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16 映画『グリーフケアの時代に』

2023年12月。ドキュメンタリー映画『グリーフケアの時代に』を観賞しました。

公開初日でしたが平日の朝とあってか観客は10名弱で、あまり関心は高くなさそうでした。映画のタイトルになっているイラストは以前読んだ日本グリーフ専門士協会代表・井手敏郎さんの著書『大切な人を亡くしたあなたに知っておいてほしい5つのこと』と同じもので、支援者の一人として井手代表も出演されていました。

当事者として登場された方々は、「悲しんでいるのは自分だけではないことを知ったことが、前を向くきっかけになった」と口々に語られ、遺族会や分かち合いの会が重要な役割を果たすことが伝わってきました。また、会への参加のために外出する気力もないときにリモートで参加できる機会が設けられていることの意義も感じました。

ただ、この映画ではわが子を亡くした方の悲嘆が特にクローズアップされていたように感じました。また、支援者は男女さまざまな方が登場しますが、支援される側は女性ばかりというのは少し気になりました。


映画の中で、夫を自死で亡くされた方が「残された自分だけが美味しいものを食べてはいけないのではないか」と思っていた時、知人から「そんなことはない、美味しいケーキを一緒に食べよう」と誘われ、「我慢しなくてもいい」とホッとしたというような話をされていましたが、私にもわかるような気がしました。「我慢しなくてもいい」と言葉が悲嘆の中にある人を前向きにしてくれることもあるのだと思います。


哀しみは人それぞれで、まったく無くなることはないし、どうすれば乗り越えられるかの方法にも正解はありません。あれこれアドバイスするよりもただ寄り添うだけ、聴いてもらうだけの方が良いこともあるのだと思います。悲嘆の中にある人は、社会から孤立してしまいがちなので、「居場所」が必要なのだと思います。日常生活の中ではタブー視される「死」について、話を聴いてもらえる人が必要なのだと思います。

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