「ジャック・ザ・リッパー」私見報告書 vol.3
第二幕「暗闇が汝を照らすだろう」
第一場[地下研究室(1888年)]
不安を煽る旋律と共に第二幕はダニエルの地下研究室から始まります。
ダニエルと共に研究室に入ってきたのはアンダーソンとモンロー。
モンローは特に興味津々で室内を物色しています。
「高圧ガスを利用した冷凍装置です」
「勝手に触らないで下さい。圧力の調整を間違えばこの家まるごと吹っ飛んでしまうかもしれない。」
冷蔵庫すら大変貴重(しかも電気ではなくガス式)なこの時代に冷凍装置を保持するダニエルの経済力と研究への意気込みは目を見張る物があります。
「手に入れた臓器を新鮮に保管するってわけか。」
好奇心を抑えられず写真を撮りまくるモンロー。
アンダーソンはそれよりジャックの事を聞き出そうとしますが
「僕の方から連絡したことはありません。必要な頃になると、ジャックの方から訪ねてきて、次の計画を立てて帰っていきます。」
ダニエルからは煮え切らぬ返答しか貰えません。
そこへグロリアが話し声を聞きつけ部屋に入ってきます。
すかさず写真を撮ろうとするモンローにダニエルは激昂。
アンダーソンは二人を落ち着かせた後ジャックについて質問を続けます。
そこから舞台は一ヶ月前に遡っていきます。
歌のナンバーではありませんが、帝政ロシア時代を彷彿とさせる哀しみと不安、儚さを思わせる旋律がダニエルの必死さ、報われなさを紡ぐ言葉と共に客席へ伝えます。
個人的には最も好きなナンバーかもしれません。
一ヶ月前(1888年)
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