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#49 人生を懸けるほどの恋
誰かに恋をするということは、
人生をその人に捧げるということ。
毎分毎秒進んでゆく時間は、
云わば余命を刻んでいるのと同じ。
だから恋をして苦しむ時間も、
ニヤけてしまうような時間も、
人生を懸けているのだと。
泣くほどの恋だった。
それだけ真剣に恋していた。
けれど、叶うことはなく。
人生を懸けた唯一の恋。
相手からすれば、
邪魔とさえ思うような恋。
私の唯一とも言えた恋心は、
相手にとっては必要のないことなのだと。
人生を懸けた恋が
呆気なく音もなく、沈む。
失望とも落胆とも言えず、
ただ生きてゆく希望がなくなった感覚。
目に映る日常が、
色のない世界のように見える。