『Space Delay』レビュー 〜 アナログ・テープ・エコーをリアルに再現 〜 [機材レビュー vol.172]
普段良く使うソフト・機材を簡潔にレビューしていきたいと思います。
今回はテープ・エコー、IK MultimediaのT-RackS 5『Space Delay』の使ってみた感想を紹介します。
特 徴
・テープ・エコーの名機「Roland® RE-201 Space Echo™」を再現。
・DTMに良心的な実機以外の機能を追加。
・人気のIK Multimedia「T-RackS 5」シリーズ。
使ってみた感想
今回紹介するのはIK Multimediaの『Space Delay』という、テープ・エコーのプラグインです。
テープ・エコーとは、ディレイの中でも昔ならではの特殊な方法で残響音を作り、独特な音質のディレイ音を作ることができます。
そのテープ・エコーの大御所名機、1974年に発売されたRoland® 「RE-201 Space Echo™」を忠実に再現したモデリング・プラグインになっています。
この実機で、ピンク・フロイドから、ソニック・ユース、レディオヘッドまで、たくさんの有名なアーティストが名盤を作ってきました。
僕自身、テープ・エコーのプラグインはたくさん持っていますが、この忠実なGUIにやられて購入してしまいました。
ビンテージサウンドが好きなので、テープ・エコーの質感も大好きです。
特にギターにかけると、なんだか音に生命が宿る感じになります。
そして、『Space Delay』を使った感触は、もう言うことないです!
僕の知ってる限りですが、他のメーカーのものと比べても群を抜いて心地よいサウンドです。
実機のような、わずかにかすれたような絶妙な空気感がとても良い再現になっているのだと思います。
使用感は、テープ・エコーの仕組みが分かっていないと少し混乱するかもしれませんが、分かっていればとても扱いやすいパラメーターです。
使い方
使い方を把握するには、どのようにしてディレイ音が出るのかこの機材の仕組みをまずは知ることです。
シンプルに分かりやすく説明すると、磁気テープを読み取るヘッドが3つ付いていて、それを再生してディレイ音を鳴らします。
中にはスプリング・リバーブも付いています。
この仕組みをわかっていないと真ん中の大きなツマミ「MODE」の設定が分からないと思います。
「MODE」には「REVERB ONLY」を含めて12個の組み合わせの設定ができます。
❶ ヘッド「1」のみ使用。リバーブなし。
❷ ヘッド「2」のみ使用。リバーブなし。
❸ ヘッド「3」のみ使用。リバーブなし。
❹ ヘッド「2」「3」を使用。リバーブなし。
❺ ヘッド「1」のみ使用。リバーブあり。
❻ ヘッド「2」のみ使用。リバーブあり。
❼ ヘッド「3」のみ使用。リバーブあり。
❽ ヘッド「1」「2」を使用。リバーブあり。
❾ ヘッド「2」「3」を使用。リバーブあり。
❿ ヘッド「1」「3」を使用。リバーブあり。
⓫ ヘッド全部を使用。リバーブあり。
⓬ リバーブのみ使用。
右上の4つのツマミでは、スプリング・リバーブのEQ、ボリュームやLRパン振りを細かく設定できます。
その下の4つのツマミでは、ディレイ音のタイム(RATE)や、減衰(FEEDBACK)、ボリュームやLRパン振りを細かく設定できます。
下の灰色のパネル部分では、DTMならではのありがたいパラメーターが並んでいます。
これによって音作りがとてもやりやすくなります。
「FILTERS」
入力信号をハイパス/ローパスのフィルターをかけることができます。これがあると、作りたいディレイ音のイメージに近づけやすいです。音のイメージに近づけやすいです。
「DUCKING」
ディレイ音が実音のジャマをしないように調整できます。ディレイによくある機能ですが、この機能が簡単にできてありがたいです。
「NOISE」
磁気テープ特有のヒスノイズを加えることができます。
「TAPE AGE」
テープ・エコーはテープ交換をしないとどんどん音が劣化してしまいます。それをツマミひとつで調整できます。
「SYNC」
楽曲のBPMに合わせてくれます。
「HEADS TIME」
ヘッドそれぞれのディレイ音のタイムが表示されます。上の「RATE」の設定で変わってきます。
「HEADS PAN」
どのヘッドを使用しているかが赤いランプで確認できます。それぞれのディレイ音のLRパン振りができます。
好きなところ
・音質が良い。
・追加機能で納得のいく音作りができる。
・GUIがドキドキする。
気になるところ
・気持ちよくて言うことありません。
こんな方にオススメ
・テープ・エコーを知りたい人
・ギター遊びの効果音を増やしたい人
・ビンテージ・サウンドが好きな人
・IK Multimediaが好きな人
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・