エストニアに行ってきた①
電子政府といえばエストニア。日本の政府もエストニア視察によく行っているそうです。これから始まるGbizIDもこちらの資料を見るとエストニア のXroadをとても意識しています。
「平成30年度経済産業省デジタルプラットフォーム構築事業(官民におけるデータ交換基盤の構築に向けた調査等事業)」報告書
エストニアに行けば日本の未来を何か感じられるかもしれない!!
ってことでエストニアに行ってきました。
2つの会計事務所を視察
日本では税理士がいなくなった国、エストニアと言われていますが、これは全くのデタラメ!!エストニアには1,800の会計事務所が存在し、3,800人の会計士が存在しました。
エストニアの人口は130万人、法人数は12万社。そして会計士は3800人。
日本の人口は1億2,000万人、法人数は350万社、そして税理士は7万人。
つまり・・・
エストニアは法人数に対する会計士の割合3.16%
日本は法人数に対する税理士の割合は2%
日本には公認会計士と税理士と二つの会計職務があるとはいえ、エストニアの方が会計プロの割合が多い。世界1位の電子政府と言われているエストニアにも会計を専門に仕事している人が多い、ってことです。
そして2つ視察した会計事務所はほとんど女性。所長に
なぜ女性が多いのですか?
と聞いたら
エストニアは起業しやすい仕組みがある。
男性はバックオフィス業務より起業して社長業の方が興味が高いのでは、
と言っていました。私も社労士業界に20年近くいますが、99点が許されない手続きや給与計算などの業務は、男性より女性の方が100点をとている印象があります。また、エストニアで法人を作る場合、最短30分以内で作れます。副業で起業する人も多い。スタートアップが多い、ってことはバックオフィス業務のアウトソースニーズは高いんだろうなーと思いました。
そして、視察先の所長が、
昔に比べると、データを入力する作業が減り、クライアントへアドバイスする仕事が増えた、
と言っていましたが、クライアントの請求データ(PDF)をスキャナし、請求書や会計ソフトに反映させるルーティン的な業務は存在するようです。アナログ的なインプット作業が0になったわけではなく、ソフトや電子政府のサービスを上手に使って業務を効率化しているだけで、誰がやっても結果が一緒になる定型業務はしっかり残っています。
そしても給与計算代行業も行われていました。エストニアは、
「あなたの所得は〇〇、控除は〇〇、税金は〇〇、承諾しますか?」
の国が確定申告を行うスタイル。このスタイルの場合、
私は給与計算アウトソースは存在しなくなるのかなー、
と思っていましたが、エストニア の会計事務所でも給与計算の代行業はしっかり行われています。
ちなみになぜ国が国民の所得を把握できるか、というと
サラリーマン:
毎月の給与計算データや人事情報を税務署のウェブサイトに登録
個人事業主:
請求書のやり取りは国のサイト経由でやり取り。
国民ID、Xroadと呼ばる各省庁や行政機関のサイト、会計や請求書システムが連動する仕組みにより実現しています。
会計事務所訪問で学んだこと
色々学ぶことができた会計事務所視察。印象的な学びは2つ。
其の1
ITリテラシーが高く、電子政府が超発展しているエストニアでも会計事務所はしっかり存在する。アナログ的なインプット作業が0になったわけではなく、ソフトや電子政府のサービスを上手に使って業務を効率化している。
税理士や社労士は、As isをしっかり分析し、どのように税務申告するか、どのように給与設計するのか、クライアントと一緒に経営を考える時間が大事
其の2
ITリテラシーが高く、電子政府が超発展しているエストニアでも給与計算のアウトソースニーズはしっかり存在する。給与計算の毎月の給与で残業などの変動的要素の手当や賞与が無くならない限り、日本の税理士、社労士の給与計算アウトソースは無くならない。