タイでのエピソード・その68
—その67の続き—
タイで有名になり、このまま一気に超有名人になるかと思われていたYouTuberの「でいぜろバンコク」の二人が、解散を告げた。
原因は、だいじろー君(左)のうつ病の発症によるもの…としているが、まぁ外野としては事情なんぞ分からない。
だいじろー君だけではなく、よし君(右)もかなり疲れている様だった。
私が働いていたコールセンターの社員の中に、彼らと仲の良い人間がいた。その人曰く、元々二人とも鬱っぽい感じで、参っていたとのこと。
以前も話したが、そんなだいじろー君は今や、日本ではトップクラスの英会話系YouTuberとして大活躍している。ご存じの方もいるでしょう?
すごいね。ちなみに彼も北海道人(札幌)なんだよ。ここまま頑張ってほしいところ。よし君もよし君で、新しい道を歩んでいるみたいだ。
でも、よし君はちょっと厳しい感じがするな…。動画作成の道を歩んでいるみたいなんだけど、コロナの影響もあって難しいっぽい。
タイにいる間、彼らの解散劇をリアルタイムで見て来た身としては…やっぱり日本人には日本人の土と水ってモンがあるのだ、と強く感じだ。
タイの屋台料理なんて、健康面でいえばヤバいなんてもんじゃない。ハッキリ言って、コンビニで買い揃えて食った方が、まだ体に負担がかからないと思う。
しかも、タイの清涼飲料水にはだいたい、強烈なカフェインが入っている。コーヒーもそうだし、レッドブル系のエナジードリンクなんぞに手を出そうものなら、冗談抜きでパニック障害、うつ病のトリガーになるだろう。
タイに来たコールセンターの社員たちは皆、最終的にはだいじろー君の様な感じになり、帰国する人がほとんど。
もしくは事情があって帰れない人は、どんどんネガティヴ思考になり、悪い意味で脱力して「タイ人化」する。そんな日本人を、私は腐るほど見て来た。
誰も私の話をまともに聞いてくれなかったが、その理由の多くは普段摂取している栄養素によるものだ。
タイ料理は調味料ガッツリ(特に味の素)、加えて化学的な塩、ナンプラー、砂糖ドップリ。殺人的ですよ。だからタイ人は基本、アジア人のくせに長生きしない。
劣悪な栄養しか摂取しない毎日の中、日本人としてただでさえ体に合わないものを食い続けたらストレスでしかない。そこに大量のカフェイン…頭もおかしくなって当然。
だから、タイで健康を維持して楽しく過ごしている日本人は皆、カネを持っている。つまり、日本食と野菜をしっかり摂取出来ている人なのだ。
「タイは物価が安いんだよ。日本の三分の一で過ごせる。飯も安いから楽勝だよ」…なーーーんて「甘い誘惑」に誘われてタイに来ると、必ず後悔する日がやってくる。良いと思うのは最初の数ヶ月だけ、だ。大体の人は、体を壊して日本に帰るのさ。
…そんな「でいぜろバンコク」の二人の解散劇を横目に見つつ、私は私のペースで相変わらず、ライティングで仕事をする日々が続いていた。
ビザツアー会社からの情報によれば、さらに観光ビザの取得が難しくなり、最初からハンコを押される事もあるとのこと。と言うか、下手すりゃ取得自体が出来ない事もあるんだとか。
もう、「気軽に遊べて楽しいタイ・バンコク」は存在しない。物価もことごとく上がり、日本円の価値も下がり、タイバーツの価値自体も上がって来た。
ありとあらゆネガティヴな要素が私を覆った。約二年ほど、もがいた。
…もう、限界かもしれないと思った。
とうとう、目的のエリートビザは取得出来なかったが…これも宿命なのかもしれない。
この時もし、エリートビザを取得していたら…私は今、この真理探求をしていないだろう。
全ては、決まっていた。
全てが…。
—その69へ続く—