は繰り返さない。毎回、私に合わせた私にふさわしい世界を構築するのだろう。

一方、私から見た「私以外の森羅万象たち」はただのシステム的存在だが、真理を探究する私をいろいろな形でサポートしてくれる。

その主な役割は「マサヤン＝ケンヂから見た世界シナリオの構築」だ。

だから私以外の存在には、しっかり輪廻転生し続けてもらいたい。少なくとも私の肉体が滅ぶまでは、この天獄の世を存続してくれないと困る。

尤も…終末が近づきつつある昨今、その状況も変わってきているがね。

そもそも、女性が子を望まなくなってきている。これが何よりも、リップルが静まりつつある最大の証拠だ。

全ては、流動している。そう、皆さんの意識・魂すらも。

だのに、その流動すら止まってしまったら…

当然、この世の世界形成概念は滅ぶだろう。

その時…また新しい世界が誕生するのだ。

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