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283m先の的を射抜くパラアスリート

283m先の的を射抜く超人、マットスタッツマン

今日は初めて、パラアスリートについて書いていきたいと思います。
アーチェリーのマットスタッツマン選手。彼は何とより遠くの的を射抜くことを競う大会において健常者を含めた世界記録を記録し、283m先の的を射抜いたという驚異的な記録を持つパラアスリートです。

https://2020.yahoo.co.jp/column/detail/202006150003-spnavi



アーチェリーといえば弓矢の要領で遠くの的を射抜く競技ですが、スタッツマン選手は両手がありません。
そこで椅子に座り、 肩にかけた紐に矢の羽の部分を引っ掛けて固定し、弓の部分を右足で押し出すことで打つ体制を作ります。

通常の選手が右手を後ろ側に引くことで構えを作るのに対して彼は右足を前に押し出すことで構えを作ります。これにより、より力強く弓を引けるため遠くの距離でも正確に矢を射ることができるのです。
しかし、映像で見るだけでも相当な足と体幹部の筋力、繊細な感覚が求められることがわかります。 足は前に押し出しながら体幹部はやや後ろに反ったような状態になります。腹筋などの力が相当なければその状態で集中力を高めて正確に矢を射ることはできないでしょう。しかも試合ではそれを何度も繰り返すわけです。

一番腹筋などに力が入るところでキープをしながら集中し的を狙う、しかもこの時やや上体は反っているのでおそらく垂直には的を見ることができないはず。まさに職人技の芸当なわけです。

全員がオリジナル競技の世界チャンピオン、パラアスリートの魅力

パラアスリートの魅力は千差万別、全員が自分のオリジナル競技で戦っています。どういうことか、パラリンピックでは障害の程度や種類は皆違います。
オリンピックアスリートであれば基本的に”同じ技術や能力の高さ”で皆が競うわけです。
しかしパラアスリートは例えば、同じ肢体不自由だとしても、右手だけがない方、左手だけがない方、片足がない方、両足がない方、肘までや膝まではある方などで義手や義足の形も数も違うわけです。
それぞれの障害に応じて全員が”同じ競技を別の方法”で行なっているわけです。
そういう意味でパラアスリートは全員が”自分のオリジナル種目のチャンピオン”たちなのです。

”出来ない”ことが生み出す魔力


しかも近年、 パラアスリートの競技を支える器具の精度や技術がどんどん向上してきている影響もあり、一部の種目では健常者をゆうに上回る記録すら誕生しています。

特に義足の発展などは目覚ましく、前回のリオパラリンピックでは1500 M 走の男子の上位4名の記録が全員オリンピックの金メダリストを上回っていたという衝撃的な出来事も記憶に新しいところです。あるいは、車いすアスリートの上半身の筋肉量は、一般的なアスリートの比ではありません。車いすで50kmの高速を出せる強靭なパワーは我々には出すことができません。

そしてスタッツマン選手もその一人。健常者を含めた世界記録を持つパラアスリートです。人は何かを失った時、それを補う能力が発展するとはよく言われますがこのスタッツマン選手もまさにそれです。彼の足はもはや手としての役割をほとんど全て果たします。
なんと驚くことに字も書けるしオムツ替えすら足でできるそうです。

最近よく思うのは、できることよりできないことを決めてしまうほうが能力が伸びるということ。例えば、コロナで家から出るということが”できない”という状況に強制的に変えられました。
すると僕も含めほとんどの人は家での過ごし方が少し上手くなったし、家での楽しみ方がこれまでより豊かになったと思います。これは何でも自由にして良かったコロナ前の期間では起きえなかったこと 。つまり、できないという状況が生んだ成長です。
パラアスリートの方たちからはこういった人生においての教訓すらも学べるところが素晴らしいんだなと感じました。
オリンピックだけでなく、パラリンピックの開催も含め来年できるといいんですけどねー。

PS.

283m先の的を射るのはすごいけど、283mの直線を作れる所ってどこなんだろう? ちょっと気になる(笑)

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