
#40 好意の行方
昨日までは死ぬほど愛していたけれど、
目を覚ましたときにその好意は消えた。
何かおかしい。
あっさりと好意を見失うのは。
職場で出会った人だった。
見た目は怖かったけれど、話すと楽しくて。
半年くらいは友達だったけれど、
彼からの告白で付き合うことになり。
恋人として1年が経とうとしている朝。
私の中にある好意がどこかへ行った。
だからか分からないけれど、
彼からの「おはよう」という連絡に対して。
気持ち悪いとさえ思ってしまう。
何か嫌なことをされたわけでもないのに。
私は「おはよう」とだけ返し、
仕事に行く準備を始めた。
職場で出会った人だから、
職場に行けば会ってしまうわけで。
「今日の夜、ごはん食べに行かない?」と誘われる。
「ごめんね、今日は友達との予定が…」と断る。
予定なんてないくせに。
別れを選択してしまえばいい。
けれど、別れてしまうのは
どこか答えを間違っている気がして。
行方不明の好意を探す。
翌日になってもまだ見つかっておらず。
好意をまた抱くのが先か、
彼が私の思いを見透かすのが先か。
好きでいるという日常が
当たり前ではないのだとして。