アフターコロナのデザイナーの生き方(予想)
最近忙しく、英語記事ばかりになってしまいました。日本語デザインの話です。かつてこんな記事(2020年からのデザイナー生き方)を書きました。
しかし、誰の思いにも反して、今は重大な流行病の真っ只中に世界が巻き込まれた状態であります。
要約をすると、
デザイナーは、その作品により合理性を求められる日が来るという話です。項目としては、、、、
・従来型の雇用の変化
正社員というだけで守られる時代が見直される。デザイン業界はハードな業界として認知されていますが、正社員という枠組み自体は世界的にもかなり守られた地位であると思います。
・スタートアップへの投資の沈着
・費用対効果の低いプロモーションの減
これらは、今回の流行病で加速しそうです。根本的な理由はコロナ前と変わらず、合理性を求められ、疑問が消えていないからです。
・UXUIは短〜中期的には安泰
これは、今回の流行病で変化しそうです。新規サービスへの投資がより早く落ち着く可能性があるためです。
ピンチはチャンスということもなかなかヘビーな状態ではあります。
が、考えること、予想すること、準備をすることの力はいまだ失われていないと思いますので、
私なりに書いてみたいと思います。
【ご注意】
私はコロナ自体は全くの素人なので、ウイルスや病気事態に関する発信の意図はありません。
あくまでも、副次的に現れている、デザイン業界における経済的被害とデザイナーの生き方という部分に関して考えるものです。何卒ご了承ください。
アフターコロナのデザイン業界
・全体感
今回の流行病が、短期的にプラスに働くデザイン業・カテゴリーはほぼないのではないかと思います。
これは、少なくても現在でも、国内では、デザインとは心理的満足度を増加させるための、お洒落な装飾や彩色であると捉えられており、合理性が薄く、投資価値が低いものと認識されているからです。
・どこから厳しくなると予想されるのか?
デザイナーは多くの場合、受託型のビジネスであると考えられ、それらは厳しくなりそうです。
そうしたものは、デザイナーが金の流れを決めるのではなく、発注側が決めるものなので、厳しくなるのではないか?と考えるのは自然であると思います。
・受託型とは?それ以外は?
パッケージでも、建物でも、ロゴでも、ポスターでも、作った後に売るというより、作る前に作って欲しいと注文を受けるということです。
そういうケースでないデザイナーは、例えばファッションデザイナーで自分の服を自費で作ってから、お店を借りて売るということですが、そちらも、客がこなくなったり、財布が固くなれば売れにくくなります。
結果、自費負担した分だけ、損をすることになります。
それ以外で、自分で作り、こういった自体の中でもバンバン売れるものを作れている人は、デザイン以外の才能も豊富で、数が少ない人々であると思います。
・非常事態と受託業。削られる業界
当たり前ですが、お金を使う行動は、非常時には慎重になります。
一番最初に削られるのは、まず広告業界だと思います。
会社は、人件費と販促費が大体の出費です。
日本は会社員をそうそう簡単にクビにできません。意外と思う人もいるかもしれませんが、法的には、社員はとても強い部分もあります。
となると、販促は切りやすいとなるわけです。
さらに広告業界は、構造として、大元のクライアントから、デザイナーにくるというより、いくつかの代理店や制作会社などを経由することもあります。
その過程の中でより予算などが絞られ、厳しくなっている印象を受けることもあるでしょう。
さらに、前の記事でも言った通り、効果の説明や想像がされにくいものは、特に投資の判断が難しくなりそうです。
つまり、非常事態になる前から、十分なコンセプトやデジタルによる効果の追跡ができないものは世の中から疑問視されるムードでした。
それは世界でも同様で、世界最古で約150年歴史を持つのJWTというクリエイティブ系広告代理店は、兄弟会社とひっついて、名前がある程度変わることとなり、非常に衝撃が走っていました。
・デジタル領域に希望はある?
それがデザイナーという職種に関しては楽観的ばかりではいられません。
広告費においても、デジタルだけが堅調に伸びているのになぜでしょうか?
それは、広告費も買う広告より、保有する広告(オウンドメディア)を目指す会社も増えるでしょうから、デジタル広告費用が増えたとしても、フリーデザイナー、制作会社のデザイナーに潤沢な資金が流れるかはわかりません。
どういういうことかというと、
今まで、大きな会社は、デザイナーがおらず外注していたけど、毎回外注をすると費用が正当かどうかもわからないし、何より知見・経験が残らない。それなら中に雇ってしまって、小さなチームを作ってしまおう。
という感じです。
これにより、初期のコンサルティングや、多少の広告購入費用は伸びますが、デザインは中で作るわけですから、外部のデザイナーには落ちにくいわけです。
つまり、普段仕事をもらって、デザインを作るという行為は、お金をもらえるだけではなくて、知識をもらえるという点で、優れていたというわけです。
※なんだか言葉のトリックのようですが、大手からすれば、その経験価値に気付き始め、今後、より古い会社、でかい会社が大きく舵を切ることはありえます。
デザイナーからすれば、知識などいらんから、もっとお金をくれと思うかもしれませんが、お仕事が一般化するとより安いところに発注すればいいだけになりますからどちらにしても厳しくなるということになります。
つまり、毎回毎回の作る前の調査やコンセプト作り、マーケ的発想、他社のデータ、自分の発見は、今後も大変な価値になるということです。
いきなり作るとかは、もったいないのでやめましょう
・その他の業界は?
本的に今伸びるとすると、たまたま衛生系や医療系と関係がある業界だけが伸びると思います。
しかし、日本の医療に関する法律はしっかりしており、誰でもほいほいできません。医療系コピー、プロダクト、強度のデザインをするのは困難です。
さらにそれらは、日々変わっておりますし、知見も相当必要なため、その業界がもうかってるから、明日からそこに営業をかけようというわけにもなかなかいかないわけです。
でも、配達や保存食なんかはいいかもしれませんね。
グラフィックのデザインというより、ビジネスフローなどの構造のデザインになるのかもしれませんが、
それでもアフターコロナで気をつけるべきこと、ポジティブな要素を見つけるとしたら
前のノートと大きく変わらないのですが、より強調できる点としては、
・デザインはアートと商業のミックスであることをよく認識
この期間中に、数字、またはコンセプトをしっかり説明できるようにするべきだと思います。
数字で読む場合は、かなりその案件に入り込んでいないといけないわけですが、コンペぐらいだとなかなかそこまでオープンにはされません。
とすると、自分で市場を調べる(国内で日本語で調べるなら、国語の領域で、大体大外れはしません。)、色彩心理学などを用いて万人に有効であろうロジックを作る、などなどいろいろできることもあります。
そのような知識の下積みをして、プレゼンの基本的な流れを作るトレーニングをする期間にするのは大変にいいことだと思います。
インターネットもありますから必ずしも本屋に行く必要はありません。
・固定費用は下げる(再掲)
これはもはや今回の事柄で、鉄板となったかと思います。
私はもともと高い家賃(オフィス代)をクライアントに請求するのは、仕事のクオリティとの因果関係が薄いため、安いところに住むようにしています。
結果的にクオリティが変わらなければ、客に対して大金を請求しなくて良いばかりか、仕事がなくなってしまっても長く堪えることができます。
あくまでも参考ですが、大手企業はいい場所に会社があり、一人当たりの月間の地代(光熱費なども含めて)は、10-20万円ぐらいは乗っているのではないかと思います。
5人のチームなら、10人のチームなら、、、
そのチームが座り、トイレに行く、ネットをするだけで、そのチームの消費カロリーはとんでもないことになります。
しかし、当たり前ですが、そうした費用も受託の場合、客に請求しないとその会社は潰れます。
加えて、今回、高級なビルにいる場合、大抵は、利便性の高い人口密集地であり、家賃が高くて、感染の危険も高いということもあり得ます。
地震などとはまた異なる視点での土地の価値の見極めをする必要が出てきました。
個人の場合は、家賃などに当たりますが、それ以外だと、駐車場、通信費用、とかが当たります。
アフターコロナのデザイナーの生き残り方
・デザイン業に関して
かつて私は大抵のデザイン業は利益率が高く、ビジネス的に恵まれた業種であると発信しました。
現在ではどうかと言われると変わりません。
むしろ、経済は止めることができませんので、以前にもまして、しっかり準備をしている職人やデザイナーは仕事が一極集中するのではないかと思います。
理由は簡単で、お金やデザイン外注の機会が限られるならいい会社・人に頼みたいという動機が加わるためです。
・今後活躍するデザイナー(いい会社・いい人)とは何か?
一般的にデザイナーとしていい噂を聞く人、有名な人というのもあると思います。今後も名声の有力性は消えることはないでしょう。
しかし、そこよりも将来的には、しっかりビジネスできる人、話せる人がビジネスのパートナーとしてふさわしいと判断されるのではないかと思います。
どういうスキルが必要か?
・一般国語力(必要に応じて外国語を含む)
作ったものがなんなのか、わかりやすい日本語・外国語で共有できること。
・一般営業能力
ポートフォリオを作り、話しかける力。就職でも、営業でも。
・マーケティング能力(市場を読む、クライアントの現在、未来のニーズを読む)
対象者はだれか、ライバルはだれか、何人ぐらいの人がどう使うのか?そう言ったものを読む力
難しいマーケ用語を全部覚える必要はありません。
・デジタルに関する最低限の知識
(プログラミングまでいくのが今の20代の当たり前かもしれませんが)
つまり、
どの業界でも必要なものをデザイナーは抑えるだけ。
特に、デザイナーは固定費下げとけば、利益率高いから時々仕事受けられれば、生きていけるのではないか
という感じです。
謎の小ばなしですが
最近、私が思うのは、『待てる力』は大変に強力だと思います。
冷静さと休息をもたらし、効率の良い判断と、クオリティを作り出し、良い循環を作り出すことができます。
それもデザイン業界の特徴である、利益率の賜物です。
その業界や業界を通して、自分なりの義務を果たそうとするときに、上記のような準備や勉強をすることは選択肢のひとつとして悪いことではないのではないかと思います。
今回は以上です。
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