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ミュージカル「マタ・ハリ」を終えて Vol.1
皆さま暑中お見舞い申し上げます。
今年も暑そうですね。
マスクを着用しての外出が当たり前となっておりますが熱中症にも何卒ご注意ください。
どうかご自愛を。
もうご存知の方も多いと思いますが先日ミュージカル「マタ・ハリ」は関係者に陽性者が出てしまった為、上演予定回数を三回残し千穐楽という運びとなりました。
中止となった公演を楽しみにされていた皆様、大変申し訳ございませんでした。
お客様とキャスト・スタッフを守る為の制作側の判断をご理解頂ければ幸いです。
東京・愛知・大阪公演にご来場下さった皆様、応援してくださった皆様、支えてくださった皆様、この場をお借りして深く御礼申し上げます。
誠に有り難うございました。
さて、今回は史実の「マタ・ハリ」とミュージカル「マタ・ハリ」の考察を出演者目線含めてシーン毎にお伝えできればと思い筆を取った次第です。
ご観劇された方もご覧になっていない方もお楽しみ頂ければ幸いです。
DVDなんぞご購入頂ければ尚更・・・
マタ・ハリとは
二十世紀初頭、第一次世界大戦の最中、フランスを中心に活動したダンサー・ストリッパー・高級娼婦。
フランス、ドイツの両国に対しスパイ活動を行なった疑いでフランスに逮捕され、その後有罪となり銃殺刑となる。
「マタ・ハリ」というタイトルコールにもなっている名前は本名ではありません。
本名は「マルガレータ・ギェールトロイダ・ツェレ」Margaretha Geertruida Zelle
(カタカナ表記にしましたが発音は日本語変換では難しいです)
「マタ・ハリ」は史実ではダンサーとして活動する際の芸名として使われていました。
※因みに「まさとう」は本名です。変な名前だとよくイジメられました。
M1 生きろ
舞台はフランスのパリの市街戦から始まります。(実際に第一次大戦中にパリが被害を受けたのは市街戦ではなく後に「パリ砲」と呼ばれるドイツ軍が使用した当時世界最大の巨大大砲による砲撃でした。)
史実ではパリが占領されたのは第二次世界大戦ですが作品中ではパリが戦場となったことで人々の心に潤いを与えるマタ・ハリの存在意義を高めました。
瞋り、哀しみ、不安を抱えたこのナンバーは上演冒頭にも拘らず心身共に大きく体力を消費します。
M2 わたしは戻らない
マタ・ハリの公演は連日超満員(羨ましい)。
ステージの出来にも届いた沢山の支援にも満足なマタ・ハリの楽屋にフランス軍諜報部の大佐、ラドゥーがやってきます。
男が一人でマタ・ハリ程の人物の楽屋にアポなしで入ってくる。それだけで只者ではありません。
腹を探り合う間もなくラドゥーはスパイ活動へ暗に誘い且つマタ・ハリの秘密を知っていることを匂わせます。
「生まれ変わったの 拍手に抱かれ」
軍事諜報部のトップにこんなことを言われて怯えない人間はいないと思いますが、動じるどころかマタ・ハリは強さを増すのでした。
M3 この街の乾杯
舞台は苦しむ一般市民とは違い豊かなパリ社交会へ。
そこでマタ・ハリは話題の華。「ベル・エポック(良き時代)」「光の都」と呼ばれる芸術的、文化的豊かさを追い求める上流階級の人間達にとって大切なのは戦況よりも社交場。その中で注目を欲しいままにしていたマタ・ハリの存在は政治家、高等軍人にとって大きな意味がありました。
「奇抜で新しい芸術の誕生を祝おう」
首相であるパンルヴェは国の行く末を案じつつ社交会を敵に回す様なタイプではありません。
富裕層を味方に付けつつ経済面で利用する。
作品中最も賢かったのはパンルヴェだったのかもしれません。
加賀谷さんの振り付けもシーンを華々しく彩ります。
M4 人生と闘え
公演後の楽屋口を出たとこで出待ち客と話しているマタ・ハリのところへ酔っ払った非番の兵士たちが絡んできます。
困っているマタ・ハリを近くで見ていたイケメn・・・アルマンが助けに入ります。
暴漢たちにやられながらもマタ・ハリを救ったアルマン。
無謀とも取れる行動を取ったアルマンはその理由を語り始めるのでした。
「闘い抜け人生 いつか命が終わるまでは」
負傷したアルマンをマタ・ハリは自宅に連れ帰ります。
マタ・ハリにとっては普段出会うことのない「普通」の男性に少なからず興味を持ったのは間違いありません。
M5 一万の命
フランス軍第二事務所ではパンルヴェ首相とラドゥー大佐が戦場から送られてくれる報告を元に議論しています。
次々と通信室に情報が入りますがその多くが苦戦の連絡だったのでした。
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