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夏の終わりに聴くアルバム その2

8月最終週。昨日に引き続き夏の終わりに聴きたいアルバムをチョイス。
夏の終わりといってもここ東京の日中はまだまだ真夏日だ。35度を超えていないことにホッとする異常さ…。
だから夏の終わりに聴きたいとはいえ、あまりセンチメンタルな方に振りたくない。そんな気分にぴったりハマったのが、ネッド・ドヒニー『HARD CANDY(ハード・キャンディ)』。

このアルバムは言うなればAORにジャンル分けされると思うのだけど、ちょっと待ってほしい。プロデューサーは、僕の敬愛するスティーヴ・クロッパーなのだ(いやそれ皆知っている話…)。

AORって五十過ぎの我々世代にとって、カッコ良いオトナたちがみんな聴いているイメージの憧れ感があり、小中学生の頃に背伸びして聴いた刷り込みがある。でもそこがあまりにメインストリームで商業的な匂いがするもので、十代の頃は尖ってUKニューウェイブだ、ネオアコだとか言って、USの音楽を軽視していた。けれど惚れていたUK音楽の源流を辿ると、どうしたってソウル(モータウン)、ブラック・ミュージック、つまりはUSに行き着くわけで、そうこうしているうちに(四十を過ぎたくらい?)、メインだのサブだのそんなこだわりがバカバカしくなって、あらためてこちら方面に再入門。ここ数年のシティポップの流れに乗っているわけではないけれど、AOR、クロスオーバー、フュージョンというのは実に奥深いなあと感じる今日この頃。

話が脱線したけど、このアルバム、クロッパー氏が実に良い仕事をされている。全体を通して、そこはかとないR&Bのマナーで統一されている。ホーンセクションにタワー・オブ・パワーが参加してるし、ネッド自身が弾いているアコギのサウンドがフォーキーでグルーヴ感があってすこぶる良い。そして、なんといっても楽曲がすばらしい。本当にハズレなしと断言できる。ラストの「Valentine」を聴いていただきたい。実に爽やかな風が吹いてくる。

AORには、けっこうハードなロックしているものや、なんとなくセンチメンタル過ぎるものも多いけど、このアルバムはそちらが苦手な向きには本当におすすめできる。明るくて軽快で爽やか。緩急織り交ぜたグルーヴに浸れる。夏の終わりの夜に、ただし、まだ昼間は暑い!というタイミングにはピッタリだと思う。


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