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デザイナー報酬の不公平を考える

時給って、なんだか響きが怖い。
「1時間〇〇円です」と言われると、時間をお金に変換する魔法を掛けられているみたいで、少し背筋が寒くなる。それが例えば、スーパーのレジ打ちとか、喫茶店のバイトならまだわかる気もする。でも、これがデザインの仕事で…ってなると、何かが違う。

たとえば、Aさんが20時間かけてボタンの色を変えたとする。頑張ったんだと思う。でも、私は6時間でサイト全体の構造を整理して、新しいナビゲーションを作り直した。この場合、報酬はどうなる?そう、時給制なら、Aさんの方が私より高い報酬をもらう。しかも、割と大幅に。

なんだろう。このやるせなさ。
まるでファミレスでメニューを一通り見た後に、「今日はこれだ!」と思って頼んだ料理が、テーブルに届いた瞬間に「あ、やっぱり隣の席の人が食べてるカツカレーの方がよかったな」ってなる感じ。

この時給制の罠について、ずっとモヤモヤしてた。デザインの仕事って、時間じゃなくて成果で測るべきじゃないの?そう思って、私は考えた。いや、思いついたって言った方が正しいかもしれない。「デザイナーの仕事に時給は合わないんじゃない?」って。

時給制がデザイン業務に合わない理由

時給制って、どこかで間違えたルールなんじゃないかと思うことがある。だって、デザインって「時間」を競う仕事じゃないでしょ?いや、もちろん締め切りはある。でも、そこに必要なのはスピードじゃなくて、「どうやって価値を作るか」っていうことだと思うんだ。

たとえば、速い人が2時間で仕上げるデザインと、遅い人が6時間かけて作るデザインが同じだったら?時給制だと遅い人の方が儲かる構造になっちゃう。それって、頑張った方が損するってことじゃん。何その逆転現象。理不尽すぎるでしょ。

それに、デザインには「考える時間」も含まれている。いいデザインを作るためには、ただ手を動かすだけじゃダメなんだよね。クライアントの話を聞いて、「本当にこれでいいのか?」と悩んで、ひたすら考える。それって、言ってみれば見えない仕事なんだ。でも、時給制だと、その見えない部分はどう評価されるんだろう。無給?いやいや、考えることがデザインの命なんだから、そこを削っちゃダメでしょ。

結局、時給制ってデザインの本質をすごく無視してると思うんだ。速さや効率ばかりに目が向いて、本当に大事な部分が置き去りになっちゃう。でも、デザインって「どれだけ愛を込められるか」の勝負じゃない?速さじゃなくて、質とか、思いやりとか、そういう見えないものがデザインを形作ってる。だからこそ、時給制はデザイナーにとって相性が悪い。いや、正直言って、最悪なんじゃないかって思う。

適切な報酬を考えるためのポイント

時給制の罠をどうにかして抜け出したい。そう思った私は、頭をひねりながら考えた。そしてたどり着いたのが、「工数の平均を基準にする」というアイデアだ。デザイナー一人ひとりの速さやスキルじゃなくて、プロジェクト全体を支えるチームの平均で考えたらどうだろうって。

たとえば、UIデザイナーが中心になって動くプロジェクトがあったとする。そのデザイナーの工数を計算する時に、「速い人」「遅い人」みたいな個人の差を気にするのをやめて、営業や企画、エンジニア、テスター…そのチーム全体の平均をとる。そうすれば、「頑張った人が損をする」なんてことはなくなるんじゃないかと思ったんだ。

実際、私が試してみたのは、固定の金額で「この範囲で好きにやってください」とお願いするやり方だった。でも、それだけだとサボられた時に困るから、定期的に状況を共有し合うルールを決めた。「次は何をする?」「それがどんな価値を生む?」をお互いに確認し合う。その上で、進捗とアウトプットを見て報酬を払う。そうすると、不思議と「やらされ感」がなくなるんだよね。

もうひとつ工夫したのは、「デザイナーに任せすぎない」こと。デザインって、魔法みたいに見えるのかもしれないけど、実はそんなに万能じゃない。だから、依頼する側も「デザインに何を期待するか」をちゃんと考えて、具体的に伝える。曖昧なまま「いい感じにして」と言われると、デザイナーが無駄に時間を使ってしまう。結果的に、報酬が「いい感じ」じゃなくなっちゃうんだよね。

報酬の仕組みを見直すことで、デザイナーも依頼する側も、もっとお互いに気持ちよく仕事ができる。大事なのは、速さや効率だけじゃなくて、「この仕事にどれだけ価値を感じられるか」。それが報酬の新しい基準になるんじゃないかと思う。

ただこれが正解だとは思わない。

後日談

時給制って、デザイナーにとってはちょっとした罠みたいなものだ。もちろん、時給制自体が悪いわけじゃない。コンビニのレジでも、カフェのバリスタでも、それが適している仕事はたくさんある。でも、デザインの仕事には、そのまま当てはめられない。

デザインは単なる作業じゃなくて、思考や観察、調整が絡む複雑な仕事だ。速さや効率よりも、「どれだけ価値を生み出せるか」が重要だと思う。だからこそ、報酬の仕組みを見直す必要がある。

もしかしたら、これを読んでいるあなたは、「じゃあ具体的にどうすればいいの?」って思ったかもしれない。正直言うと、まだ答えは見つかってない。でも、それでいいと思ってる。私たちがすべきことは、まずこの問題について考え始めることだ。そして、デザインに関わるすべての人が、自分たちに合った方法を少しずつ探していけばいい。

報酬の仕組みを変えることは、デザイナーだけじゃなく、依頼する側にとっても価値のあることだと思う。お互いにもっとフェアで、もっとやりがいのある仕事ができる。その先にあるのは、「ただの取引」じゃなくて、「いい仕事を一緒に作る」っていう信頼関係だと思うんだ。

デザインの未来はまだまだ広がっている。その中で、報酬の新しい形を見つけていくことは、きっとみんなにとってプラスになるはず。もしこの記事を読んで、「私だったらこう考える」と思ったなら、ぜひ教えてほしい。お互いに学びながら、もっと良い未来を作っていけたら嬉しいな。

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