在米ポスドクのGreen Card(EB-2 NIW)申請
はじめに
2022年8月アメリカ生活も6年目になり、H1bビザになった。今後アメリカに研究するにあたり、永住権があった方が何かと便利かと思い、Green Card(EB2-NIW)を申請することにした。申請当時に以下のような情報があれば良かったなと思い、記録に残すことにする。
ここに書いてあることはN=1の経験である、間違いがある可能性をあらかじめ了承していただきたいが、後進のために残したい。
Spec
自分はPhDを日本で取得後、アメリカの大学でライフサイエンス系のポスドクをしている。申請時にGoogle Scholarの引用数は1500以上、原著論文は15報以上あった。
EB-1 vs. EB-2
EB-1には2種類ある。研究機関がスポンサーになるタイプ(Outstanding Professors and Researchers)と自己推薦タイプ(Extra Ordinary Ability)である。自己推薦型には相当な業績が必要であるらしい。
EB-2にも2種類ある。スポンサーが必要なAdvanced Degreeかスポンサー不要なNational Interest Waiver(NIW)である。
私はポスドクなので、大学がスポンサーになってくれることはない。従って、選択肢としてEB-1(Extra Ordinary Ability)かEB-2 NIWである。EB-2 NIWはGoogle Scholar引用数が100以上くらいから申請の可能性があるらしい。
申請スピードには日本国籍者の場合*、EB-1とEB-2で申請時間に変化はないらしい。それならば、私はハードルが低いEB-2 NIWを申請することにした。
*申請を検討した当時、中国人の同僚はEB-1(Extra Ordinary Ability)**を申請していたので、自分もてっきりEB-1を申請した方が良いかなと思った。これは国別の事情があるようである。EB-2 NIWには国ごとに申請枠があるらしく、中国、インド国籍者は大行列で10年待ちというのが一般的なようである。EB-1には国ごとの申請枠が無いようである。以上のことから、中国、インド人にはEB1を申請する強い理由がある。幸い、日本国籍者はEB-2 NIWにあまり申請する人がいないので、EB-1とEB-2 NIWで時間的な差が無いようである。
**EB-1(Extra Ordinary Ability)に通るためのBarは非常に高いことは上述したが、Barの高さがアメリカの西海岸と東海岸で異なるようである。結論、西海岸の方が東海岸よりずいぶん高いようななので、中国国籍者でEB-1(Extra Ordinary Ability)を申請する際は、上手いことやって西海岸に住んでいても東海岸の事務所に申請するようである。厳しい競争をくぐり抜ける中国、インド国籍者のしたたかさ、ハングリーさに敬服する。
申請手順
1. 申請者個人による永住権請願書(Form I-140)*の申請
2. アメリカ国内:Form I-485の申請
アメリカ国外:NVCを通してDS-230の申請、その後大使館・領事館にて面接
*I-140のApprovalを貰えると、ほぼ自動的にI-485の申請は通るらしい。
移民弁護士選び
そこで、まずは移民弁護士事務所選びである。3つの事務所にQuoteを取ったが、どれも似たような値段かつ成功した場合にのみ報酬受け取り型だったので、最も大手といわれているChen Immigration Attoneysにすることにした。どの移民弁護士事務所もCVに基づいて判断するので、失敗はほとんどしないと思われる。できそうな人のみ、申請するので成功率は限りなく100%に近いのでしょう。
我々は自分らの労力を最小限にしようという観点から、3つとも同じような価格になったが、自分らで書類作成をするとかだと安くかつ価格にもう少しばらつきがあるような印象がある。
Chen Immigration Attoneysを利用してみて、質問すればだいたい24時間以内に返信が来るので、非常にResponsibleであると言える。
I-140書類作成のLegal Sevice料として$3500であった。これにRecommendation letter(後述)の数を増やすにつれて価格は上がる(Max +$1000)。
I-140のFilining feeとして$700、これにUSCIS(United States Citizenship and Immigration Services)にPremire processingを付けると+$2500かかる。
従って、最小$4200で申請できるわけである。悪くない自己投資といえる。
Recommendation letterつける?
当初は移民弁護士事務所に言われるがままに、Recommendation letterを2通付ける予定だった。ところが、Recommendation letterの依頼をするのが面倒に感じたかつ似たような業績の友人がRecommendation letter無でApproveされたという情報を得たので、Recommendation letter無で申請することにした。結果はLet's see!
I-140申請までにどれくらい時間かかる?
移民弁護士事務所がI-140の正式な書類を作成してくれるといえども、先方は私のことを全く知らないわけである。なので、論文以外にI-140のApprovalに必要と思われる書類(学歴を証明する書類、代表的な被引用論文3報ずつ、新聞掲載、商品化、雑誌のEditorやReviewer経験)を自分のことを全く知らない人に確かな証拠を持って示す必要がある。どのMaterialを採用するか方針を決めるのに、20時間くらいかかった。一旦、そのMaterialを基に、移民弁護士事務所が下書きとなる1-140を作成してくれる。その上で、正誤を確認したりと書類を整えるのに+10時間くらいかかった。
2022年8月から始めたのにも関わらず、時間がある時に作業したので、2023年4月になってようやくI-140申請書類が完成した。時間が空くと、前回何をやったのか忘れてしまうので、集中して短期間で書類を作成した方が良かったのではないかと反省している。
2023年5月9日ようやくI-140を正式に申請した。
2023年5月11日USCISより申請受理のお知らせを受け取る。
2023年5月17日USCISよりApprovalのお知らせを受け取る(Premire processing早い!)。
I-140Approval後の手続き(I-485)
I-140が承認されると、第二段階が待っている。それはI-485と言われるもので、漸くGreen Cardを正式に申請できる。ただしEB-2 NIWの場合、I-485は申請できるのはI-140が承認された順で、長い順番待ちがある。EB1の場合、よりアメリカに貢献する確率が高いので、順番待ちは基本的に無い。詳細はUSCISから毎月更新されるウェブサイトを参考にするとよい(https://travel.state.gov/content/travel/en/legal/visa-law0/visa-bulletin/2025/visa-bulletin-for-january-2025.html)。実際に私も2024年10月に申請資格を得た。
I-485申請に向けての手続き
書類仕事は移民弁護士に任せたので、聞かれたことを1-2時間かけて書類記入するだけで完成した。問題は健康診断やワクチン接種の履歴を提出する必要があり、日本では必須ではないがアメリカでは必須なものがあり、2回1月あけて接種する必要があったため、ワクチン接種履歴をコンプリートするまでに11月になった。そこから必要書類を移民弁護士に提出し、それをUSCISに提出するに至るまでに2024年12月になった。