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The first time in NYC. day 5(1/2)

突然ですが、尊敬する人物はいますか?

この質問、私はとても困る。
何故なら、沢山いるから。
既述である柔道の師範は勿論、今の世界に進んでからお世話になった方は数えきれない程いるので答えとしてはその全ての方と言っても良い。

では
「敬愛する人物はいますか?」
ではどうだろう。

これも何人もいる。
サッカーの世界、釣りの世界、珈琲の世界、料理の世界etc...
自分の趣味性が強く、かなり偏るが敬愛する人も沢山だ。
それだけアンテナを張って生きてきたと言えば聞こえは良いが結局落ち着きがないということなのだろう。

そんな中でも25年以上その動向をチェックしている人が二人。

一人はヒロ内藤氏。
宇宙飛行士、向井千秋さんの実弟でフロリダ在住のプロアングラーだ。

計算し尽くされた釣りのスタイル、穏やかな人柄、商品の丁寧な説明はファンを長年楽しませている。

彼のプロデュースするロッドを所持しているが、細かなところまで拘りに拘った一品だ。

今はプラドコのスミスというメーカーに籍を置いているが、私が所持しているロッドは彼がプラドコの中の「オフト社」に在籍していた時のモデルだ。

2018年に廃業したオフト社。
その中でヒロ内藤氏の全てが詰め込まれたロッドがあった。
その名も「The answer」。

完璧にヒロ内藤氏に心酔していた為、発売と同時に数本購入。
その時はまさかオフトが潰れるなんて思ってもいなかった。

「The answer」はグリップからトリガーの高さ、リールシート、ガイド素材、個数に直径等、細部の細部のそのまた細部に至る迄ヒロ内藤氏の持論がパンッパンに詰め込まられていた。
因みにグリップそのものは何とダイワ製!
例えるならトヨタとマイバッハの共同製作品といったところか。

更に今現在でも滅多に目にしないスパイラルガイドを採用。
そしてそれらを6フィートを大きく下回る5.5フィートにまとめることで、スパイラルガイドであってもキャスティング精度は勿論、ロッドパワーを過分にすることも分散させ過ぎることもなく魚とのファイトを楽しめるという究極のロッドだ。
拘り抜かれた分、当時の最高級品であり、その上少量生産だった為、今市場で見かけることは殆ど無い。
新品未使用品なんて幻と言って良い。
私自身、自分が所持している物以外を釣具屋でも釣り場でも見たことはない。

オフトが廃業=The answerの製造も終了。
つまりそれは私が所持する物に「二度と手に入らない物」がまた一つ増えた瞬間でもあった。 

この超激レアアイテム、釣り場で声をかけられることは日常茶飯事。
「写真撮らせてください」
と言われたことまである。
劇場を彷徨いても気付かれない私。
湖では当然ただの人。
でもこの「The answer」を所持しているだけで注目の的だ。
反面、盗難の可能性があるので一人で釣りに出る時は別の道具に替えている。
釣行仲間がいて初めて安心して持ち込める武器なのだ。

ヒロ内藤氏は今でもロッドを作り続けているが、「The answer」を超える作品を作り出すことは不可能だと感じている様だ。
実際、スミスに移ってから作ったロッドは「The answer」の廉価版と言えた。
オフト社がそれまで長年貢献してくれたヒロ内藤氏に好きに作って良いと自由に物作りをする権限を与えたあたりが面白い。
会社が潰れる前に最高の品を作ってくれ!!
タイミング的にそうとも取れる制作時期なのだ。
そしてその期待に見事に応えたヒロ内藤氏。

これからも素晴らしいアイテムや情報を発信し続けて欲しい。

二人目はゲームクリエイターの小島秀夫氏。
ご存知の方も多いと思うが、小島監督が手がけたメタルギアシリーズ、そしてKONAMIから独立してkojima productionを立ち上げて初めて発表したデスストランディングは私の人生に決して小さくない影響を与えている。

デスストランディング Death stranding

世界がパンデミックで分断。
人々は孤立し屋内に引き篭もってしまった。
プレイヤーは主人公サム(ノーマン・リーダス)を操作して物資(時には人)を配達。
配達することで都市と都市を、人と人を「繋ぐ」物語だ。
デスストの世界では再び世界が繋がる事に期待する者もいれば恐怖を感じている人もいる。
助けを求める人もいれば、自分たちだけ無事ならば良いという人もいる。
「繋がる」ことで変わる人も変わらない人もいる。

プレイヤーは配達する上で時には道を作ったり橋を作ったりもできる。
そしてネットの力を通してプレイヤー同士の助け合いも感じられる。
例えば通過困難な崖や川。
そこに誰かがかけた梯子やロープがあったりする。
それを使用し「イイね」をつけることもできる。
勿論、頑張って崖や川を渡り、ロープや橋や休憩場所を作ることもできる。
するとそれを利用した他プレイヤーから「イイね」が届く。
名前も顔も知らないただ同じゲームをやっている人から届く「イイね」はこのSNSの時代で麻痺した人との繋がり方を再認識させてくれる。
顔も名前も知らない人からの「イイね」で自分の仕事が評価されるデススト。
反面、名前も顔も知らない者からの非難を恐れ、多くの人間が当たり障りのないことしか発信できなくなりつつあるSNS。
どちらが「現実的」と言えようかと思ってしまう。

コロナ禍を経た今の世界から見ればなんてことはないゲームの様に思えるかもしれない。
しかしデスストをプレイすることはコロナ禍で自宅軟禁状態だった私にとってとても大きな息抜きだった。
現場でデスストを通じて会話が弾むことは今でも珍しくない。

何より驚きなのは、このゲームが2019年発売(コロナ禍前)ということなのだ。
コロナ禍を予見していたかの様な内容に世界は驚愕。
発売から五年経った今でもオンラインでプレイヤー同士の繋がりは広がり続けている。

メタルギアシリーズ Metal gear

反核、反戦をテーマに世界はどうあるべきかを強く問いかける作品。
シリーズ初作品から完結まで1987年〜2016年という恐ろしい時間を要した超ロングセラー&ヒット作品だ。
私が特に好きなのは「メタルギア3 snake eater」全てのメタルギアの祖と言える作品だ。
あ、3だからといって時系列が三番目というわけではありません。
そしてスターウォーズと同じパターンかと良く聞かれるがあんなチンケな中身極薄な21世紀に入ってからは金の匂いしかしない低俗SFと同じにしてはいけない。
例えば2010年発表のメタルギアソリッド ピースウォーカーでは核兵器の発射を人間ではなくAIに任せるという展開がある。

「感情」のある人間には核を射つことはできない。
しかしAIならば状況に応じて迷うことなく判断できる。
人間ならば大量殺戮兵器のボタンを押した者として歴史に名前が刻まれることを恐れる。
しかしAIならば誰も責められることはない。

信じ難い事に、実際に中国・ロシアが実践配備を検討していると報道が出た。

また、メタルギア solid snake の中ではレールガン(磁力)を使用することでロケット噴射を使用しないことを可能にしたミサイルが登場する。
つまりロケット噴射がないのでレーダーに映らないという恐ろしい兵器だが、これも第三世界で検討されていたという。
他にもクローン技術を使った兵士の量産。
ナノマシンを使用した特定の人物を狙った殺人、無人機による偵察や攻撃、兵士のVR訓練etc...
メタルギア(ゲーム)の世界の中だけだったものが現実世界に現れるいう、言葉だけを聞けば未来がやってきた様にも聞こえるが、それが兵器であるという事に憤りを感じずにはいられなかった。

とは言え、メタルギアの揺るぎないメッセージは「反戦」「反核」。
メタルギアⅤではオンライン上で自らの基地を保有することが可能となった。
その基地は拡大できたり、兵器や物資を開発できる上、他のプレイヤーの基地を攻撃することもできる。
攻撃から身を守る為に自分の基地に罠や見張りの兵士を設置。
兵士の人数や配置場所は勿論、持たせる装備まで決められる。
そしてこれが極付き。
「抑止力」として核兵器を所持することもできるのだ。
「攻撃された場合、核攻撃を行う」
とメッセージを発することができるのだ。
ただ、この核兵器は自ら「廃棄」が可能。
そしてオンライン上で核兵器が完全廃絶された(全プレイヤーが核兵器を所持していない状態)場合、特別なMOVIEが見れることがKONAMIから発表されていた。

誰もが自分の基地を守りたい。
しかし、その特別なMOVIEも観たい。

そんな葛藤の中、2020年7月。
遂にオンライン上で核兵器が完全廃絶されたことが発表された。

メタルギア核廃絶イベント

メタルギアⅤの発表から五年もの月日が流れていた。(ただしPS3版限定。PS4以降では不可能と断定された。プレイヤー数の少ないPS3版だったからこそ可能だったのだ。)

ご存知の通り現代では未だに12,520発の核兵器が存在すると言われている。(2023年段階)
ゲーム上ですらほぼ不可能な核兵器の廃絶。
人類はどう向き合うのか。


デスストランディングと併せ、まるで未来を予見しているかの様な小島秀夫監督の作り出す世界はいつも何度でも私を少年時代にトリップさせてくれる。
そして未来への活力を与えてくれる。
苦しい時も「未来は今の延長でしかない」と踏ん張れるのだ。

今回の渡米で私はメタルギアの世界を現実世界に感じることができた。

例えばこれだ

MGS2オープニング

このハドソン川をこの目で見られたのだ!
勿論タバコのポイ捨てなどしていないが、あの世界の一部をこの目で見ることができたのは感動の一言だった。
思えばNYは私にとって正に「聖地巡礼」の旅でもあったのだ!

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