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#43 走馬灯のエンドロール
これまでの人生を映像として
ぶわっと映し出されるのが走馬灯だけれど。
どういった記憶が自分の中に
秘められているのか分からないもので。
正直に言えば、1年前の今日の出来事さえ
何をしていたのか覚えていないけれど。
全てがぶわっと流れる走馬灯を見て、
こんなこともあったと笑えるのだろうか。
または、忘れていた人を見つけ、
また恋心を抱いてしまうのだろうか。
顔は覚えているけれど、
名前は憶えていない人もいて。
走馬灯のエンドロールで
その人の名前を再び思い出せるのだろうか。
誰かの走馬灯のエンドロールに
私の名前は刻まれているのだろうか。
そもそも、走馬灯には
エンドロールという概念はあるのだろうか。
退屈な人生を送った結果、
走馬灯が退屈なものとなり、
右下に表示されるスキップを押すのだろうか。
走馬灯が終わる。
そのとき、何が起こるのか気になって仕方がない。