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『世界のサラダ図鑑』に登場してくる日本では手に入りにくい食材 第24 回 果物 その3 ジャックフルーツ

ジャックフルーツ

使用されているサラダ
Tam Khanun, タイ

ジャックフルーツってどんな果物?

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 トロピカルフルーツのひとつとして知られるジャックフルーツは南アジア、東南アジア原産で、バナナ、マンゴー、パパイヤと同様にこれらの地域では大変よく食されている果物です。とても大きな果物で形は円柱形のものが多く、大きなものは長さ1m重さ25㎏にもなるようです。アメリカのスーパーで売られているものの中にも40㎝くらいのものはざらで、表面が円錐形の突起でごつごつした緑色の皮で覆われているため見た目かなり迫力があります。
 アジア系のスーパーではこの大きなジャックフルーツを丸ごと売っています。ということは丸ごと買う人がいるわけで、おそらく南アジアや東南アジアから来た人たちが故郷で慣れ親しんだこの果物を丸ごと買っていくのだと思います。もちろん丸ごとのものといっしょに縦に半分あるいは4等分にし、ラップをかけてあるものもあります。一般的なスーパーでは中の実を取り出してパック詰めして売っていることが多いです。
 ジャックフルーツを切ると、中には鮮やかな黄色で長さ5~10㎝くらいの実がきれいに並んでいます。このぎっしり詰まった実を一つ一つちぎり取って食べるわけで、数人かかっても食べきれないほどです。

味は?食感は?

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 こうして店頭に並んでいるジャックフルーツは生食用に熟したもので、マンゴーのようなトロピカルフルーツ特有の甘味を持っています。といっても味はマンゴーとは違い、よくパイナップルとバナナをミックスしたような味と言われますが、まあそんな感じもするかなという程度で食べてみないと分からない独特な味がするとしか言えないところがあります。
 食感もまた独特で食べてみると表面がベトベトしていることにまず気がつきます。このベトベト感とは裏腹に実自体はツルっとしていて結構しまっています。グミキャンディー似ている食感とよく言われます。でもこれもまたそんな感じも無きにしも非ずという感じで、当たっているかどうかは分かりませんが、個人的な感想をいえばライチの実を分厚くしてベトベト感を加えたらこんな感じになるんじゃないかなあと勝手に思いを巡らしています。
 問題は臭いです。ムスキー、つまりムスクのような匂いと表現されることがよくあります。これは当たらずも遠からずで、これは受け付けられないと拒否反応を示す人も多く、この臭いが好き嫌いの根源と言えるでしょう。といってもきつい匂いがする果物の代表ドリアンほどではないと弁護しておきます。知り合いのインド人の家庭ではジャックフルーツをよく食べるのですが、切って実を取り出すときはゴム手袋をします。「臭いが気になるなら実も締まっていておいしいので熟しきっていないものを選ぶのがいいよ」と言われました。

タイのサラダで使われている熟していないヤングジャックフルーツ

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 散々生で食べる、熟したジャックフルーツの話をしてきましたが、実は『世界のサラダ図鑑』に出てくるタイのサラダではヤングジャックフルーツという熟していないものが使われています。もちろんこの本に出てくるフルーツサラダに熟したジャックフルーツを使うのは大賛成です。
 ヤングジャックフルーツは熟したものとはまったく別物を考えるのがいいでしょう。アメリカでも生のものは見たことがありません。買えるのは缶詰です。食感以外は熟したものの特徴を一切持ってなくてとてもマイルドです。若干苦みがあるので缶詰を開けてそのまま食べることはなく調理して使います。
 近年このヤングジャックフルーツがヴィーガンやヴェジタリアンの間で脚光を浴びています。調理後の食感が肉に似ているからで、アメリカのBBQでよく知られるプルドポークなど様々な肉料理がヤングジャックフルーツで再現されています。この本に出てくるタイのサラダでは調理したジャックフルーツを細かく刻んで使います。食べてみると確かに挽肉によく似ています。
 余談ですが、実の中央にはブラジリアンナッツのような大きな種が入っています。この種も食べられ、臭いがする実は食べなくてもこの種は食べるという人もかなりいます。調理法は簡単でただ茹でるだけ。ホクホクの栗のような感じでとてもおいしいです。

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代替品は?

 さて、代替品ですが生のものはかなり入手が困難といえます。輸入が禁止されているということのようですね。タイのサラダに使うヤングジャックフルーツはもしかすると通販なので手に入るかもしれません。代替品としてはジャガイモ、熟していないバナナなどを掲げることができます。タイのサラダに関して、大胆に挽肉を使うというのもいいかもしれません。

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