『世界のサラダ図鑑』に登場してくる日本では手に入りにくい食材 第26回 果物 その5 そのほかのトロピカルフルーツ
産地以外では手に入りにくい果物
Jamaican Fruit Saladなどに使われているサポディーヤ Sapodilla。アメリカでも滅多に見かけない果物のひとつ。
サポディーヤが使われているジャマイカのフルーツサラダ。ザルに入っている右側の果物がそれ。その他なりにある黄色い果物は小ぶりなマンゴーの一種で、これも日本ではあまり見かけない果物ではないでしょうか。
マンゴー、スターフルーツ、グアバ、パッションフルーツ、ドラゴンフルーツなど南国のフルーツにはいろいろなトロピカルフルーツが使われます。この本のサラダを作るために、カシューフルーツなど散々探し回っても見つけることができなかった果物も多くあります。世界中の様々な国から様々な人たちがやってきて社会を形成しているアメリカでは、そうした人たちが祖国で馴染み親しんできた野菜や果物を懐かしむということが当然あります。私も甘くてみずみずしい日本の梨や桃が食べたくなることがよくあります。でもこうした日本の果物はアメリカでは手に入りません。柑橘系にしても種類は日本以上に豊富にあるものの、スダチ、ユズといった料理に使う柑橘類は見かけたことがありません。ダイダイに関しては南米や地中海周辺の国々で料理に使うため、サワーオレンジ、ビターオレンジの名で売られています。
話は逸れますが、というか、そもそも逸れてしまっていますが、最近アメリカではスモオレンジSumo orangeというのが人気でどこのスーパーでも見かける馴染みのオレンジになりつつあります。これは日本のデコポンのことで、私がこのデコポンを見かけるようになったのはおそらく3、4年前からでしょう。そのころは特定の店でしか見かけることがありませんでした。
「なんともまあ醜いオレンジなんじゃあ」と思いつつも、好奇心にそそられて買ってみたらとても甘くておいしかったのでちょっとびっくりしました。もちろん売っているのは日本産ではなく確かカリフォルニア産です。
手に入らないなら諦めるしかない?
スターフルーツを使ったブルネイのルジャック Rujak。大皿の中央にあるのがスターフルーツ。文字通りスライスするときれいな星形になります
スターフルーツ。切る前はこんな形をしています。甘さは控えめで酸味があります。ちょっと変わった食感で少しばかりに梨に似ているかもしれません
どうしてこんな話をしたかというと、デコポンみたいに手に入るものは喜んでいただきましょう。でもないものはないのでどうしようもないということなんです。それでもポン酢とかがほしくなることはあります。既成のものはアジア系のスーパーに行けば手に入るのですが、こうしたものはあまり買わない私はどこでも手に入る、しかも安いライムを搾って作ったりするわけです。
皮をむいて、あるいはそのままかじって食べる果物はどうでしょうか。なければ話になりません。たまたま見つかったとしても高かったら「まあいいか」と思ってしまいます。買ってはみたけど大したことなかったなんてこともあります。
身近で手に入りやすい果物で
パッションフルーツを使うルワンダのフルーツサラダ。ガラスの器の中央に見えるソースのようなもの、大皿の右、バナナの左にあるのがパッションフルーツ。赤っぽいのはパパイヤ
生のデイツ/デーツ。ルワンダのフルーツサラダで使われることがあります
どうにもしようがないことにこだわる必要はないんです。特にフルーツサラダは食材にあまりこだわらなくていいと私は思っています。本を書くために情報収集をしていると、特にフルーツサラダの場合、紹介している著者、ブロッガーも「果物は何でもかまわないよ」とか「好きな果物を使ってね」みたいなことを言っているのをよく見かけました。つまり身近で手に入りやすい季節の果物を活かすというのが基本にあってかまわないのではないでしょうか。
なんだか訳のわからないことをいろいろ書いてしまいましたが、言いたかったのはこういうことなんです。「今はイチゴがおいしい季節だからハッサクとメロンといっしょに」とか、「マンゴーが安かったから缶詰のパイナップルとバナナといっしょに」とか、「スターフルーツなんて見るのはじめて。この機会にフルーツサラダ作ってみようかな」とか、とにかく何でもいいんです。でもせっかくだからトロピカルにしたいと思う人も多いでしょう。ご心配なく。バナナ、パイナップルなんかがあれば十分トロピカルな雰囲気が味わえます。
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