コロナ対策って感染拡大防止だけじゃないと思うんです。意見を聞かせてください
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言も関東の1都3県と北海道以外では解除され、いよいよスポーツやエンタメの活動再開に向けた議論が連日行われています。
JリーグとNPBが設立した新型コロナウイルス対策連絡会議では、新たな提案書が感染症などの専門家チームより提出され、当面は無観客で開幕し、再流行時には、試合延期も含めて専門家チーム・アドバイザーと検討するということが決まったそう。
専門家チームがNPBとJリーグに新たな提言書を提出…「当面は無観客で開幕」
この新型コロナウイルス対策連絡会議においては、正直少々の疑問があります。それは、”感染予防及び拡大防止対策”のみを議論するようなチーム編成に見えることです。
チーム編成としては感染症などの専門家3名を含む以下の通りです。
▽専門家チーム(3人)
賀来 満夫(東北医科薬科大学医学部感染症学教室特任教授)
三鴨 廣繁(愛知医科大学大学院医学研究科臨床感染症学教授)
舘田 一博(東邦大学医学部微生物・感染症学講座教授)
▽NPB(13人) 斉藤惇コミッショナー 12球団代表者12人
▽Jリーグ(13人) 村井満チェアマン 反町康治特任理事
播戸竜二特任理事 理事7人 日本サッカー協会3人
感染症の専門家と各球団や各クラブの方とさらには数名の理事の方という組織です。
これを見ればわかるように、専門家チームが感染防止対策などをまとめ、それをJリーグ及びNPBに伝える。という形の組織作りとなっています。
JリーグやNPBの方は当然、感染症についての知識はありませんから再開やその方法や時期について専門家を招き、その意見を参考にし今後の対策を検討していく事自体は素晴らしいことだと思います。
もし今後、例えば第2波が来てしまった場合でも、順当に少しずつ日常生活に戻っていけるような場合でも、その時期や、最大どの程度の人数を集めていいのかなどの判断にはやはり専門家の意見は必要でしょう。そこについては何の異論もないです。
しかし、せっかく新型コロナウイルス対策連絡会議と銘打っているのであれば、もう少し包括的な専門家も必要な気がしています。
今回の新型コロナウイルスでは、確かにたくさんの方が感染してしまったり死に至ってしまったりしています。しかし実際の所、感染してしまった事で困っている方と、経済的な問題、あるいは精神的な問題で困っている方、一体どちらが多いのでしょうか?
移動を制限し感染防止につとめる政策をとった結果なのかはわかりませんが少なくとも感染に関してはかなり抑えることが現状できているわけです。
結果として現状は感染よりも経済的な困窮、売上不足、家庭のストレスなどで苦しんでいる方の割合の方が数百倍多いわけです。
つまり、新型コロナウイルス対策というのは単に感染防止だけの話をしていてもあまり議論として成立しないということ。
だって、単に感染防止のことを考えれば、集まらない方がいいに決まってます。
つまり、そこの専門家を呼んでしまえば当然ですが感染防止という側面に偏った議論になってしまうし、専門家の方ですら現状起きていることに対するリスクやデータに基づいた推測はできたとしても、今後実際どうなるのかは誰一人わからないわけです。
でも議論したい主旨はそこではないわけです。どうしたら感染防止できるかではなくて、集まらない方が安全なことも知りながら、でも経済的な理由でも精神衛生的な理由でも集まりたいわけです。
それを話し合うことを”対策”と呼ぶのではないでしょうか?
そう考えれば、最低でも経済学者や心理学者などの専門家がいなければ包括的な対策検討はできないのではないと思うんです。
スポーツ選手のあるあるなんですが、例えば何かの競技で骨折などの大きなけがをしてしまうとする。当然病院に行くんですが、スポーツ選手に理解のある病院と、残念ながらそうではない病院があるわけです。
スポーツ選手と言いながら部活動などの学生でもそうですが、選手はもちろん、本気でやってるじゃないですか?
で、選手からすると、”いつから動けるのか?””どのくらい動けるのか?”
”今の状態でもできる事はなにか?”ケガをしてもすぐにこれが聞きたいんです。
でも、ほとんどの病院では、
”今はただ安静に。いつからできるかは様子を見ましょう。”
です。
もっと言うと、僕は野球をやっていた小学校高学年の頃、練習中に指を骨折したことがあるんですけど、アドレナリンが出ていたのか、ケガをしてからしばらく気づかなかったんです。
そのことを病院に伝えると
「痛みもわからないような危険な子供はスポーツなんかやるべきじゃない。今すぐやめた方がいいよ」
といわれました。
その日、初診治療をしてもらってそのままクレームを出して病院は変えてもらいましたが(笑)
でも、この専門家会議ってこういうことが起きるんだと思うんです。
だって、考えてみれば病院はケガや病気、そして治療にスポットライトを当てるわけです。それが仕事だし、それが正しい。だから、ケガや病気を治すことが何より最善だし、スポーツがその根本原因なら取り除く。それのどこが悪いのか?といわれた時に、確かにその立場ならそうだよね。としか僕は言えません。
でも選手の気持ちとして言うと、それは許せないわけです。
今後もスポーツをやるために治したいのに、やめるんだったらわざわざ病院なんか行きたくないよ。って思ってしまいます。こんな風に、同じ出来事でも専門が違えば描くビジョンも正解も絶対に違うわけです。
そして、コロナウイルス対策という言葉が意味するのは何か?ということを捉えると、感染症の専門家のみではあまりに不足な気がしてなりません。
当面無観客試合という発表がなされました。しかし、では収益はどうする?という話し合いはいつするのでしょうか?無観客での開催が望ましい。と教えてくれた感染症の専門家はオンラインでの収益化についての質問には答えられません。
では別の会議をまた組織するか、各団体が検討するのか、といった所でしょうが、せっかく一緒に立ち上げた会議という組織があるなら、包括的な話し合いができた方が絶対に良くないですか?
ここのブログでは何度も言っているかもしれませんが、JリーグやNPBは集客や会場でのグッズ等の販売、収益化に関してはそれぞれ日本トップの団体です。
でも、会場やライブにあまりに価値があるからこそ、配信やオンラインでの売上を上げることに関してはこれまであまり実績がないのが実際の所なんです。つまり、人が集められない所で収益を生むのは、下手ってことです。(偉そうにホントごめんなさい。だけど、これまでやっていないことを下手なのは当然です。)
それを考えると間違いなくオンラインでの収益化などの議論については、現状の理事の方々で話し合うより配信やネット等で実績のある企業家さんたちやなんならファンやインフルエンサーなど、オンラインの専門家たちに可能な限り入ってもらった方がいいと思うんです。
というかむしろそれがこの対策連絡会議のメインじゃないですか?
だって、第2波や第3波が来る可能性を考えながらの再開っていうことは収益を”無観客のあいだは我慢しようね”という施策で乗り越えようとしては絶対にいけないってことです。
先も見えないし、2波が来るのか3波が来るのか回数もわからないのに、ひたすら我慢をするという施策は、球団・クラブに潰れろと言っているようなものです。
無観客でも収益を上げられる状態をいかに作るか。これが今一番の課題なんです。
だって、感染防止の対策として考えられる判断は開催の可否、観客動員の可否、最大動員数、会場での対策、くらいのものです。
開催の可否、観客動員の可否は2つに一つ、開催できないならできないし、動員できないならできない。それだけです。
動員数についても、球場対策についても多分1日で終わるいくつかのパターン想定で十分だと思うんです。逆に言うとそれ以上議論することがない。
であれば、開催できない場合はさすがに黒字化は難しいとしても最低限無観客が長く続いた場合やかなりの動員制限をする場合を想定したそろばん勘定をしておかないと、究極の受動的運営になってしまいます。
でももし、無観客でも利益になる仕組みがうまく構築できれば逆に言うと観客動員ができるようになった時、大幅な収益増が見込めるわけです。
今、目指すべきはこのいばらの道一本であると思っています。
実際、それが出来たら苦労しないよってことだし、一番難易度が高いのがここの収益化の部分だと思うんです。もしかしたら答えなんてないのかもしれないし、不可能なことなのかもしれない。当然めちゃめちゃ失敗するかもしれない。
でも、ってことは、ますます一番議論しなきゃいけないのがここの部分じゃないですか?
ここの議論を進めない限り、大規模スタジアム系のスポーツが通常通り動員できるまでの期間ずっと総崩れになることが確定してしまうわけです。
さらに、選手たちのモチベーション等のケアや、再開時や再度感染が増えてきた時、間違いなく揺れるであろう世論への対策なども検討していく必要があります。
今回のことで非常に強く感じましたが、マスコミの力もさることながら、SNSを始めネットの力は政治判断をも簡単に覆す力をもっているわけです。
プロ野球の藤浪晋太郎投手などが女性との食事会において新型コロナウイルスに感染してしまった件で、プロ野球球団の多くが活動自粛せざるを得なくなってしまったことも記憶に新しい。
ひとつの炎上が世論を巻き起こしてしまい、数カ月の再開延期などにつながることも全然起こりえるわけです。
今日の記事で伝えたいのは、決して誰も悪いわけではないし、文句を言いたいわけでもないんです。みんなが始めての状況で、誰のせいでもない状況だからこそ、色んな専門家の意見を聞いてやっていこうよ!って単純に思っているだけなんです。
それぞれの方々は選手たちやファンのために全力を尽くしてくれていることは痛いほどわかっています。
誰も経験したことないことだからこそ、業界の垣根を越えて協力できるチャンスだと思うんです。何より、スポーツが大好きだから、野球もサッカーも大好きだからこそ、苦しんでいる選手たちを見たくないし、試合をするほど赤字になってしまい苦しむチームを見たくないんです。
苦しいことに変わりはないのですが、それでも今年は観客動員ができないという始めての形式に挑戦しなければいけない年なわけです。つまり、スポーツ界における”配信元年”です。
そういう発想で、感染防止だけではなく配信にも向き合ってほしいなって、そしてスポーツ界の進化に期待したいなって思います。