田原イコール物語13「Zoomオンライン革命」
Zoomのことを教えてくれたのは、社会変革ファシリテーターのBob Stilgerだった。スカイプで話しませんか?という僕の提案に対して、Bobさんは、「Zoomで話そう」と言ってURLを送ってきた。
Bobさんと話した後、次にZoomで話したのは、Amy Lenzoだった。彼女にペイフォワードした後、「Zoomで話そう」と言われて3回話した。彼女は、ZoomとGoogle hungoutを組み合わせたオンラインワールドカフェを企画していた。僕は、WizIQを使ってグループワークをしているんだよと伝えた。当時は、Zoomには、ブレークアウト機能がなかったけど、WizIQにはブレークアウト機能があって、「反転授業の研究」では、オンラインでグループワークをやったりしていた。
国際的に活動する二人のファシリテーターがZoomを使っているということは、僕の意識をZoomに向かわせるのに十分な出来事だった。多くのWeb会議室を試していたが、1クリックで接続できて、簡単に録画できて、接続が安定しているところが、他のWeb会議室よりも優れていた。そこで、GoToMeetingをメインルームに使い、Zoomを8アカウント購入してグループワークをするというオンラインワークショップをはじめた。
2015年の12月頃、Zoomにブレークアウト機能が付き、1アカウントですべてができるようになった。阿吽の呼吸で動くミラクルな運営チームがいなくても、対話型のオンラインワークショップができるようになった。このタイミングで、オンラインコミュニケーションの革命が起こると確信して、Zoom革命というWebサイトを作った。どこが革命的なのかを言語化して発信し始めた。
一方的なコミュニケーションには、「押しつけ」という暴力性が潜む。発信側と受信側で考えに違いがある場合、修正を求められるのは受信側である。選択は、飲み込むか、拒否するかの二択になる。双方向で対話的なコミュニケーションは、お互いの違いが、それぞれの前提に対する思い込みを外すきっかけになりえる。自分にどんなバイアスがかかっているのかは、他人と話して、違うバイアスがかかっている人と話してみないと気づかない。お互いが、お互いにとっての気づきの源になる。
オンラインコミュニケーションが一方的なら、テレビや動画を見るのと変わらない。これは、プロパガンダに使われてきた方法だ。しかし、双方向で対話的なコミュニケーションをオンラインで実現できたら、これは、コミュニケーションの革命だ。地理的に離れた人同士は、違う文化で生きていることが多い。違いを学びの源にする対話的なコミュニケーションとオンラインの掛け算は、大きな可能性があると思った。
コミュニケーションが変わる、世界が変わる、Zoom革命
というのが、当時のWebサイトのキャッチフレーズだった。
新しいツールが出てきたときには、多くの人が使い方を学ぼうとするだろう。そのときに、使い方と思想とをセットで渡せるように本を書こうと思った。こうして2018年に出版されたのが、「Zoomオンライン革命!」だ。
この本は、How to 本のように見せかけて、社会変革の想いを詰め込んだ本だった。理想と現実のはざまでの調整は必要だったが、当時の状況の中でやれるだけのことをやって出版した。
Zoomを使った、ありとあらゆるワークショップ手法にチャレンジした。オンラインワールドカフェ、オンラインOST、オンラインフェス、400規模のオンライン読書会・・・などなど。一方的なオンライン研修を双方向に変えるためのコンサルもやった。「Zoom革命の田原さん」と呼ばれるようになった。
Zoomを手掛かりに、今までつながらなかった様々な領域の人たちと繋がり始めた。
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