お遍路さん
数日前お店にラグビー選手みたいな男性が来られました。
飲み物を注文してしばらく店内の福祉関連の書物などを読むなどしてゆっくり過ごしているところに、今度は小柄で若い女性のお遍路さんが来られました。
お遍路さんは、荷物を置いてコーヒーを注文するとすぐ、御手洗へ行きました。
そのタイミングで、先から来店していた男性が席を立ちレジへお支払いに来て言いました。
「僕の分と、いま入ってきた女性の分も一緒に払います」
「かしこまりました。お知り合いですか?」
と聞くと
「いいえ、実は僕も前にお遍路さんで回ったことがあって、その時に同じようにしてもらったことがあったんですよ。なので、自分もお遍路さんに会ったらそうしてあげたいって思ってたんです」と。
スマートな行動と思いやりのある言葉にとても感銘を受けました。
そうは思っていてもなかなか行動に移すことは勇気のいることなので、素晴らしいなと思いながら料金を受け取りました。
男性が帰ったあとすぐに女性お遍路さんがお席に戻りました。
コーヒーをお持ちし、お支払いは済んでいることと、先程の出来事をお伝えしました。
とても驚き、キレイな目をキョロキョロさせて、「その方は良く来られる人ですか?」と言われたけれど、残念ながらその男性も一見さんで、「始めてきたお客様です」と伝えました。
「ご自分も前に人からしてもらって嬉しかったから、人にもしてあげたいと思ってのことだそうです。もしよろしければお気持ちを受け取って、次は他の誰かに同じようにしてあげても良いかもしれないですね。」と言ってその場を離れました。
しばらくしてお遍路さんがお帰りになる際に、メモを書いた御札を2枚、手渡してくれました。
1枚はお店宛で、もう1枚は「もしもお金を払っていただいた方がまた来られたら渡していただくことはできないでしょうか?」とのことでした。
御二方ともに初めて来られた方だったためお渡しできるか正直なところ分からないけれど、せっかくなのでお預かりすることにしました。
まるで映画のワンシシーンを見たような、清々しい気分になりました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?