人々のアイデンティティが”統合”され、どこでも、ありのままの姿で価値を発揮できる環境とは│後編【目指せ!自然体組織】
前編では、統合の必要性について書きました。
後編では、人が自分自身を”統合”し、ありのままに価値を発揮できるような組織を実現するために、スカイベイビーズで私が意識していることや、実際に取り組んでいることを書きたいと思います。
前編はこちら。
レッテル貼りをしない
まず前提として、自分自身のアイデンティティを統合していくためには、「本当の自分とは何か?」という問いに対して、整理し、発見し、自覚的になることが必要です。それには、自分自身の内省や自己分析が求められます。
会社の環境づくりとしてできることは、メンバーの個性を決めつけないこと。「あなたはこういう人だ」と決めつけることは、「会社での自分はこうあるべき」と、“演じ分け”を助長することにつながるほか、メンバー成長機会を奪うことにつながるからです。周囲がレッテルを貼らず、表面的なスキルや役割にとらわれないことで、その人の新しい適性や魅力を発見できるといえるでしょう。
たとえばスカイベイビーズでは、肩書きが「ライター」であっても、プロジェクトによってディレクターや企画者、会議リーダーの役割を担うことがあります。このようにさまざまな役割を経験することで、本人も周囲も「その人らしさ」を認識する機会が得られます。この繰り返しによって、それぞれの自分らしさを理解することが、アイデンティティを統合していくための一歩になります。
それぞれの、自分の掘り下げ方を見つけてあげる
先程の話から共通する部分もありますが、自分のことを完璧に理解できている人はいません。しかし、統合のためには自分自身を知り続けることが必要です。そのため、組織としてもメンバーが自分のアイデンティティを掘り下げ、自己理解を深めるための機会を提供することが重要だと考えています。
たとえばスカイベイビーズでは、「社内Meet Up」と称してメンバーの座談会を行い、それを社内向けに動画配信する取り組みをしています。座談会のテーマは、スカイベイビーズに加わった経緯、転職の経験、二拠点生活について、今年の目標など、プライベートから仕事に関することまで多岐にわたります。この取り組みは、メンバー同士の相互理解を深めるとともに、話者が自分のこれまでを振り返り、価値観を再認識するきっかけにもなっています。
他にもできそうなことを挙げてみると、ウェルビーイングを感じるために「毎日、よかったことを3つ書こう!」といった取り組みを続けることで、「自分はこういうことが嬉しいんだ」と、自分が持つ価値観を掘り下げることができるかもしれません。ヨガやサウナ、瞑想などで気持ちを静めながら自分の考えや過去を振り返ったり、キャンプなど非日常体験をすることでこれまでになかった新たな発見があるかもしれません。
自己理解を深める方法は人それぞれです。さまざまな角度から自己理解を深めるきっかけとなる体験を提供していくことが大切だと思います。
パーソナルな部分の開示ができる環境づくり
スカイベイビーズでは、私が必要に応じて各メンバーと1on1ミーティングを行っています。タイミングは期末などの節目や、メンバーからの要望があった時などです。
しかし、1on1の時間だけでは、メンバーの将来のビジョンや価値観を十分に理解することは難しいと感じています。結局は、日常的な何気ないコミュニケーションを通じて、ある程度パーソナルな部分を理解することが必要になってくる。周囲がその人の考えを理解するためにも、そして本人の統合へとつなげるためにも(仕事とプライベートを分けすぎるのもまた、アイデンティティの分散になってしまう)、仕事以外のその人の姿や考え、求めることなど、パーソナルな部分に触れることは必要だと思うのです。
スカイベイビーズでは、メンバー同士が自然にそういった部分を開示し合う空気が生まれていますが、このバランスを保つのは非常に難しい。バランスを誤ると、今の時代ではハラスメントと見なされる可能性もあります。
組織としては、自然と互いにパーソナルな部分を開示しやすくなるような雰囲気や環境づくりをしたいと考えています。つまり、「壁」を極力なくしたい。
そのために行っている取り組みとしては、会議の開始時に「チェックイン」として、最近あった出来事などを自由に話す時間を設けることだったり、先ほども話題にあげた「社内Meet Up」を行うことだったり。
また、「経営改善プレゼン」も壁をなくすための取り組みのひとつです。これは毎期末にメンバーに自由にスカイベイビーズの経営を改善するためのアイデアをプレゼンしてもらうというもので、営業戦略、業務効率の改善、自社事業の成果を上げるための案など、テーマは自由です。
この取り組みには、「自分には踏み込んではいけない領域」を作らないようにするという目的があります。組織そのものの透明性を高めることで、壁をなくしていく。ちなみに、スカイベイビーズでは経営資料やメンバーの報酬などを全メンバーが閲覧できるようにもしています。
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前編でも書きましたが、すべての自分を”統合”し、どこでもありのままに存在できれば、才能やスキル、個性などを、すべてのびのびと解放することができるはずです。そうすれば、メンバーが自分の持ち味を最大限に発揮しやすくなります。組織側が、統合できるようメンバーの背中を押すことで、組織的にも、メンバーそれぞれも、互いに大きな恩恵を得られるはずなのです。
私としては、これからもスカイベイビーズに関わる人たちが自分らしさを見つけ、のびのびと力を発揮できるよう、アイデンティティの統合を推奨していきたいと思います。