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バンコクでスプレーの練習をする
この2ヶ月で2つの壁画をやることができました。どちらもタイのイサーンと呼ばれる東北地方のウドンタニ県でのこと。
「何かもう少し速く描けるといいんだけどな。」2つの絵を描きながら思う場面がありました。その時に描いた絵はどちらもベタ塗りなので、大きな面積を絵具で塗っていると時間がかかります。アクリル絵具を使っていたのですが、色によっては2度以上塗らないと下地が透けてしまいました。
素早く大きい面が塗れて、発色が良い画材。YouTubeなどの映像で見ていたスプレーの速さが印象的だったので、物は試しとまずはスプレーの練習をしてみることにしました。
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グラフィティ用のスプレー mtn / Montana color
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調べてみるとバンコクでもグラフィティ用のスペイン製でモンタナ社のスプレーを扱っている店がBACC内にありました。
モンタナのスプレーの特徴は、発色が良く、耐候性と速乾性に優れている。
噴出の圧や油性/水性、仕上がりの光沢/マットによっていくつかのタイプに別れ、さらにキャップの種類により噴出の大きさや仕方を変える。リサイクル可能。
手にした2種類のmtnスプレーの違いについて
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MTN 94
最も色数の豊富で、なんと217色!
マット(ツヤ消し)仕上がり。速乾。
低圧でラインのコントロール性能に長けている。繊細なラインが引ける。
400ml 220バーツ。
名前の由来はモンタナ社の誕生1994年から来ているのであろう。
匂いが甘い。変なことを言うようですが、これまで使った覚えのあるラッカースプレーなんかとは全く違う甘い匂い。ぜひ皆様にも嗅いでみていただきたい。
HARDCORE
109色。
高圧。高光沢。速乾。
400ml 220バーツ 使ってみると、MTN 94と比べて圧はそれほど変わらなく感じました。仕上がりはかなり光沢。僕は圧倒的にマット仕上がりが好み。
こちらの匂いは甘さがなし。
他にも水性や缶のサイズ違いや乾燥スピードなどで、全部で10種類以上がカタログに載っていて、NitroとかT.N.TとかMaximoだとか、名前がかっこいい。
キャップ(ノズル)
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キャップも16種類もあって、Super Skinny CapとかNY Cap FatとかAstro Fat Capだとか、こちらもいちいち名前がかっこよいのだが、多すぎて良くわからないし、まずはスプレーを使えるようになるのが大事なので、一番線の細い「94 Cap」と太い噴射もできる「NY Cap Fat」の2つを選びました。
94 Cap
0.8〜1.8cm
NY Cap Fat
1.9〜5cm
しばらく使っていると、キャップの中に乾いたスプレーが詰まってしまうようで、丸型に噴射されなくなってくるので、キャップはたくさん持っておいたほうが良さそう。
どういう使い方をしていけそうか
スプレーはノズルの圧、画面との距離、缶を動かすスピードで線の太さをコントロールします。まっすぐな線を引きたければノズルを正面に向けたまま、画面との距離を保って腕や身体を使って描くあたり、手や手首を使う鉛筆や筆なんかと大きく違う所です。
スプレーが上手に使えるようになれば、この記事の冒頭で書いた「何かもう少し速く描けるといいんだけどな。」の解決ができるのは間違いなさそうです。
いや、これうますぎやろう。
スプレーをはじめるにあたり、グラフィティアーティストの動画を探して観ていたのですが、キースヘリングもシェパード・フェアリーも手伝ってくる人がいて、キース・ヘリングなんて巨大な絵を刷毛で描いてたし、なるべく速く仕上げるのは悪いことではないけど、絵を描くのは時間のかかる場合もあると覚悟をして臨むことの方が必要そう。
YouTubeで公開したバンコクでのスプレー購入から練習動画です。
案ずるより産むが安し。ガンガン行こうぜ!
追記:2022年4月7日
スプレーは冷蔵庫で保存すると冷えて、噴射が弱くなり細い線が描きやすくなります。スプレー屋の店主から聞いたテクニックです。
スプレーの練習を兼ねて18日連続1日1枚のスプレー画をやりましたので、スプレー好きの方ご覧ください。