[010]経済のお勉強〜其の六〜中央銀行と金融政策
今回は中央銀行と金融政策について書いてみました。じっちゃまのアドバイス精度が高いのはこの様な経済に対する理解が深いからだと思っています。
中央銀行
じっちゃま曰く、《世界の株や為替は、米国の中央銀行であるFRBの金利政策に大きく影響される。日頃から米国株投資を通じてFRBの動向を観察していれば、それが日本株投資の際にも役立つ。米国に視野を広げるだけで、今よりずっと良い投資家になれる》。
米国憲法では連邦議会に貨幣鋳造とその価値を定める権限を与えています。1913年連邦議会は連邦準備銀行(米国の中央銀行)と連邦準備制度理事会(FRB=The Federal Reserve Board)を設立しその権限を委譲しました。FRB議長(出たパウじい!)はお金の流通量と金利を動かす強い権限を持っています。
主な国には中央銀行があります。日本銀行もその一つです。米国では地域毎に12の連邦準備銀行がありこれらを取りまとめるのがFRBです。FRBは大統領に任命された7人の理事で運営され、議会で承認を受けます。任期は14年であるため、大統領の任期が切れても理事を続ける事になります。この中からリーダーとして議長が大統領により任命されます。
FRBは金融政策を決定します(連邦議会は財政政策で景気をコントロールします)。FRBが政策を実行する道具として、①預金準備率、②公定歩合、③公開市場操作、④量的緩和政策がありこれらで世の中に出回るお金の量を目的に応じてコントロールします。
①預金準備率
預金準備率とは銀行に預けられたお金のうち他に貸し出す事を禁じられたお金の比率です。一定割合置いておくように銀行は義務付けられています。預金準備率が高く設定されると、銀行が貸し出せるお金は減り世の中に出回るお金は減少、総需要がちいさくなります。このため《金利》は上昇し例えば企業がお金を借りるコストは上がります。
②公定歩合
公定歩合は銀行が中央銀行から借金する際の金利です。例えば上述の預金準備率を満たせない時に借りてくる際に使われます。
公定歩合が引き上げられると当然銀行は中央銀行からお金を借りにくくなるため、手元にお金を置いておこうとする。つまり世の中にお金が出回りにくくなります。引き下げると逆の事が起こります。つまり公定歩合の変更により市中に出回るお金の量をコントロール出来るという事になります。
③公開市場操作
公開市場操作とは、中央銀行が債券の売買によりお金の流通量をコントロールする事です。FRBが各銀行から債券を多く買い上げれば銀行は使えるお金が増えます。過去には最も直接的に銀行を経由して市中のお金の量をコントロール出来る手段であったようです(債券の量を把握しつつ金利の反応を見ることが出来る!)。
④量的緩和政策
量的緩和政策は金融政策の中では比較的新しいもののようです。FRBが金融機関に大量のお金を貸し付けるやり方と、長期の証券を購入するやり方があります。後者ではとくに債券等の購入を止めた際の市場の反応は完全には把握出来ていないようです。
⑤量的引き締め(QT =Quantitative Tightening)
過度な金融緩和による景気の過熱(バブル)、インフレを退治するため量的緩和政策の終焉としてテーパリングの更に先の政策。国債等の資産保有額を減らし市中に出回るお金を実質的に減少させる。自転車の補助輪を完全に外し経済に自走を促すイメージ。
用語メモ
◼️連邦公開市場委員会(FOMC=Federal Open Market Comitte)アメリカの金融政策を決める一大イベント。FRB理事と連邦準備銀行総裁で年8回の定期会議で公開市場操作方針を議論。議事録も公開される。
最後に
今回は基本的な内容を整理してみました。次は実際にどの様に中央銀行がお金の流通量をコントロールするか勉強してみます。
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