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外資コンサルで得られた仕事の「型」

1.はじめに

社会人教育の会社で新規事業開発をやっている南日(なんにち)と言います。

自己紹介は「こちら」です。自分自身がなぜプロフェッショナル系企業をやめて、今学び事業をやっていきたいのか、「自らの死」の経験を踏まえて想いを書いています。興味ある方はぜひ!!

2.この記事って何?

私が外資コンサルティングファームに勤めていた時代に培ってきた、仕事を前に進めていく上での「考え方(仮説検証)」を、多くのビジネスマン/ウーマンにできる限り分かりやすくシェアをしたいと考えこの記事を書いています。社内勉強会をやりましたが満足度100%!(ありがたい!)であり、是非ともこれは世の中にもシェアしたいなと思いました。

主に下記のような方々に特に読んでいただきたいと思っています。

・資料作成に悩んでいる人
・新規事業の企画書、改善案の提案書の作成に悩んでいる人
・営業資料を訪問直前の30分でサクっと作成したいと考えている人
・リサーチ資料を簡潔に纏めたいと思っている人
・サポーターとしてチームに簡潔に報告をしたいと考えている人
・プロダクトマネジャーでユーザーストーリー作成に悩んでいる人
・「経営コンサルティング」の仕事って何?と思っている就職活動生や、転職を考えている人

それでは、さっそく本題に入っていきます。

3.コンサル時代に得られた仕事の武器

初めに経営コンサルがどういった仕事をしているのかを簡単に共有させてください。その上で、私が得られた「仮説検証」の考え方についてご紹介していきます。

◆ 「解のない仕事」へのやりがい

経営コンサル時代は、本当に記憶がないくらい働いていました。ピーク時は月に400時間は普通に働いていました。なぜそんなに働くのかというと、難易度が高いアジェンダに短期間で価値を出すことが求められるためです。

クライアントにとってみれば3~5年に1度しかやらないような重要テーマに対し、コンサルは3か月~半年単位という短期間で解を提示しなくてはならず、更には勉強とは違って明確な答えがない課題を解く必要があります。

その過程には、、、
「プレッシャー」「とてつもないスピード」「プロ意識」「経営課題」「組織課題」「経営者・担当者の悩み」などなど解のない世界であり、わからないから出来ないという言い訳は通用するはずもなく、自身の成長カーブをものすごい勢いで描いていかなければ価値を出せなくなってしまいます。

ビジネスにはざっくりと2つの両輪が存在するとします。

「思考すること=戦略」
「行動すること=実行」

コンサルの仕事は「短時間で思考すること」をクライアントから求められています。クライアントの組織内部の力学を理解した上での戦略・実行計画をします。戦略といっても全社戦略、人事戦略、組織戦略、M&A戦略、交渉戦略、海外事業戦略などなど多岐にわたります。

解が無いことに”短期間”で挑むことから、「イシュー(=解くべき課題)」の質をいかに上げられるかがプロジェクトの成否を大きく分ける。

アサインされた最初のプロジェクトはもちろんですが、多くの上司から丁寧すぎるほど指導をしてもらいました。特にコンサルの仕事は「短期間」で価値を出す必要があるため、メンバーが半日でも早く立ち上がり価値を出せる環境整備がプロジェクト成否に直結します。KPIみたいなものですね。

短期間で価値を出していくために必要となるのが「仮説検証」という考え方です。「解くべき課題」を間違えてしまうと課題解決に向けた施策も結果的に間違えた方向性に走り、結果何も変わらないという悲惨なことが起きてしまいます。

◆ バリューのある仕事とは?

続いて少し異なる観点からです。価値のある仕事について考えたことがある人はビジネスマン/ウーマンは多いでしょう。人間に唯一平等に与えられているものは「時間」です。有限な時間を効率的・効果的に使っていくためには再現性のある考え方があります。それが仮説検証というものです。

仮説検証4

(図1:バリューのある仕事とは)
※安宅氏の「イシューからはじめよ」を参考に筆者作成

◆ 「仮説検証」という仕事の武器

仮説検証については色々な書籍が出ていますが、私がいたデロイトでは下記のような流れで仮説検証し続け質の高い課題を特定することを教わっていました。新卒研修で叩き込まれたので忘れたくても忘れられません笑。

仮説検証

(図2:課題設定のための仮説検証の回し方)
※デロイト時代の学びから筆者作成

少し具体的に説明させてください。
前提を置くと、これが1週間でやりきるプロジェクトとします。①~④は、まず1日でザっと1サイクル目を終わらせることをイメージしてください。

①事前調査(30分で十分)
プロジェクト、或いは自分自身が今取り組もうとしている目的を整理します。その上で自分自身が初見の業界、或いは分野であれば目的に沿って簡単にインターネット等を活用して調査します。Wikipediaも意外と馬鹿になりません。
プレリサーチの目的は「知らない言葉を知る」くらいのイメージで、ざっとやってもらって大丈夫です。人は好奇心旺盛です。知らないとできない!ということは勇気をもって捨て、ザックリで知らないことあっても問題ないや、くらいの気持ちでやってください。

仮説立案(2時間)※ここまででランチ
1週目としては、まずは初期仮説を作ります。「我々は今回は何の課題を解決すべきなのか?」を最初は意識しながら課題となりそうなものをどんどん書いていきます。例えばですが、東京~大阪間の高速での交通渋滞を解消したいという目的があるとします。その場合はこんな感じでやってみるのが良いでしょう。

「普通に考えたら、渋滞は入口、ジャンクション、出口で起こっていそうだな。実体験からするとジャンクションが込み合っていそうだからここに課題があるかも。その要因ってサービスエリアもあってブレーク踏む人が多く事故が発生したり速度が遅くなるケースが多いのかもしれない。じゃあ速度が落ちることや事故を減らすための施策を考えるとよいかもな」

上に書いたことは、私は車を運転しないので全然外れているかもしれないのですが最初はそれでいいのです!頭で考えるのではなく、とにかく言葉にすることが大事です。

③(仮説を検証する)ファクト収集(2時間)※ここで15時くらい
次に、➁に記載した仮説があっていそうか情報収集をします。気を付けなければならないのが、この時の情報収集は必ず「ファクト」をベースにすることです。これってお前の意見?それともファクト?と最初はよく上司から言われました。これは「ファクト」と「推察」は分けろということです。なぜ分けるのか?それは推察というのはその人の「経験」からの解釈がふんだんに無意識的に入ってしまっているためです。

その人の知見だけで課題が特定できるほど簡単なものはなくて、上司や更にその上のパートナーくらいから意見を引き出すためにも、「ファクト」をあてることが良いと考えています。

ちなみにですが、情報収集は1次情報、2次情報、、とありますが可能な限り1次情報に当たります。上記記載の通りで、2次情報は少なからず誰かの解釈が入ってしまうものです。「ファクト」×「1次情報」、の2つは意識してください。

■ ④仮説検証(2時間程)※17時過ぎに終了
➁で出した仮説、及び③で収集したファクトをつなぎ合わせたもので、仮説が立証できそうかを検証します。少しずつ初期仮説が確からしいか?ということを何度も検証していきます。ここまでの話をいったん下記に纏めます。

仮説検証2

(図3:仮説検証を回すイメージ)

という感じで、最初は精度は荒くてOKです。このサイクルを回していくのですが、1サイクル目は1日で絶対に終わらせましょう。
参考までに3か月のプロジェクトであれば、1週間でそれなりの精度の課題までもっていくことを目標にしていました。

この段階まで来て初めて「施策」を考えます。多くの人は、施策を最初から考えてしまい(例:渋滞減らすには、道路情報をもっとネットで流せばいいんじゃない?)、施策が課題解決に関係ないものになってしまう、という事態が発生してしまいます。

これまで仕事で意識してきた「イシュー(=解くべき課題)の質をいかに上げられるか」ということが、現在プロダクト開発、そして新規事業開発に大変活きているなと思っています。特にモックを作り、想定ユーザーに当てて改善する営みは今でいうとPdM的な役割ですが、こうしたことにも非常に役立っています。

ちなみに質の高い課題とはこんなイメージです。これは「イシューからはじめよ(安宅氏)」の本を参考にして作成をしました。

仮説検証3

(図3:質の高い課題の3つの条件)
※安宅氏の「イシューからはじめよ」を参考に筆者作成

少しだけ雑談をします。

「あのさ、分かったフリするのやめてもらえる?」

これは、最初にアサインされたプロジェクトで上司から静かに諭された言葉です。ぼくは言われた瞬間は何のことを言っているのか理解ができず、
「え、分からないときは分からないって言ってますけど」
みたいなコミュニケーションをしていました(笑)

要するに、上司が言っていたお話と、私が理解したことの差には大きなGAPが存在しています。経験や知識が異なるため1つの文章でもその理解の深さは全然異なります。そのため私は様々な質問をして、可能な限り上司の思考プロセスをインストールする必要がありましたが、その行為を怠っていました。

仮説検証でも似たようなことが良く起こります。課題をちゃんと特定すればいいんでしょ?それやりましたよ!みてください!といった風に。見てみると、そこに記載されているとはただのファクトの寄せ集めであってり、ファクトと解釈が混ぜてあるため何の根拠もない仮説であったり。そして立証不可能なレベルの荒い課題が記載してあったりと。。。

◆ 仮説検証の実作業のイメージ

上記のようなことを実務で推進していると➁の仮説立案と③の情報収集で、何がファクトで何が自分の推察なのか混乱してくることが多々あります。そのため実務ではExcelやスプレッドシートにて下記のような形で調査した内容のファクトを整理し、どのファクトから何が言えたかをログのような形で残していっていました。

仮説検証5

(図5:実作業のExcel活用イメージ)

こういった形でまとめていくと、チーム間での連携も可能であるし役割分担も容易にできるようになります。解くべき課題で役割分担をする等、チームで分担する際は丁寧なコミュニケーションをすることが前提ではありますが、しっかりと誰がどの課題に向き合っているかが見えてくるとタスクの修正も機動力高く実施できるでしょう。

4.さいごに

仮説検証という行為は大変難易度も高く、1日やそこらでできるようにはなりません。わたくしも1年くらいは全然なれず毎日ボコボコにされていました。ただ、考え方自体はシンプルなので、是非とも質の高い課題を特定できるよう皆さんも意識して仕事に取り組んでみてください!(私もまだまだ道半ば・・・)

そして、こちらにも書きましたが私が実現したいことについて書いています。エンジニアをはじめ仲間を募集中ですので、興味がある方は是非ともご連絡いただけると幸いです!

◆ 実現したいこと

私がヘッドの新規事業開発室では、「働くことを心から楽しめる人を1人でも増やすための、学び流通サービス」の開発に着手しています。B2B向けで具体的な開発内容はここでは言いませんが、大きくは下記の方向性で直近の戦略を考えています。

■ ①次世代の「学び方」のデファクトを作る
仕事と学びの連動性を高めることで仕事がめちゃくちゃ楽しくなってきたという感覚を、特に企業で働く若手~課長/マネジャー層に少しでも多く共有していきたいです。

今の学びは「重い」です。これをもっと「軽く」して学びという行為を意識させない、仕事と融合させる体験とその仕組みを作っていきたいです。

今の学びは、、、
(仕事以外の時間で)学びの目的設定→学ぶものを選択→やってみる→長期間学び続ける(だいたい途中で飽きる)→???。

と、アクションが長く言葉を選ばずにいうと「かったるい」と感じてしまいます。当然深く学ぶためには時間を取ってしっかりとやる必要がありますが、今は数パーセントの人がガッツリ学び(MBAに行く等)、その他のライトな学びはあまりカバーされていないと捉えています。

「今の常識」は、最初のチャレンジ時点では「非常識」です。松下幸之助氏は水道哲学で多くの人に家電を普及していくことにチャレンジし続けていました。それと同じで最初のハードルは高いかもしれないが、仮説を何度も回していくことで実現可能なスキームを見いだせると信じています。

■ 「企業人事」「企業内育成」そのものの再定義
2020年労働力人口は縮小時代に突入しました。企業としては急速な時代変化に対応するための経営・事業戦略を掲げ、少ない人数で戦略を実行しつつ、更に管理職はメンバー成長にコミットしなければ戦略を実行しきれない時代です。こうした時代における能力開発は従来の集合研修だけでは対応が難しく、経営陣としても待ったなしの課題に昇華されつつあり、既存の学びをアップデートすることが急務となっています。

生涯学習の時代だからこそ、従業員にとって納得感のある学びを促進していく役割を企業が主体となり担うべきだと私は考えています。この10年おそらくこれまで以上に大きな変化が来て、簡単には太刀打ちできない社会課題が山のように発生してくると思います。そうなると、今の人事が考える育成では決して間に合わず、現場からの課題に直結した学びをタイムリーに提供していく必要があります。

リアル中心だった学びの領域に対してテクノロジーの力を使い、働くことを心から楽しめる人を1人でも増やし、自分のモノサシで生きられる人を少しでも増やしたい。これが私自身の想いであり、今チャレンジしていることです。

◆ 仲間を絶賛大募集中!

私の新規事業開発室では現在、フェーズは違えど複数のSaaSを構想しています。課題のメカニズムを説き明かしていくためにも小さくプロトタイプを作りながら仮説検証をしているフェーズでほんのりですがPSF(Problem Solution Fit)が見えつつあります。

起業ではなく、企業内での新規事業にも関わらずここまで一緒にやってきているメンバーには感謝しかないです。教育領域で事業をしていくことは大変意義があることだとも日々肌で感じています。しかしながら、僕たちだけでは市場をより良い方向にドライブしていくことには限界があります。

そのため、教育業界の人たち(或いは外の世界も!)と未来の教育をどうしていくのが日本・世界のために良くなっていくのかを議論しながら一緒に市場を創っていきたいと私は考えています。このプロセスで私たちが目指している方向性が一緒なのであれば是非ともジョイン・提携等をさせていただきながら、One Teamで市場・事業を盛り上げていきたいです。

私はこれまで「競争」を意識しすぎていました。これからは、チームメンバー、そして一緒に市場を創っていけるパートナーと共に「共創」していきたいと強く思う所存です。

めちゃくちゃ長くなってしまいましたが、皆さまこれからどうぞ宜しくお願いします!

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