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なぜ、父である社長は、息子の言うことを聞いてくれないのか?
事業承継について、15年近く父の会社で働いている、跡取り息子の僕の視点から書いています。
30~40歳代の跡取りが、一番もやもやしているのは、『父社長が、自分の言うことを全然聞いてくれない!』ということではないでしょうか。
意見を言っても聞いてもらえず、新しいやり方を提案しても否定的。
そうかといって、それに代わる考えがあるわけもなく、社長自身の考えていることは全然教えてくれない。
なのに、古株や他の従業員の話は、積極的に聞いたりする。
なんで?
息子の立場からすると、明らかに今の会社にプラスの発言をしているのに、なんか軽く見ているというか、「とりあえず聞いておく」位で、全然本気で動こうとしてくれない、って見えてしまう。
これが積もり積もって、『もやもや』⇒『怒り』にまで発展しがちで、本当に良くないなーって思っています。
かく言う僕自身が、そうでした。
僕は、父の会社に入る前、別の大手の会社で勤めていたので、そこの経験値から、父の会社の無理・無駄・ムラなどを改善したいと思って、色々と提案をしてきました。
結果は、『聞く耳もたず』。
もやもやし続けて、最後の方には、父を責める言葉を連発するまでに発展してしまいました。
そして、「会社の後を継がせない」と言われてしまったわけです。
良かれと思った言動が、結果、誰も幸せにしないということに、本当に悲しさを感じます。
では、どうすればよかったのか。
僕の結論は、『社長に話を聞いてほしいお前は、社長の話を聞いてあげたか?』です。
自分の意見や提案をする前に、ちゃんと社長の話を聞く姿勢を持っていたかどうか。
自分の意見を聞かない人間の意見なんか、聞きたくないっていうのは、当然のこと。
それは、相手も一緒。
自分の抱えているもやもやは、その相手である社長も抱えている可能性があります。
「こうしたいんだけど、これっていつから、こうなってるの?」
「なるほど、いいね、そういうことなんだね。でも、こうしたら、もっと良くなりそうじゃない?」
少しばかり、社長の昔話に付き合うことになるかもしれませんが、その話を聞いてあげて、また肯定してあげることで、社長も『受け入れられている』という感覚になるはずです。
そのうえで、「こうしてみてもいいかな?」という、相手の価値観に沿った提案ができれば、今までよりはスムーズに事が運ぶと思います。
そうなんだよねー。僕ももっと早く気が付いて、社長の話を聞いてあげられていたらなー。
中小企業の場合、息子から事業承継の話って切り出しずらいし、また話に出しても、「まだまだワシは元気じゃ」って感じになるから、なかなか話しずらいっていうのが現実だと思う。
でも、70歳近い社長の場合、確実に次の世代のことは考えているし、実はワシはこう考えているんじゃ!って感じで、自分の考えを聞いてほしがっているはず。
なのに、「ワシに考えも請わんと、自分の考えばっかり話よってからに!」って、たぶん思っているんじゃないかなって、今は思う。
ついつい、自分の意見が客観的で正しいと息子は思いがちだけど、たとえそうでも、まずは社長である父の話をしっかり聞いてあげて、社長が受け入れやすい土壌を作ることも、大切なんだろうなーと思っています。
だって、今まで頑張ってきたのは、父である社長なんだから。
肉親という、距離が近い分、難しいことも多いよね。
でも、大丈夫。
きっと、うまくいくはず。
応援しています。
今日も、頑張っていきましょう!
※音声も、毎日配信しています。
Stand f.m.『社長にならない息子のラジオ』です!