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島根から東京へ。 東京から宇宙へ。 part6

「ガタンゴトン。ガタンゴトン。」

電車に乗って数十分、

「東京のど真ん中にジェットコースターなんてあるんだなぁ。」

なんて感心しているともう御茶ノ水駅。電車を降りて左手の聖橋口の改札を抜け、アスファルトからの輻射と太陽からの熱から逃げるように速足で歩いていく。
歩くこと約20分、文化の薫りがするレンガの塀に沿っていくとあの赤門が現れる。


2018年春、僕は東京大学大学院に入学した


去年の夏、大学院入試の壁を乗り越えこの春から僕は東大院生だ。東大に所属しながらJAXAで火星着陸探査機の画像航法アルゴリズムの研究テーマを戴いた。

普段は月、火、水と赤門のある本郷キャンパスで授業を受け、木、金にはJAXAを訪れ、研究している。

研究室には、はやぶさプロジェクトに携わっている人など、とても優秀な職員の方々ばかりで、隔週ある高エンタルピー研究会では話についていくのがやっとで、議論にはとてもじゃないが参加できない。それでも、所内にある図書館などで自分の研究に関連する本や資料などを読んで、1日でも早くその人たちに追いつけるよう勉強している。

そんな生活を始めて4ヶ月とちょっとが経ったが、何も楽しいことばかりではない。むしろ大変なことの方が沢山ある。

特にこの1ヶ月は人生の中で一番落ち込んだかもしれない。何日も家に引きこもる日が続いて、気がつくと涙が溢れたり、声の出し方もわからなくなった。自分でもどうしていいかも分からず近くの病院に駆け込んでみても、鬱だと診断されてしまうんじゃないかと思うと、怖くて病院から逃げ出してしまうこともあった。今は少しだけ良くなって、こうしてnoteを書いている。


                 *


先日、地球と火星が15年ぶりに大接近する、というニュースが賑わった。
ちょうどその日、僕はある人とご飯を食べに行っていたのだが、その帰り、空に一つオレンジ色に輝く星を見つけた。

「あ、あれが火星じゃない? 大きいね。」

「ほんとですね。 見れちゃいましたね。」

「僕は今、火星探査機の研究をしているんだけど、あそこに自分が作ったアルゴリズムを乗せた探査機がいくのかなぁ、とか考えるとワクワクしちゃうなぁ。」

そんな会話をしながら空を見上げていると、自ずとあの気持ちを思い出した。

それは、小さな僕の大きな夢を乗せたロケットを島根から東京へと運んでくれた燃料だった。そして、それは、東京から宇宙へも運んでくれる、力強い原動力だった。


今回みたいに途中躓くこともいっぱいあるだろう、落ち込んで、もうダメだと卑屈になることもあるだろう、そんな時には空を見上げる。


そこにはいつも、僕だけの金ピカがオレンジ色に輝いているのだから。



視界不明瞭、天候不安定、大歓迎。ここを抜けると、もっと綺麗な景色が待ってるはずだから。


「I have a dream.」


僕のロケットロードはまっすぐ宇宙に続いている。







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