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エレメンタリー大好き:「依存症の物語」ファイナルシーズン(S7)を見た。僕はエピローグが大好き。

エレメンタリーというのはアメリカのTVドラマである。シャーロック・ホームズが現在のニュヨークに現れたらという設定で描かれている。もう7年になるのだなあ。

ガープの世界」という物語の中で「一番面白いのはエピローグだ」とある。あの物語で僕が大好きなのはガープが去った後の人々を書いた1章だ。エピローグが素晴らしいのは、物語が主人公の冒険を描いているのではなく、世界を描いていることの証明だ。ファイナルシーズンがこのドラマの素晴らしさを証明している。

丁度、イギリスBBCの「シャーロック」と同時期にスタートしたと思う。どうも同じような企画だなあと思ったが、実際には全く異なったテイストのドラマに仕上がったと思う。DVDレンタルが少し安くなったのでチマっと見てみるかと思ったら、全部借りてみてしもた(笑)。

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依存症を真正面から描いている。

「依存症」という問題を実に緻密に描いているのが面白かった。シャーロックはヘロインの依存症で、ワトソンはその付添(2時間以上患者からはなれないで監視する)という設定でまずは驚いた。そもそも「付添」「支援者」「集会」などの存在も知らなかった(本では読んでいたが)ので勉強になった。

アメリカの社会の中にヘロイン依存症がいかに蔓延しているのかが分かる。そして、なんとかしようとしている人達の姿も素晴らしい。

そして犯罪が起こる原因としての社会の格差が描かれている(こちらも僕の大好物)。まあ、ホームズが探偵やれるのも金持ちなおかげである。それはまあ仕方があるまい。

しかし、貧困の中の探偵っているかなあ。ミステリー好きな人に聞いてみたい。ホームレス探偵なんていいアイデアだよね。もうあるか。

「捜査顧問探偵」というのはドラマ作るには都合がいいものではある。

正義の味方が犯人だったりしている

これも面白かった。かなりの頻度で医療関係者が犯人だったりしている。そして悩み苦しむ人として描いているところも面白い。

同様に、警察関係者もかなりの頻度で犯人であったりする。

最後にはグレクソン警部までそうなるのだから何とも回収が難しいものである。しかし、S6は辛いシーズンだったろうなあ。

しかしS7はそれに輪をかけている(笑)。まあ、ライヘンバッハとくれば「川に落ちる、そして死んでいない」のはお約束であるが。

「統合失調症」や「うつ」を描いている

ワトソンの父親は統合失調症でホームレスになる。それ以外にも多く精神疾患に関して描かれているのも興味深く感じた。

ワトソンの立ち位置は面白い。家族の物語も素晴らしい。昨今の流行りであるが、最終的には血のつながっていない人たちが家族になる物語でもある。

精神病のコンサルタントがかなり出てくるのだが、これもご時世なのだろうなあ。

結局ホームズは依存症に勝てたのか

この物語を通じて依存症から脱することができたヒトはいない。

と言うか、一生が慢ずることだから、ことが出来た人間はいないといって良いかもしれない。

勝つとか負けるという言葉自身がミスリードする。

特に面白いのがS3の終わりとS4への繋がりである、シャーロックはまた依存になってしまうのである。S3で彼はかつての売人に手を差し伸べるのだが、それがいかに傲慢なことであるかを思い知らされるのだ。

シーズン7を見るにあたって

長くシリーズが続いていくと「強い奴インフレ」が起こる。これは仕方のないことである。主人公はどんどん強い敵を倒して行くと次はもっと強い敵でないとねえ。

まさにエレメンタリーも同じことが起こっていて、どんどん敵役が強くなるのだ。まあ、それでなければ面白くない。

S1でコンビが確定してモリアーティ、S2で兄(マイクロフト)が出てフランス暗黒社会、S3はキティが登場シリアルキラー、S4では父親(最強の男)が登場してモリアーティとのR2、S5では地元ギャング団を牛耳る知能犯、S6はシリアルキラー、S7がIT界の大金持ち。

S6がちょっとお粗末なお話の展開で残念だった。まあ、仕方ないであろうか。もっと驚くのは、S7での回収の仕方でどう考えてもS6で終わるつもりだったとしか考えられない。

それでも大好きなシリーズである。

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僕の好きなキャラ

勿論キティである。素敵だ。物語を通じて、「拉致物」が多いように感じるが、実際に社会においては多くあるのだろうなあ。

考えてみれば「意図しない結婚・結婚後に離婚を願っている夫婦」も拉致のようなものであるのだ。犯罪の動機にもなている。

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実はキティとよく似た女性が登場する。非常に知性の高い女性である。シャーロックを手玉に取るのだ。

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S4の7話「ライアーゲーム」で登場。恐ろしい知性の持ち主でありながら、両親に捨てられて苦労するのだ。殺人を犯したのかどうかは藪の中である。そして、冷たく放り出され寂寥感のある物語となっていた。

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そして、S7の8話「ミス・ライアー」に登場、彼女の人生は回収されるのだ。嬉しかった。気になっていたのだ。彼女に対しての優しい対応に涙が出てきた。名前を一緒に考えてというとこ大ろではボロ泣きであった。自分の過去を知らなくていいと言い放ち、未来の自分を見つけようとする辺り、実にアドラー的な結論である。大好きだ。

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S7はシリーズ全体のエピローグだ。懐かしい人達がお別れの挨拶に来てくれたようで嬉しかった。

この人どこにでていたっけという人も多い。誰か謎解き入れてもらいたい。

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あのロシアのスパイさんってどこにいたっけ。

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モリアーティは出てこなかったけど、彼女の組織は安泰。けどあのラストの、ワトソンの葬式かなとちょっと思わせる展開はいらんと思う。

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悪の組織は美人揃いなのだ。

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このお爺ちゃんもどこかに出ているようなんだけどわからない。傭兵の親分で膵臓がんで死んでしまう。制作スタッフも生かしちゃおけないと思ってのだろうなあ。

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あ、アルコンゼアラが善人になってしまったのには少し驚いた。かなり倫理性が独特のドラマであって勧善懲悪はハッキリとしているが、彼は幸せに生きるのだ。納得したが、今度はなぜ納得したかが謎である。

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あ、一つ残念だったのは、ホームズの親友に成ったアルフレードがどうしているかわからないこと。彼のハッピーな姿が見たかった。

アルフレード

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NSAのマクナリーさんも途中からキャラクァったような気がする。最初怖かったけど、ファイナルシーズンではあんま怖くなくなっていたねえ。

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最強のホームズをどうするか見ものだった。これも必要なことだったのだなあと感じる。ホームズが愛する人は皆そうなるのだとアンタ言ってたよね。あんなに父を憎んでいたホームズが最後は愛してくれたのだ。きっと嬉しいと感じている。いつか向こうで会えるから。

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グレクソンさんの立ち回りが面白かった。物語の最初は早めにに退場するのかなと思っていたけど最後まで来れたねえ。『奥さんに浮気されて離婚して、警官だった娘はああなって、次に結婚した女性は難病で亡くなって、孫娘とゴルフ場にいる』というのは随分ありがたい話である。けど、良かった。

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今日もホームズとワトソンは、ベル警部と難事件を追っている。めでたしめでたし。またいつかお会いしたいものである。蜜蜂を友に生きている素敵なお爺ちゃんとお婆ちゃんを見つけることであろう。

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Genius is an infinite capacity for taking pains.「天才とは無限に努力できる能力のことである」トーマス・カーライルの言葉 ホームズは引用する。

けどね、天才でなくとも、私たちの人生は苦痛の連続である。今の世の中、うつや統合失調症、過食拒食依存、社会が生んでいる病を忘れるために薬を飲むのだ。僕ならこう訳す。

人生は苦痛の連続だ。
馬鹿に生まれればよかった。
鈍感は長生きの秘訣である。

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このお話の兄弟話です。両方のドラマ共に

僕は、元々のシャーロックホームズが大好きな子供だったから「気に入らなかったら文句言ったれ」と思っていたのだが、実際に見たら、素敵であった。何も文句がないどころか、今という時代を描いていて素晴らしかった。

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