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「渋谷の広告-episode 0-」熱狂の始まり

タイトルはスターウォーズ的な何かを意識しているわけではない。

本当にそう思わされる出来事が、つい先日起きた。

渋谷の広告から始まった、プロモーションについての記事を書かせていただいた。おかげさまで、いろいろな方々に読んでいただき、心の中で感謝を何度述べたか分からない。もはや壊れかけの何かのように繰り返していた。

ただ、それもつかの間。壊れかけが完全にスクラップになる瞬間が訪れた。それは読んでいただいた方とのやり取りの中で起こった。


・・・おんや?


おそらく、3回は目をこすった。いや、4回かもしれない。違う、回数はどうでもいい。

重要なのは書かれている内容を私が知らなかったことではない。いや、それも重要だが。それ以上に書かれている内容がこの上なく面白そうということだ。

すごいと思っていたプロモーションは、実は一部に過ぎず、フタを開けてみれば始まりはもっと前にある。どうやら、そういうことらしい。

・・・・・調べましょう。だって、なに。告知なしのサイレント放映って。プロモですよ?告知しないの?お店開いたのに告知しないのと一緒ですよ?

もはや隠れた名店の感じがしてきた。これは味わってみるしかない。味わおう。


起こりはいつ?

ここからは先に挙げた記事を見て頂いた前提で話を進めていこうと思う。なので、もし読まれていない場合はサラッとでもいいので、先ほどの記事の内容を読んで頂ければ、これ幸い。

では、本題。そもそも私が認知していた流れは以下。

12/16に「幕が上がる」広告
12/17に「黒く塗りつぶせ。白く染め上げろ。」の幕

ここまででも感動していたが、これよりも前に熱狂の種は既に撒かれていたということになる。頂いた情報をまとめると

12/15に 渋谷サイレントジャック&日本各地15か所+台湾1か所 映像広告
12/16に「幕が上がる」広告
12/17に「黒く塗りつぶせ。白く染め上げろ。」の幕

こうなる。つまり、仕掛けは15日から、本当の熱狂のはじまりはここからだったのだ。


プロモーションは、ただ始まるわけではない。

起こりが分かったところで、次に気になるのはこのツイートの中にある最後の文だろう。

「これを北から読むと」

何が起きるのか、パルプンテである。冗談である。

このいただいたリプには続きがもちろんある。


はい、感動。(すみません、2回目です)


16日につながるストーリーが出来上がっている。これを見ていたとしたら、ファンの17日の盛り上がりはより一層だったと今なら分かる。

しかも、これに留まらず!各地の映像でのセリフの頭文字をつなぎ合わせるとメッセージになるのだが、先ほどの流れをもう一度確認してみてほしい。本当に確認してほしいから、同じのを↓にも書く。2回目にはもう慣れたのだ。

12/15に 渋谷サイレントジャック&日本各地15か所+台湾1か所 映像広告
12/16に「幕が上がる」広告
12/17に「黒く塗りつぶせ。白く染め上げろ。」の幕

・・・お分かり頂けただろうか。

ホラー番組っぽくなってしまったが、業界的にはとってもホラーで、プロモとしてはちょっと見慣れないことをしている。

各地で行うことは事前に告知をしていて、多くの人がツイートしていることが分かる。ただ、冒頭のツイートにもあったように

プロモなのに、
知ってほしいのに、
6面もジャックしてるのに、

渋谷だけ実施の告知をしていないのだ。失念であるとしたら、業界が業界なら怒られるどころの騒ぎではない。半沢直樹の最終回を彷彿とさせる事態である。

ところが、ファンの反応を見るとどうやら意図的に行われていることが推察できる。どんな経験をしてきたんだ、このファンの方々は・・・と思わず、雑魚キャラ感が顔を出す。

ここまでが一連の流れである。なかなか変わったというか、クライシスな取り組みだと感じるが、とは言え、このプロモーションは結果的に見れば大成功だった。

下のグラフを見て頂きたい。「アイナナ」を含むツイートの件数を1か月間で見ると、明らかにツイートの推移が飛躍的に上がっていることが分かる。この上がり方を超えるものは、直近1年間では8月のみであった。3日間の合計で言えば、それすらも凌ぐ件数となっている。

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では、16日と17日については前にも触れているので、今回は15日の成功した理由を見てみようと思う。


どこに向いてるの?ファンでしょ!

前回、話した内容ではUGCをリアルとネットで発生させる設計が素晴らしいという話をした。今回も同じようなことは言えるが、同じことを言ってもつまらないので、別の観点を中心に。


渋谷のサイレント6面ジャック広告は一般に向けて、新規層に向けてという狙いはもちろんあったと思う。なぜなら「なんだ、なんだ」という話題を起こすことにはつなげやすいからだ。実際にグラフの中にはファン以外のユーザーの声も入っている。しかし、私はこれが主の狙いではないと思っている。

これもやっぱり、ファンを重視したプロモーションなのではないだろうかと考えている。

ファンの心理をとてもよく理解していることが見えるからだ。

ファンはファンである前に「人」である。とても当たり前の話でびっくりしているかもしれないが、これが実はかなり大事。

人は良いものがあると誰かに教えたくなる性分で、SNSが台頭してきてからはその性分も加速している。皆さんにも思い当たる節があると思う。シェア疲れ、SNS疲れなんて言葉もあるが、それでも日本でSNSは一般的に普及していると言えるレベル。さらにはシェアすることで自分はこんな人だよ!と自己表現することもある。

では、それが「特定の物事に熱中できる人、情熱を傾けられる人」いわゆるファンならどうなるかを考えてみてほしい。

おススメしたくてたまらないだろう。その欲求は非常に高いと言える。ただ、どの業界でも言えることだが、

知らない人に教えたいと思ってもファン同士でつながっており、ファン層以外に広める機会がないことも多いだろう。

友人に勧めるくらいのものだと思う。その心理を上手くついているからこそ、このプロモーションは成功したと言える。

例えば、渋谷で6面ジャックという行為は、業界人でなくともだいたいの人が大きなことをしているというのが分かる。くじら!と言ったら、大きい!くらいのロジック。

その「だいたいの人が分かる大きなこと」を自分の好きなものがやっていたらどうだろう?

「すごいことをしているんだよ!」「人気があるからできるんだよ!」といったように周囲に分かりやすく伝えられるポイントになる。それが渋谷という不特定多数の人が行き交う中であれば、多くの人にすごいことの認知が予めされる。その状態で多くのツイートがされれば、知らなかった人たちにも届くし、ある程度の認知がされているから興味関心を想起しやすい。

さらに、それに拍車をかけるのが6面ジャックとセットの「サイレント」だ。暗号を解いた!感が何より、ファンであることを誇りに思える瞬間や体験を作り出す。そして、その熱量をTwitterにぶつけてもらえると考えたら、何が起きるかは言うまでもない。というか、結果はグラフの12/15を見れば明らか。

ファンが言いたい心理を理解し、その機会を作る。そして、運営側ではなく、ファン発信の情報で新規層へアプローチする流れができている。


もはやファン重視というより、ファンを信頼したプロモーションだったのではと感じます。



最後に・・・

ファンの皆様におかれましては、名も知らぬメディアで前日の流れを知らずに考察をしていたにも関わらず、温かいお声をかけていただいてありがとうございました。

今回取り上げさせて頂いた経緯としては、プロモーションとして面白いということもありますが、ファンの皆様の熱意に感動したことが大きいです。「マーケティング寄りの記事」としてではありますが、こんなに夢中にさせる理由を知りたくなりました。
※あくまで、記事としてはマーケティング的にフラットな目で書かせていただいております。

私としても、とても面白いプロモーションに触れられたことは素直に嬉しいです。作品がもっともっと愛されるようになることを願っております。ありがとうございました。




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