タイでのエピソード・その57
—その56の続き—
今回は、私が何度もお世話になったデパートを再び、ご紹介したい。
今回ご紹介するのは、バンコクのメインステーション、アソークの隣にあるプロンポン直結デパート「エムクオーティエ」。
パラゴンなどと同じく、この様に駅から直結なので、汗をかく事なく中に入る事が出来る。
中を彷徨いているのは…まぁ大体がハイソな方々。例外も歩いているが、とりあえずタイでは裕福と言える人が来る場所と思って間違いないだろう。
エムクオーティエには、いくつかの特徴がある。
まず、ここは3棟に分かれた構造をしている。
それぞれの場所は、連絡通路で繋がれていて、ほぼ独立している。各所にオシャレでゆったりとしたカフェがあり、BEAMSなどのおなじみのアパレルショップも点在しているので、日本人も買い物しやすい。
それに、タイに来てもここの紀伊国屋書店に来れば、普通に日本の書籍も手に入る。
関税が加わるので、日本よりどうしてもお高いが…それでもこちらに滞在中、日本語の書籍を気兼ねなく購入出来るのは大きい。
地下には安定のスーパーマーケット。そして、こちらは屋上ではなく、地下にフードコートがあるパターン。
個人的に、エムクオーティエの地下にはあまり行かなかったな…。
それより何よりも、ここの大きな特徴は、この巨大な吹き抜け構造だ。
中央の吊り具を天井から吊るし、天然の植物を絡め、さらに滝の様に水を流している。店内、全階に行き渡るマイナスイオン。うーん、何とも贅沢な造りだ。
私がなぜ、エムクオーティエに通ったか。
その最大の理由は…これだ。
この植物の吹き抜けがあるタワー「THE HERIX」は、頂上まで渦巻き状のレストラン街が入っている。
このレストラン街にあるお店が…どれもこれも高レベルなのだ。
日本食に関しても、寿司からカツ丼から何でもござれ。ちゃんと日本人が喜びそうな味付けのカレーもある。
洋食も中華も、とにかくぜーんぶ入っている。これを知ってしまったら、わざわざエムクオーティエに来て地下のフードコートに行く意味は無い。
当然、それなりのお値段だが、それでもパラゴンに入っているレストランなんかに比べれば、全然問題無いレベルだ。旅行者にもオススメ出来る場所。
特に私がお気に入りだったのが、ステーキハウス「アルノズ(ARNO'S)」。
それなりに有名なお店で、バンコク中にある。でも、ここは駅直結のデパートからお手軽に行けるので重宝していた。肉好きにはたまらない場所。
まぁ、言ってしまえば「いきなりステーキ」の海外バージョン。目の前で切ってもらう…とかではないが、肉を選んで焼いてもらう形になる。
肉の種類がとにかく豊富で、サーロインに加え、熟成した肉もたくさん置いている。その熟成具合も選ぶ事が出来るのだ。
ここに来るのはやはり、ほとんどがファラン(ヨーロピアン)。
レアステーキとハンバーガーを貪り食い、ワインを飲んでいるおやっさんが多い。うーん、君らやっぱり似合うねぇ、そう言うの。
私はここに来ると、決まって500g程度のステーキ、そしてガーリックトーストを頼んでいた。
バターガーリックが効いた、外カリカリ、中フワフワのガーリックトースト。
こいつと一緒にステーキを頂く。
うーん、たまらんぞい。
しかもそこまで高く無い。せいぜい1,000バーツ程度。ワインを頼んだら1,000ちょっと…と言う感じ。
なので、日本円にすれば4,000円前後の感覚。スポーツジムに行った後、ここでタンパク質を補給する。そんな日々だったっけなぁ。
ちなみにここは、以前お伝えした「Iwane Goes Nature」も入っている。
ステーキを食った後に、ここで美味しいコーヒーとスイーツをペロリ。至福の一時。勿論、気分を変えて仕事をしたいと思った時にも、重宝していた。
ちなみに、この螺旋回廊の途中で外に出る事も出来る。
そこには多くの植物があり、魚の住む池もある。歩いた先にはバービアなんかもあったりする。
何と言うか、「痒い所に手が届く」を体現したデパートといった感じ。
こうしたデパートをぼけーっと渡り歩く様になって、色々考えた。
確かに、歩いていると楽しい。
でも、心から「欲しい」と思う物は少ない。
「俺もいつか、成功してやる!」とモチベーションを上げるには良い場所。
でも、散々頑張った挙句、騙されてしまった私は…もうその類のモチベーションはどこかに失せていた。
住まいと環境は…贅沢な方が良いかな?とは思うけどね。
…この激動の半年を過ごしたのち、残りの一年半の時間を、私はマイペースでのんびりと過ごす事になる。
そこでようやく、私なりの「タイの楽しみ方」を掴んだ様な気がした。
—その58へ続く—