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この世に蘇った川端康成

遅れながら明けましておめでとうございます。
長いこと時間が空いてました。
すっかり去年の出来事になってしまいましたが、この話をしたいと思います。

2018年12月10日。スウェーデンの地に蘇りました。

この日はノーベル賞授賞式でした。
日本からは生理学・医学賞を受賞した、本庶佑 京都大学特別教授が出席し、スウェーデンのカール16世グスタフ国王から賞状とメダルが授与されました。本来ならば授賞式にはホワイトタイでの出席がルールとして定められています。つまり燕尾服です。しかし、本庶佑教授は紋付羽織袴にて出席されました。日本では正式な場所に伺う際の服装です。この装いにて出席した方が以前にもおられました。それが川端康成でした。1968年、ノーベル文学賞を受賞した川端康成は、燕尾服ではなく紋付羽織袴を纏って授賞式に出席しました。

半世紀経った今、
再びノーベル賞授賞式に紋付羽織袴が蘇って登場しました。

出席していた方々は中々の驚きだったそうです。中には批判的に見た人もいたようですが、多くの人が紋付羽織袴の本庶教授を讃えたそうです。

紋付羽織袴は元々江戸時代の武家が着る略礼服でした。明治4年の初夏、日本の衣服制度を決めるべく、当時の権力者が宮中西の丸大広間にて一大会議が行われました。この当時は西洋文化が日本にも入り、洋服を纏う人々も出て来ていました。しかし宮中では、参列する際に公家諸侯は衣冠を正としておりました。この制度をこの先どうしていくかが議題の核でした。結果的に洋服を取り入れることにした日本は、皇室・政府関係者から徐々に礼装を洋装化させ、当時世界を牽引していた西洋に追いつくべく尽力していきます。明治6年に太政官布告が公布され、正装としての洋服が制定されましたが、五つ紋の黒紋付羽織袴もその時に正装として認められ、一般大衆にも徐々に広まっていきます。

日本人である以上、日本人たる服装で。お二方の堂々たるお姿、これからも世界の人々の心に残り続けることでしょう。

photo : Osaka とあるカフェにて

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