映画のことはよく知らない――2020年6月に観た映画まとめ
映画のことはよく知らない。よく知らないが大好きだ。映画館という空間も大好きだ。
これは映画レビューというより備忘録的メモであり、主に映画館で観た映画についてのとりとめのない日記である。
六月に観た映画をまとめて短くレビュー。計11本でした。
※六月最終日にアップしようと思ったらもう七月も四日である。おまえはいつもそうだ。
デッド・ドント・ダイ
こちらはレビューしました。
みんな観てスペースキャット顔になろう。なってください。お願いします。
ハーレイ・クインの華麗なる覚醒
『いい子は天国に行ける。でも悪女はどこへでも行ける
Good girls go to heaven, bad girls go everywhere』
とはアメリカの女優でシンガーのメイ・ウェストの名言らしいですが、それを体現しているかのような映画。バットですべてをぶっ壊すハーレイクインの生きざまが爽快です。
でも本来なら、良くたって悪くたってどっちつかずだって、女はどこにでも行けるはずだ。男と同じように。
暗数殺人
犯人役のチュ・ジフンの、顔のいいサイコパスぶりを堪能できる一作。渋くて地味だがいい映画。
自分が被害者や遺族なら、刑事役のキム・ユンソクが「被害者を忘れない」(うろ覚え)とたったひとりでも捜査を続ける姿にたぶん救われる。
ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語
文句なしの名作。
監督のグレタ・ガーヴィグは「20センチュリー・ウーマン」での演技、監督作の「レディ・バード」での手腕で信頼を置いていて、今作も間違いなく素晴らしい。
過去と現在を交差させ、重ねる演出が上手い。これについては余力があればきちんとレビューを書きたいものである。
AKIRA
これが1988年製作で約三十年も前の作品とは。アニメに(も)くわしくないのでこれがどれだけ後世に影響を与えたのかわからないが、いま見てもなけなしのオタク心と中二の血を湧き立たせてくれる。ちなみに初鑑賞です。原作も通っていません。
強固なホモソーシャル(あるいはブラザーフッド)においては、女は癒し要員でしかなく、どん底の男は男にしか救われない。
ドクター・ドリトル
品のいい、よくできたジュヴナイル動物アドベンチャー映画。
原作のトンデモ冒険児童小説が好きなので、あまりによくできたお行儀の良さが少々合わなかったが嫌いじゃないんです。よくできているからこその違和感なんです……。
エジソンズ・ゲーム
常軌を逸した天才を演じたら右に出るものはいない俳優、ベネディクト・カンバーバッチ。今作も独りよがりだがパワフルな天才役でしたが、実は主役はマイケル・シャノン演じるウェスティングハウスでしたね……。
盛り上げ方がエキサイティングで、くわしい知識はなくとも流されるように観てしまう。
悲しみより、もっと悲しい物語
主役カップルがほかのカップルに仕掛けたやり口がどうにも気に入らない。あれは酷い。主役ふたりが最初からちゃんと話し合って幸せに結びついていれば、誰も不幸にはならなかったはずだ。主役の彼ら自身含めて。
でもそうやって「話し合わない」「話し合えない」からこそ恋愛はこじれるし物語も生まれるのだろう。まんまと泣かされました。
ランボー ラスト・ブラッド
ランボーまったく通っていないのに観てきました。ふだんなら観ないジャンル。映画に飢えていたのです……。
案の定、ファンなら大喜びだろう箇所もわからず、心苦しい。女性はランボーの最期を演出するためのトリガーでしかないと思ってしまいましたが、呵責のない殺戮シーンは胸が躍りました。前作を観ていれば、後悔を引きずって生き延びてしまった戦士の悲哀にもっと胸を打たれたはず。
ワイルド・ローズ
なぜ母親ばかりがいつも家庭と仕事のあいだで引き裂かれなければならないのか。なぜ母親ばかりが親としての責任を問われるのか。などと思ってしまうのは偏見だろうか。
秀でた歌唱力があるのに、シングルマザー家庭と前科のせいでカントリーミュージシャンとしての夢を絶たれそうな、主人公のローズ。幸運が重なって夢をつかめそうになるも、子どものためにあきらめかけるが……。
カントリーミュージックというのは保守色が強いらしいので、彼女が憧れのナッシュビル(カントリーミュージックの中心地)ではなく、故郷グラスゴーと家族を選ぶのはやはりバックボーンとして大事なことだったんだろう。
シングルマザー/前科者/子持ち/女でも、夢をあきらめる必要はないし、夢のためになにかを犠牲にしなくてもいい、というエンパワメント性のあるいい映画だった。主役のジェシー・バックリーのパワフルでソウルフルな歌声も素晴らしい。そういえば、やはり歌手が主人公の「ジュディ 虹の彼方に」で、バックリーはジュディのマネージャー役だった。支える側から歌う側へ。
スケート・キッチン
実在する女性だけのスケートチームのメンバーが出演する、スケートボード青春ストーリー。
過干渉な母親から逃れてスケボー仲間を見つけるも、いつもどこか居場所のないような顔を画面に映す主人公のカミーユ。衝突して決別してからが友情。十代終わりのもやもやに、属するコミュニティを見つけるまでの不安定さが加わって、危うくて危うくて。スケートボードの爽快さだけではない、女の子の痛み。
2020年6月のBEST3
1位:ストーリーオブマイライフ
2位:ワイルド・ローズ
3位:AKIRA、暗数殺人
twitterではワイルドローズは入ってなかったのですが、振り返りながらレビューを書いていたらやはりいい映画だったなと思い直して2位に。
映画館解禁でいつもの月より多めに観ました。満足。