『Hammond B-3X』レビュー 〜 ハモンドオルガン音源の最高傑作 〜 [機材レビュー vol.174]
普段良く使うソフト・機材を簡潔にレビューしていきたいと思います。
今回はハモンド・オルガン・ソフト音源、IK Multimediaの『Hammond B-3X』の使ってみた感想を紹介します。
特 徴
・ソフト音源で「Hammond B-3」を完全再現。
・細かい高度なエディットまで可能。
・T-RackSゆずりの高品質なレスリー・スピーカー付き。
・相性抜群のエフェクターも装備。
使ってみた感想
今回紹介するのは、IK Multimedia の『Hammond B-3X』というハモンド・オルガン・ソフト音源です。
名前の通りハモンド・オルガンの中で最高傑作と呼ばれている「B-3」を忠実に再現したソフト音源です。
オルガンはロックやポップスのアレンジには欠かせない楽器です。
オルガンの音源はいろいろありますが、僕はNative Instrumentsの『Vintage Organs』か、protools付属の『DB-33』を使っていました。
どちらも好きな音源で、楽曲の中に入れるには、この2つのソフトで充分アレンジできると思います。
しかし、今回の『Hammond B-3X』を使うとリアルさがワンランク上だと感じました。
もしも、ハモンド・オルガン主体の楽曲になると、クオリティにかなり差が出るんじゃないかと思いました。
感動したのは、ベースペダルの一番低い音もしっかりオルガンの低い音で気持ち良かったところです。
結構オルガンの低音はボヤッとしてしまうことが多いですが、『Hammond B-3X』音に芯もアリ感動しました。
高音ももちろん最高に気持ち良いです。
コツコツ鳴るパーカッシブの部分も、良く再現されています。
ハモンド・オルガンの音の雰囲気作りの肝となるレスリー・スピーカーも、T-RackSゆずりの申し分(もうしぶん)のない機能が付いています。
エフェクター関係もハモンド・オルガンと相性の良いものが的確に用意されているので、迷うことなく効果を加えることができます。
各ツマミの操作性も反応も良く、なめらかで抜群に使いやすいです。
操作性やエディットも充実していますが、何より「この音の良さだけでも大満足」というくらいの音質のクオリティです。
使い方
ハモンド・オルガンの使い方は、少し知識がないと音をコントロールするのはむずしいです。
元となる音は、ドローバーというバーを押したり引いたりして、倍音を加えながら音を決めていきます。
<基本のエディット>
『Hammond B-3X』のドローバーは鍵盤の上に並んでいます。
鍵盤それぞれの音色をドローバーで作ることができます。
左「UPPER」・・・上の段の鍵盤
右「LOWER」・・・下の段の鍵盤
真ん中「PEDALS」・・・フットのベースペダル
左下に「CONTROLS」「ADVANCED」という半透明のボタンがあります。
左側の「CONTROLS」をクリックすると、鍵盤上に一列で並んでいるコントロール部分が、ウインドウで大きく表示され、エディットしやすくなります。
ドローバーの上に並んでいるアイコンはドローバーのプリセットが記憶されています。
左が「ド」になっていて鍵盤の形で並んでいます。
これは鍵盤の左側にある、黒白が逆になっている箇所と連動しています。
右側の「ADVANCED」では、より細かい調整を数値で設定できます。
上の「MODEL」からは、トーンホイールを年代別で4種類のタイプから選ぶことができます。
「CHORUS」では、ストンプ・エフェクターとは別に、実機にも装備されている機能で、変調によって音を揺らし、ビブラートやコーラスの効果をつけることができます。
右側の「KEYBOARD SPLIT」では、下にある「SPLIT POINT」の設定を境に、使用する鍵盤を振り分けることができます。
例えば「LOWER / UPPER」を選択すると「SPLIT POINT」(画像はC3)より上の音が、上の段の鍵盤、「C3」よりも下の音が下の段の鍵盤になります。
「OFF」にすると一番上の鍵盤のみになります。
それぞれ3つの鍵盤を使用したい場合は、上鍵盤は「チャンネル 1」、下鍵盤は「チャンネル 2」、ベースペダルは「チャンネル 3」にMIDIトラックから信号を送れば、出力が可能になります。
見えにくいですが、右下には「EXPRESSION」のペダルがあり、レスリー・スピーカーに送る出力を調整できます。
<ストンプ・エフェクター>
ハモンド・オルガンによく使われるエフェクターが、5つ用意されています。
相性の合うエフェクト揃いで、ルーティングも固定されて迷うことなく音作りができます。
『OVERSCREAM』
ギタリスト定番の「Ibanez Tube Screamer」をモデリングしたオーバードライブ。
『EQ-PG』
グライコ(グラフェック・イコライザー)の定番「API 560」をモデリングしたEQ。
『Chorus C-1』
「Boss CE-1」をモデリングした、オルガンの良さを引き立てるコーラス。
『WAH』
オートワウも可能なワウペダル。
『Spring』
シンプルなスプリング・リバーブ。
<キャブ・スピーカー>
ハモンド・オルガンの雰囲気をグッと上げてくれるのは、やはりレスリー・スピーカーです。
昔からのキャビネット出力方法で、音作りを演出できます。
左下の項目からいろいろな設定が細かく調整できます。
『SETUP』
マイクの位置や広がりの設定、ドラムやホーンの回転の仕方を細かく調整できます。
『LESLIE AMP』
キャビネットの切り替えやアンプとの組み合わせと、フィルター、EQの調整ができます。
『LESLIE EQ』
周波数を3バンドに分けて、EQ調整ができます。
『GUITAR AMP』
ギターアンプからの出力も設定でき、ヘッドアンプのツマミを調整できます。
アンプは「BRITISH LEAD」(モデル:Marshall Plexi S100)、「HIAMP」(モデル:Hiwatt Custom 100 DR103)の2種類用意されています。
ハモンド・オルガンはギターアンプから出力してロックサウンドを作るという方法もあるので、これはありがたいオプションです。
『MIXER』
レスリー・スピーカーのドラムやホーン、アンプやDIの出力のバランスを調整できます。
<ポスト・エフェクター>
そして最終的なエフェクト調整にラック・エフェクターも付いています。
ストンプ・エフェクター同様、ルーティング固定で3つのエフェクターが用意されています。
『LIMITER 76』
大定番の「UREI 1176」FETタイプのコンプレッサー。
『EQ-81』
こちらも定番の「NEVE 1081」プリアンプEQ。
『REVERB』
シンプルで便利なデジタル・リバーブ。
好きなところ
・本当に音が気持ちいい。
・レスリー・スピーカーが気持ちいい。
・ギターアンプの出力が嬉しい。
・オルガンの音作りが完結できる。
気になるところ
・結構CPU負荷が高いです。
こんな方にオススメ
・ハモンド・オルガンをたくさんアレンジに使う人
・70年代のロックが好きな人
・IK Multimediaが好きな人
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