台帳がマイナポータルではなくeGovを選択した10の理由。
現在、社労士事務所の電子申請といえばeGovです。11月よりマイナポータル からも電子申請できるようになり、2つのプラットフォームが誕生します。厳密には、eGovも11月よりアップデートし、旧eGov、新eGov、マイナポータル(以下、マイナ) の3つのプラットフォームを意識しなければなりません。セルズは、現在の社労士事務所にとってどのプラットフォームが一番業務にマッチしているのか、を考えた結果、台帳はeGovを選択することにしました。
其の1、マイナは対象手続きが不明
こちらのサイトにマイナ の対象手続きが掲載されています。1年以上前の資料で変更はあると思いますが、年度更新手続きが含まれていないのが気になります。eGovで年度更新を処理してマイナで他の手続きを行う、というのは現実的ではないと思います。
其の2、マイナの利用率は低い
既に法人設立ワンストップ、届書作成プログラムからのマイナポータル 申請はスタートしています。しかし、マイナ を利用した電子申請の振り返りや使ってみてとても便利だった!!という声は聞きません。
其の3、責任の所在がわかりづらい。
マイナ 、GbizID、厚労省、事務センターと複数のポイントを経由するわけですが、不具合が発生した場合の問い合わせ先が不明確です。2020年4月に届書作成プログラムで電子申請ができない不具合が発生しましたが、年金機構の問題なのか、経済産業省のGbizが問題なのか、それとも厚労省なのか、どこに問い合わせしたらいいかわからず、大きな課題を残しました。
其の4、マイナはサポートセンターが存在しない
eGovはサポート窓口が用意されていますが、恐らくマイナは存在しません。
其の5、マイナは運用方針が明確になっていない
法改正等で電子申請の様式や運用ルール等が変更される場合、弊社は社会保険システム連絡協議会を通して最新情報を把握し、バージョンアップの準備を行っています。厚労省と年に20回以上の照会票で疑問点や意見、要望を提出し、また対面による会議も定期的に開催されています。
一方、マイナは今後法改正等で様式の変更や仕様の変更が行われた場合、どのように情報が発表されるのか、厚労省等からの説明会が開催されるのか、運用方針が明らかにされていません。
其の6、マイナは知名度が低い。特別給付金で課題を残す。
マイナは個人向けサービスの印象が強いです。社会保険、雇用保険の事務センターの方達にマイナの存在がしっかり伝わっているか、特にeGovとマイナの運用上のルールがしっかり伝わっているのかに不安を感じます。 マイナでコロナの特別定額給付金が申請できました。これはこれでよかったと思いますが、各自治体の窓口は準備が整っておらず、アナログ対応している自治体も多く、マイナは多くの課題を残した印象があります。
其の7、マイナのお知らせ情報がわからない
eGovのトップページにはお知らせ情報等が記載されていますが、マイナは記載されていません。
其の8、eGovと比較した時のメリットは特にない。
eGovとマイナを比較した場合、特にマイナであることによる優位性は特にありません。
其の9、マイナはUIが無い
eGovはAPI申請に対応していない手続きは、eGovに電子申請に必要な情報を画面を見ながら作成する方法があります。マイナはAPI申請のみです。
其の10、マイナは実績がない。
eGovは年間に1300万件以上の電子申請を受付けています(2019年)電子申請の義務化により、企業からの電子申請件数は増加傾向にあります。現状、恐らく多くの企業はeGovから電子申請を行っています。義務化等でeGov経由の電子申請に対応したばかりの企業が、急遽マイナに変更するのは容易ではありません。
まとめ
以上のことから台帳ではマイナポータル ではなく、10年以上の実績があるeGovを選択しました。ただし、現在開発中のクラウド版は、マイナポータル を選択する予定です。まだ実績がなく、安定した運用イメージがないマイナですが、数年経過した時には、このようになっている気がします。
eGovはeGovの強みがあり、特に法人関係の手続きは使いやすい。
マイナはマイナの強みがあり、特に個人給付の手続きは使いやすい。
現状、マイナポータル は未知数ですが、マイナはマイナの強みを生かして、発展していくと思います。実際、平成21年くらいのeGovは大変使いづらく、当時の弊社は、
eGov電子申請は、社労士事務所の現場にはマッチしない、使う必要はない、
とお客様に案内していました。しかし、平成22年の一括申請で社労士事務所の現場に大変マッチした仕組みとなり、
電子申請をやらない理由はなくなった!!電子申請を積極的にやるべき!!
とシフトチェンジしました。恐らく、マイナも最初は低空飛行でいつか浮上するのではと思います。弊社は、eGovとはマイナ、両方に対応し、社労士事務所の業務効率化を追求・研究していきたいと思っています。