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[009]経済のお勉強〜其の五〜国際収支
今回は四つの目標の最後、国際収支について勉強してみました。投資とは少しずれるかもしれませんがお勉強です!
国際収支とは
国際収支とは、ある期間にある国が外国と行った経済取引の全容を示す物です。最も重要な指標は経常収支で①貿易収支、②サービス収支(文字通りサービスの取引による収支)、③所得収支(外国への投資回収)、④経常移転収支(対価ではない支援などのお金のやり取り)の4つが含まれます。これらの合計がプラスなら黒字(国外からお金が入ってくる、国が他国にお金を貸している状態)、マイナスなら赤字(国外にお金が出て行く、国が他国に借金している状態)です。この経常収支と金融収支、資本移転等を合わせると国際収支となります。
お金は何処へ??
では例えば赤字の時は、お金(ドルや円)は誰か外国の人が持ち去るのでしょうか?そうではありません。
例えば日本に住んでいて必要なのは円でありドルではありません。そのため例えば日本企業が商品を輸出すると外国為替を通じドルは円に交換されます。その際に日本企業が手放したドルは最終的に米国内に投資されます。金融投資として米国内にドルは戻ります。
金融資本の釣り合い
国民の貯蓄 + 国外からの資金流入= 民間の設備投資額 + 政府の借入 が必ず成り立ちます。これらの4つの項のうち一つが変化すれば必ず残りの項目変化します。
国外からの資金流入(投資)が民間の設備投資(経済成長)につながっている事もあれば、国の借金の穴埋めに国民の貯蓄が使われている事もあるといった具合です。
米国の経常収支
(図=ミンカブより抜粋、四半期毎データ)
上図の様に基本的に米国は経常収支は赤字です。この赤字と金融収支がほぼ釣り合う状態となっています。
米国の経常収支赤字は危険か?
アメリカの経常収支の赤字増加のには様々な要因があります。一つには、アメリカの経済が不況に陥った時に政府は財政政策により景気対策を行います。また家計の過剰消費や景気悪化で民間貯蓄が減少し貿易収支の赤字が拡大しても経常収支の赤字として表れます。
加えてアメリカでは自動車や鉄鋼といった製造業から金融やIT サービスなどサービス業へ産業構造がシフトしてきた事も一因です。サービス収支の黒字は拡大しましたが、相対的に製造業の割合が小さくなり消費財や資本財を海外から輸入することにより、貿易収支の赤字が拡大しています。
また、原油などのエネルギー価格の上昇も輸入額が増加し貿易赤字拡大の要因になります。
経常収支が赤字ということは、アメリカ国内における投資と消費が国内の貯蓄を上回り、海外から資金を調達する必要があるということです。そのため財政赤字の一部は海外の投資家による米国債の購入などで補填されています。これは金融収支の黒字として表れます。海外からの輸入で資金は流出する一方でアメリカは金融収支に分類される海外からの資金を受け入れています。
経常収支赤字が続いても金融収支黒字で上手くバランスされている限り、アメリカの金利に上昇圧力がかかる可能性は低いのです。
基軸通貨の強み
途上国は経常収支が赤字になって外国から借金をすると危険です。借金をした国から返済を迫られるとドルを準備する事になりますが、当然ながら自国で米ドルを印刷するわけにはいけません。自国通貨を米ドルに替えて返済する必要があるので、ドルを買う必要がありますが、返済国はドル買いによってドルの値段が上がり自国通貨は相対的に下がります。そのため返済は厳しくなる一方で銀行から借りるにしても金利は高くなります。
しかし米国はだけは違います。米ドルは基軸通貨であり、返済のたびに外貨を買う必要がなくそれにより外貨高になることもありません。またありえない事ですが、最終手段は自国通貨である米ドル紙幣を印刷して返済すれば良いので返せない心配もないと考えられます。
最後に
この様にベース破綻しにくい構造にあるアメリカ経済に投資する事は非常に理にかなっていると考えられます。
ようやく四つの目標について終わりました。次はこれらのメインキャストの中央銀行と彼らの金融政策について書いてみます。
最後まで読んでいただきありがとうございます(≧∀≦)