手にした言い訳と、はじめての秋 #gatebysentence
「〇〇の秋」。そうお題をもらって、何が思いつくかなぁと記憶をたどってみたけど、いざ考えると大したものがなくて困った。
野菜の値段とか服の選び方とか、“季節の変化” を感じることはあっても、季節そのものが印象に残るような体験って、そもそも大人になってほとんどやってなかったなと思う。
これは他の季節も一緒だけど、それでも春の「花見」、夏は「花火」、冬に「正月」くらいのイベントは思い出せるのに、ことさら秋の印象は薄い。
ただ、地方にUターンして、1歳半をこえた子どもと外遊びできるようになって、ちょっと事情は変わってきたかもしれない。
そんな話を今日は少しだけ。
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今回のnoteは、マガジン『gate, by sentence』への掲載記事です。#gatebysentence で、ライティングを学び合うコミュニティ『sentence』のメンバーが、毎月のテーマ or 自由投稿のかたちで記事をお届けしています。
9月のテーマは「〇〇の秋」です。
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「秋」を遊んだ記憶ってない
個人的には夏が好きなので、そのあとに来る「秋」という季節は、なんとなく “終わったあと感” が潜んでいて、四季の好み順でいうと高くない。
もちろんめっちゃ高い空とか、澄んだ空気の感じはいいなと思う。でもその温度感そのままに、何かにエネルギーをかけた記憶はあまりなく、季節に紐づく思い出が、特に大人になってからのものは出てこない。
頑張って思い出せるのは、小学校の運動会だったり、高校の学園祭だったり、昔のものばかり。
15年以上住んでいた大阪は、便利でとても楽しくはあったけど、やっぱり都会で、どうしたって季節感の薄い町ではあったと思う。
かといって「秋だ!」と京都や箕面に紅葉を観にいく習慣もないし、六甲や金剛山を登りにも行ってない。ハロウィンはミナミが盛り上がるけど、仮装する趣味もない。
サッカーの観戦が好きなので、9〜10月、シーズン後半のJリーグにはよく足を運んだけど、それに「秋」が紐づくかというとかなり微妙。春も夏も都合がつけばスタジアムに行ったし、優勝や降格が決まるのはほぼ冬だ。
やってみたかったと言えば、キャンプ。聞けば秋と初夏がいい季節らしい。ただスポーツ以外のアウトドアにはあまり縁がなかった。割と何でも勝手に調べてやってみる方だけど、こと身体を使うような「遊び」となると、なかなか1人で新しいことにチャレンジする気にはならないなぁと思う。
子どもが季節を身近にしてくれる
そんな状況を壊してくれるのが子どもという存在かなと、今1歳9ヶ月を越えた息子と娘を見ながら感じている。
保育園では、季節の変化に応じて、いろんなことを子どもは体験できる。
おそらく「年中行事」と呼ばれる昔からのイベントに、今の日本で一番触れられる場所だと思うけど、自分の子どもと改めて一緒に楽しむと新鮮で発見も多い。
家でも、子どもが歩けるようになり、一緒に外遊びをするようになると、季節が格段に身近になる。この頃にはそれなりにコミュニケーションが取れるようになるから、遊びのオーダーも増える。この夏やった虫取りも水遊びも、子どもがいないと絶対に1人ではやらなかったはず(笑)
9月は覚えたての月見のうた(つ〜きが、でたでた〜♪)を毎日歌い(歌わされ)、こっちもノッてわざわざイベントを探し、京都まで中秋の名月を見に行った。(曇ってて見れなかったけど…)
10月は、園の運動会だ。運動会に参加するなんて、何年ぶりだろう。
11月には、紅葉狩りと、念願の秋キャンプもちっちゃく始めたいと思ってる。子どもに教えながらだと、一から始めても恥ずかしさは全くない。これってすごいことだ。
“乳児” から “幼児” になって迎えた初めての「秋」。気づけば今年は、結構それっぽいことをたくさんできる気がしている。
“言い訳”を片手に、新しいことを
少し前に、コルクの佐渡島庸平さんがあるメディアで、「人が行動するためには、言い訳を用意してあげる必要がある」と語っていた。
ここでの話は、「コミュニティという場での、人と人とが関わるためのきっかけづくり」という意味だったけど、これは何もコミュニティの話に限定されない。人が何か新しいことをするには、言い訳がないと動きづらいのが事実だ。
選択肢の増えた今の世の中では、うまい言い訳の設計ができたものが、どんどん使われていく。言い訳として機能しなくなったものは廃れていく。
自分の人生の中でも、ストレスのない言い訳づくりをどんどんしていった方が楽しい。そして子どもとの生活ほど「大人になってから大量の新しい言い訳を手にできる機会」は、そんなにない気がする。
ネガティブワードも多い『子育て』。大変さなんてそれはいくらでも語れるのだけど、一方で、子どもと一緒に出来るようになることの多さはあまり出てこない。もったいないなぁと思う。
子どもを育てているのだけど、大人も育つチャンスをもらっているのだ。
うちの奥さんなんて出産以来、子どもと一緒にやりたいことを今ひたすら列挙している(笑)。これってめちゃいいことだ。
言い訳を手にした時間は、きっと短い。5年か、長くても10年か。その間に春も夏も秋も冬も、楽しみ方をたくさん身につけたいなぁと思っている。
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