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Jリーガーからアプリでサッカーを教わる時代がやってきた 永井孝英さんインタビュー②

みなさん、こんにちは。ヨコハマ・フットボール映画祭note公式マガジン第36回を担当します、スタッフの澤野です。よろしくお願いします。

ヨコハマ・フットボール映画祭 2021の会場内ギャラリーにて、フットボールカルチャーを愛する皆さんとの交流の場、フットボール・エキスポ 2021が開催されます(ギャラリーは入場無料)!

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そこでヨコハマ・フットボール映画祭note公式マガジンでは、フットボール・エキスポ 2021へ出展される方へのインタビューを実施し、読者の皆さまへお届けします。

ディエゴ・マラドーナのユニフォームなどの世界的なコレクターである永井孝英さんにマラドーナの魅力について語っていただいた前回のインタビューはコチラ。

2回目の今回は、直接プロサッカー選手から自主トレーニングのアドバイスをもらえるオンラインサービス、カサトレについてスケールの大きなお話をご紹介します。
(2021年9月24日 オンラインにて取材)

起業のヒントは大阪梅田のスタバにあり

ーー永井さんがカサトレの事業を始めるにいたったきっかけはどういうものだったんでしょうか?

永井 僕は病院やクリニックなど医療系の事業の経営者なんですけど、同時に起業家の方の支援もさせてもらっているんです。それで元スポーツ選手の方から、起業のお手伝いの依頼をいただくことがあるんですよ。

大阪梅田の丸ビルの1階にあるスタバで、たまたま元Jリーガーの方とお話しすることがありまして。彼はサッカーのパーソナルなコーチをしているんですが、僕との話の途中で唐突にLINEを始めたんです。

何のやり取りをしているのかと思ったら、彼がコーチをしている子どものお母さんからその子のシュート練習の動画が送られてきていて、それについて延々とアドバイスをされているんですよ。

何故かというと、パーソナルなコーチというのはビジネスとして継続するのが難しいそうなんです。教えるためには場所が必要で、でも雨が降れば練習は流れてしまうし、冬は暗いので照明つきでないとダメだとか、安定的な仕事ではないんですね。

だからLINEを使ったサービスをしていると話されていて。その時に「これってビジネスになるんじゃないか」と思ったんです。コロナ禍が起きる1年半くらい前のことだったので、東京オリンピックの時に注目されるんじゃないかと考えたのがカサトレというサービスを思いつく最初のきっかけですね。

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モチベアップにつながる憧れのプロからのアドバイス

ーーカサトレはゴルフ・野球・テニス・アナウンスと複数のジャンルがありますが、サッカーのサービスについて教えてください。

永井 いたってシンプルなもので、サッカーのプレーを動画で撮ってカサトレのアプリにアップすると、現役のJリーガーもしくは海外でプレーするプロサッカー選手から直接映像でアドバイスが届くというサービスです。

特長の一つとして、一人だけのアドバイスじゃなくて、複数のプロのかたから送られてくるというのがあります。

例えばシュート練習一つをとってみても、フォワードとディフェンダーとゴールキーパーでは、それぞれ見方が違うじゃないですか。色々な視点から考えられた「〇〇君、こうした方がいいよ」というアドバイスが映像で送られてくるんです。

アドバイス

カサトレと言う名前は、スペイン語の Casa=家とトレーニングを組み合わせたものですけど、家庭教師アプリではなくて自主トレーニング支援アプリなんですよ。自主トレってどうやれば良いか分からない人のためにプロが支援するという形を目指しています。

トレーニングとかノウハウの映像ってYouTubeで大量に出回ってますが、見て真似するだけの一方通行になってしまう。自分のどこに問題があるのかは誰も評価してくれないので、その評価を複数のプロがしますというのがカサトレなんです。

いま無料体験を実施中ですので、お試しでぜひチャレンジしてみてください。プレー動画をアップすれば、プロからのアドバイスが届く体験ができますよ。

ーーいまコーチをして下さるかたは何人くらいいらっしゃるんですか?

永井 全てのジャンルで言うと今450人くらいで、サッカーだと80人くらいです。あらゆるポジションの選手がいらっしゃいますが、現役のプロか元プロしか登録できないようにしています。

なぜかと言うとアドバイスの内容も大事なんですが、自分の知っているあの選手が直接アドバイスをくれたという嬉しさやモチベーションも、サービスを利用している皆さんに楽しんでもらいたいと思っているからなんです。

例えば今ですと武藤雄樹選手、兵藤慎剛選手、水内猛さんが在籍していらっしゃいますね。

トレーナー

ーー利用されてらっしゃるかたからは、どんな感想がありましたか?

永井 サッカーの場合、保護者のかたがお子さんの映像を送ってこられることが多いんですね。地方にお住まいだとプロの選手と出会うことは中々ないので、直接お子さんに向けてメッセージをもらえたっていうのがやっぱり大きいみたいで。「子どもが本当に喜んでました」って声をいただくとこちらも嬉しくなりますね。

コーチをしているかたにとってもメリットがあるんですよ。カサトレを使用することで新しい顧客と出会うチャンスになるんです。そこで相手の信頼を得ることができれば次につながるじゃないですか。

実際にこれがきっかけで自分のスクールに通うようになってくれたケースですとか、さらに別のトレーニングをプラスしてもらえたり、知人を紹介されたりということにつながって喜んでもらえることが多いです。

現役のJリーガーからすると、意外に持て余している時間があるので、好きなタイミングでアドバイスを返せる今のやり方は合っているようですね。

リフティング

ーーコロナ禍で外出しにくい状況が増えた時期がありましたが、それによってサービスの需要が増えたということはあったのでしょうか?

永井 いや、サッカーはスクールを開催しながら登録を増やしていこうと考えていたんですけど、コロナで全部なくなってしまった、というのがありまして。

サッカーから始めたのにゴルフの方が先に盛り上がってしまって、いま会員が1万人を超えているんですね。それは一つにはゴルフの方が動画の撮影がしやすいというのがあるんですけど。

サッカーはリフティングやシュートの動画を撮る必要があるので簡単にはいかなくて、当初思い描いていたプラン通りにはならなかったですね。

でもやり続けることが大切だと思いますし、今は試合中のプレー映像を送ってもらうパターンもあります。それを見て「あなたはこういうレッスンをしましょう」とアドバイスするんです。少しずつ改善して新しいアイディアも加えていきたいと考えています。

動画

カサトレミュージアムがインバウンドを復活させる?

ーーホームページには「カサトレミュージアム」の記載がありますが、こちらはどのようなものになりますか?

永井 いろんなジャンルのスポーツ選手にユニフォームですとか、野球ならバットとグローブ、テニスならラケットなど、そういうのをお借りして将来的にミュージアムを作る計画をいま進めています。

マラドーナだけだったら映像もグッズもあるし、今すぐにできるんですけど。ただ権利関係が怖いかな(笑)彼だけではなくて、いろんな選手のグッズを集めて、ORコードを読み込むとグッズを使用した試合の映像やインタビューの様子が見られるようにしたいと考えています。

ーーこれはリアルなミュージアムのお話ですが、今後オンラインの要素は加わってくるのでしょうか?

永井 オンラインもいいんですけど、やっぱり実際にモノを見るっていうリアルの楽しさを感じて欲しいです。本当は東京オリンピックの時に開催しようとデパートや百貨店の方とも話をしていたんですよ。でも、むしろ人を集めてはいけない状況になってしまいましたので。

今後の展望としては、ご要望があった商業施設にその場で即席ミュージアムを作って見てもらおうかと。自治体さんとも移動式にして全国を回るようなやり方ができないか、話を進めている最中です。

今回のフットボール・エキスポでマラドーナのグッズを展示していただくのも、ある意味ミュージアムの要素がありますよね。

マラドーナの海外での評価って日本では想像できないような、それこそ神様みたいな扱いなんです。ナポリに行ったらみんなマラドーナのタトゥー入れてるし。

今も世界での影響力はものすごいので、海外から人を呼び込む、インバウンドを復活させる意味でもミュージアムのようなスポットが日本にあって良いと思っています。

ミュージアム

アプリで世界中に師弟関係がうまれる

ーーカサトレのメニューの中にアナウンスがありますが、今後スポーツ以外に対象を広げていくお考えはあるのでしょうか?

永井 東京オリンピックまではスポーツで行こうと思っていましたが、今後は日本の伝統工芸、例えば信楽焼とかそういうところに着手したいなと思っています。

オリンピックを機に日本の文化に興味を持ってくださった外国人のかたが、日本にいる時しかレクチャーを受けられないのではなくて、母国に帰ってからも受けられるようにしたい。伝統工芸の方にとっても、レクチャーだけでなく道具や物品の販売につながれば収益源になりますし。

スポーツだけにこだわっているわけではないので、様々なジャンルで海外にもサービスを展開したいですね。

とはいえもちろんサッカーには可能性を感じています。サッカーをやっている中国のかたでJリーガーに教わりたいという人、たくさんいらっしゃるんですよ。アルゼンチンでは世界的に有名な元プロ選手たちと現地で一緒にやらないか、なんて話もしています。

ーースポーツだけでなく、日本の伝統文化を世界中のかたに向けて発信できて師弟関係のようなものを結ぶことができるわけですね。今日はとても夢のあるお話をうかがいました。

永井 僕にも一つ夢があるんです。サッカーや野球をやりたいのにできる環境にない子ども達に向けて、例えば児童福祉施設などの施設全てにカサトレがインストール済のタブレットを無料で配布したいと思っているんですね。

スタッフが現地に行って一緒に練習するようなこともやりたいです。カサトレでトレーニングをした子どもたちの中から、Jリーガーやプロ野球選手が誕生するようなことがあったら良いなと。スポンサーさんのお力も必要になるでしょうけど、実現できるようにそこを目指して頑張っていきたいです。

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インタビューを終えて私が考えたのは、もし自分がカサトレのようなサービスを利用していたとしたら、子どもの頃のサッカーに対する向き合い方に変化はあったのかな、ということでした。

優れたアプリとオンラインサービスは時間と場所のコストを削って、自分にとって相性の良いコーチやチーム、仲間とマッチングできるチャンスを広げてくれると思います。

誰と出会えるかは人生において大切な要素ですので、カサトレが世界中で素敵な出会いを生み、たまたま生まれ育った場所の環境に左右されることなく、生涯サッカーを愛してくれる人や飛びぬけた才能を発揮する人を見出すきっかけになると良いなと思います。

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