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メッセージの作り方

外資系IT企業のBusiness Developmentとして働く一つのタスクに、「メッセージを作る」というものがあります。ある製品やサービスをマーケットに出していく上で、「顧客にとってどのようなバリューがあるものとして感じてもらうか」つまり「この製品やサービスをどううけとってほしいのか」「どのようにマーケットに訴求していくか」といったメッセージを作るというものです。

世の中にはこの取り組み方として、様々な手法や考え方、ノウハウがあるものと思います。
最近少しこの「メッセージを作る」について考え、人にお伝えしたので、自分なりのやり方を書きだしてみます。

といっても、特段特別なことは考えていません。考えれば考えるほど複雑になるので、シンプルに。
そして何より先人の教えに忠実に考えます。

私の場合、結論からいうと、STPを明確にすることを最優先の目標としています。
・Segmentation:市場をどのような軸で分けるのか
・Targeting:その分けられた軸のどこを狙うのか、その優先順位はなにか
・Positioning:その狙うべきターゲットにどんなメッセージを出すのか

徹底的にこのSTPを明確にすることを考えます。

特にSegmantationはすごく意識していて、「どのような軸で市場を区切るのか」に思考の時間を使います。なぜならばこの軸が独自な軸であるほど、「自社を優位なポジショニングにおける」と考えるからです。またそのメッセージが多くの人に、クリアに理解してもらえるように、軸はシンプルである必要があります。そのためいつも下記のような、4象限の軸で区切ることを考えています。


大体の場合、すでに暗黙的な軸があり、1軸は容易に決まります。がもう一つの軸がなかなか難しい。なぜならば多くの場合、「市場を区切る」という思考から入らず、「この製品の特徴をいかしてこの市場を狙う」という思考から入ることが多く、よって市場にあわせて区切られていることが少ない。結果。2軸という制限が出てくると表現しきれないことが多いからだと思います。複雑かつ多軸になると、メッセージは薄れるし、理解されずらい。なんとか2軸にする。それが自分なりのポイントです。

では、その軸を決めるためにはどうすればいいか。
もちろん世の中には様々な情報が手に入り便利な点もありますが、結局は市場調査に尽きるのだと思います。生の声、現場の声、反応。それらを蓄積しながら総合的に考えます。

軸を決めたあとは、TargetingとPositioningです。特にPositioning。どうやってその狙ったセグメントに響くメッセージを作るか。
そのために使うフレームワークが、4Pと3C、Product Lifecycleです。自分の場合はこの3つをいったりきたり、組み合わせて考えます。

・この製品の特徴はなにか。それら特徴は他社と比べて強みがあるのか。顧客のニーズにマッチしているのか、その特徴は届くのか。(4PのP毎に3Cを考える)
・この領域の市場浸透率はどのくらいか。市場はこの領域や製品をどう捉えているのか。(Cを考えるときにProduct Lifecycleを考える)

これらフレームワークで整理された情報を俯瞰的に見ながら、TargetingとPositioningを決めていきます。もちろん、ここからSegmentationに戻ることもあります。独自な軸を作れるほど、TargetingとPositioningがより尖ったものになりますので。

以上が自分のやり方です。STPを決めるために、3Cと4P、Product LifeCycleを分析していく。

ただいろいろな人と話してみると、3Cと4P、Product LifeCycleあるいはSWOTはある程度整理されているのに、So What?がないことを見かけます。あるいは、「だからここにこれをこう売る」と急に粗くなる。もしくは、「昨年こう売って成功したから(失敗したから)こう売る」「自社の強みはXXだからこう売る」とそこから急に入ることも多い。多くの場合、社歴の長い人や、業界に長い人、長い間そのサービスに関わった人がメッセージを作る事が多い、がゆえにそうなりがちなのではないかと思います。「みんなの暗黙的な共通認識があるから」という前提になるからと思うのですが、「その共通認識をあえて一旦おいて、軸を決めるという目的のために、他角度から考えてみる」ことが重要だと思っています。そして何より「市場からMECEに考える」ことが重要だと考えています。

よって、「メッセージを作る」ために最も重要な考え方はSTPです。
とにかく4象限で考えてみることです。如何に独自の軸を見つけ出し、他社とは違う軸でポジショニングできるか。

自分はそう考えながら、メッセージを作っています。
そしてこの作業が大好きです。

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