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スペインの南の島へ旅立った女子サッカー選手が、いま日本で実現したいこと 千葉望愛選手インタビュー

みなさん、こんにちは。ヨコハマ・フットボール映画祭note公式マガジン第27回を担当します、スタッフの澤野です。よろしくお願いします。

ヨコハマ・フットボール映画祭2021(チケット好評発売中!)の会場内ギャラリーにて、フットボールカルチャーを愛する皆さんとの交流の場、フットボール・エキスポ 2021が開催されます(ギャラリーは入場無料)!

そこでヨコハマ・フットボール映画祭note公式マガジンでは、フットボール・エキスポ 2021へ出展される方へのインタビューを実施し、読者の皆さまへお届けします。

今回は2021-2022シーズン、スペインの女子サッカー2部リーグのクラブであるC.D. Femarguín SPAR Gran Canaria(フェマルギン スパー グランカナリア)でプレーする千葉望愛(ちばみのり)選手に、PROTAGONISTA(プロタゴニスタ)の活動についてお話をうかがってきました。
(2021年9月8日 オンラインにて取材)

千葉選手②

スペインからの近況報告

ーー新しいシーズンが開幕して、9月4日の第1節はアウェイでグラナダ戦。フェマルギンは惜しくも0-2で敗戦でした。noteには千葉選手はケガのためメンバー外とありますね。

千葉 そうなんです。試合の週の月曜日にヒザを痛めてしまって。軽いとは思うのですが、膝の怪我は初めてなのでどんな感じか自分でもわからなくて。しっかり治して、第3節あたりの出場を目指して調整したいと思います。

ーー千葉選手が今いらっしゃるグランカナリア島って、スペイン本土よりもアフリカ大陸に近いんですね。

千葉 モロッコの隣ですね。こっちは一年中天気が良くて、気持ちが良いですよ。

ーークラブ名のフェマルギンって地名なんですか?

千葉 クラブがある場所はアルギネギンって言うんです。その女子チームなので「Femenino+Arguineguin」で「Femarguín」。「SPAR」はスポンサーのスーパーマーケットの名前です。

ーー昨日(9月6日)がお誕生日だったんですよね。おめでとうございます!Twitterで拝見しましたが、どんな誕生日を過ごしましたか?

千葉 いや、普通ですよ(笑)午前中にジムでケアを受けて、お昼を食べて、チームメイトにお祝いしてもらいました。あっ、ちょうどその日にワクチンを接種したんです。そのせいか、熱はでなかったんですけど午後は身体が熱くて。薬を飲んでおとなしくしていました。

海外でプレーしている日本人サッカー選手たちが集結したチームを作って日本で試合をする理由

ーー千葉選手は今年の7月29日に石巻でマイナビ仙台レディースユースと試合をされました。その時のチームがPROTAGONISTA。このチームについて教えてください。

千葉 PROTAGONISTAは私のように海外でプレーする日本人女子サッカー選手で構成されたチームです。私にとっては新しいクラブみたいな感じかな。メンバーが固定されているわけじゃないから、クラブとはちょっと違うのかもしれないけど。

PROTAGONISTAはスペイン語で「主役、主人公」って意味なんです。サッカーでもよく使われるんですよ。試合後のインタビュアーが、ゴールを決めた人を「今日のプロタゴニスタです!」みたいに紹介するんです。

チームの名前をずっと考えていて、辞書とか引いて調べて悩んだりして。あまり短いのもイヤだし、長くても覚えづらいし。字のバランス的にも良さそうって感じで決めました。ホームページに書いてある理由は、ちょっとだけ後付けかも(笑)

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ーーPROTAGONISTAのプロジェクトは千葉選手が起ち上げから関わってらっしゃっていて、その経緯はご自身のnoteにつづられています。試合開催に至るまで大変だったことはありますか?

千葉 まず、PROTAGONISTAのメンバーが確定できなかったんですね。所属クラブとの契約の問題があるので、1年契約を更新したとして、その選手はこの試合に出場してよいのか、とか。

プロジェクトを日本でサポートしてくれるスタッフと共に、WEリーグ参入予定の複数のクラブさんにお話を伺わせてもらいました。

ただ、コロナ禍の今、11人以上の選手を日本に集められるのかといった不安要素も多く、対戦相手が決定するまでは時間がかかりました。また、私たちは日本にいないチームなので、会場の確保はどうするのかといった課題もありました。

最終的にINAC神戸レオネッサの社長さんが、クラブとして東北の復興支援をする予定があるから、そこにPROTAGONISTAが特別に参加するのはどうかと声をかけてくださいました。

震災から10年、私の祖父母も東北に住んでいることから「何かしたい」と思っていたんです。サッカーでできるのは嬉しかったので、是非とようやく試合が実現できました。

試合後にサッカー教室もやろうってなってそれは実施できたんですが、本当は試合前にオンラインイベントもしたかったんですけど、時間が足らなくて残念ながらできませんでした。

ーーそんな大変な思いをされながらも、プロジェクトをやり切ったわけですね。選手としての忙しさもある中で、今回の挑戦を貫いた理由はどういったものなのでしょう?

千葉 私は海外に行って、生活して、サッカーしてっていうのをかれこれ6年くらい経験したんですけど、こんなにも海外でサッカーをするのは大変なんだっていうのを実感したんです。

でも、日本ではあまり海外の女子サッカー情報を知れる機会は少ないですよね。岩渕真奈選手や長谷川唯選手がヨーロッパに移籍したことで、徐々に海外の女子サッカーの情報も日本で増えてきたのかな、と思います。

男子の海外組は代表選手が多いことも理由の一つにあると思いますが、ベンチ外でも日本のメディアで報道される機会が多くあります。

ただ、女子の場合得点を決めたり、リーグ優勝してもメディアで報道してもらえる機会が少ないので、少し悔しさもあります。そういった背景から、もっと皆さんに知って欲しくて、私は今もずっと個人のnoteで発信を続けています!

日本でPROTAGONISTAがプレーすることで、もっと私たちを身近に感じてもらいたいんです。

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千葉 今だったら子どもたちはWEリーガーを目指すっていうのもできるし、海外でプレーもできるんだよっていうのを選択肢として知ってもらえたらいいなって。

石巻まで試合を観に来てくれた人たちの反応もめちゃくちゃ良くて、嬉しかったです。SNSでもすごく皆さんが喜んでくれているのが伝わってきて、ちゃんと自分がやりたかったことが形にできたなって思いました。

今後のPROTAGONISTAの活動について

ーー今後のPROTAGONISTAの活動について、そしてフットボール・エキスポではどのような展示をされるのかお聞かせください。

千葉 今回よりレベルアップさせて、来年はもう一度東北の開催を検討しています。また今回スポンサーをしてくださったMálaga cf Japan Academyさんが宮古島にスタジアムを造る計画をしてらっしゃるので、いつかはそこでやりたいという想いもあります。

ーー宮古島に?スタジアムができるんですか?

千葉 もちろんまだこれからの話ですけど、芝のグラウンドは既にあってこれから整備していくところです。この動画を見ていただければ。

千葉 フットボール・エキスポでは、石巻での活動をお伝えしたいので試合などの写真の展示を行う予定です。それからユニフォーム、タオル、キャップ、キーホルダーを販売したいと考えています。

また、PROTAGONISTAのZINEの販売を予定しています。PROTAGONISTAスタッフ間で話題になったのが、日本の本屋さんのスポーツ雑誌のコーナーを見ても女性のスポーツだったり、女子サッカーの媒体がなかなか見当たらない、というモヤモヤがあって。

女性のスポーツ雑誌が当たり前にあるような状況を未来に作りたい、そのためにこの一冊を作ってみよう、という想いで鋭意制作中です。皆さんにZINEを手に取って見ていただきたいので、フットボール・エキスポのブースに遊びにきてもらえると嬉しいです!

私は残念ながら現地に行けませんが、日本のスタッフが私たちの活動とそこに込めた想いをしっかりと皆さんに届けてくれると思います。

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インタビュー時、終始フレンドリーで笑顔を絶やさなかった千葉選手。そんな彼女が女子サッカーに対するメディアの姿勢について語られた時は、ストレートな言葉と真剣な表情から今の状況に強く危機感を感じてらっしゃるのが伝わってきました。

ファンとしては選手自身がSNSで発信してくれる嬉しさがあると思いますが、もともと興味を持ってくださる方にしか情報が届きにくいというデメリットがあります。

既存のメディアにも取り上げてもらい、女子サッカーの魅力を知らない層へ新たな関心を呼び起こす工夫、そんな取組みの一つがこのPROTAGONISTAの活動なのでしょうし、とても大切なことだと感じました。

WEリーグの開幕戦、私は日テレ・東京ヴェルディベレーザ vs 三菱重工浦和レッズレディースの試合をTV観戦。塩越選手、素晴らしい決勝ゴールでした。これから先、国内・海外を問わずリーグやクラブ、選手たちが現在のそして未来のファン・サポーターとどれだけ物語を共有できるか、注目していきましょう!

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