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世界のスターがおらが村のヒーローに


新型コロナウイルスの影響から、世界が少しずつ次の段階へ進もうとしています。プロスポーツも少しずつ活動を再開しはじめていて、ちょっとずつ日常にスポーツが戻ってきてくれそうなワクワク感。

しかし、決して各国で事態が収束したわけではなく、各国や地域の判断で徐々にゆるめて様子を見る。っていうことが今できる最善なわけです。

バレーボールの大人気選手、柳田将洋選手がこのほど、所属していたドイツリーグから移籍し、日本でかつての所属チームであるサントリーへの復帰が決まったそうです。

スポーツ選手の移籍理由というのは様々あるんですが、今回の移籍の理由の一つでもあり、今後世界的に予想される展開としては、”地元回帰”ですね。
今回のコロナウイルスの影響でたとえ再開できたとしても、一定程度の割合では地元や自国という考え方が強まる気がします。

理由としてはシンプルで、感染症により”移動の制限”をされる可能性があるから、です。
感染症の拡大が起きてしまった時に今回も各国で起きましたがロックダウンや外出自粛による移動の制限がされる。これにより確かに感染症拡大は防ぐことができる。

しかし、個人レベルで考えるとそんな単純な話ではないわけです。移動しないでくれって言われたらまず、わかったから家に帰らせてくれ!ってなりますよね?帰らせてくれれば移動しないで頑張るから!って。
それが通用しないってことです。もし今現在自国にいない場合、自国に帰ることができなくなる、アスリートとして仕事で海外に行っているのに、仕事であるスポーツもやっちゃダメ、帰ってもダメ、っていう状態です。現在もそういう状態の選手は各競技においてたくさんいます。

特に、サッカーなどの競技は世界中を飛び回り移籍を繰り返す選手も少なくない。するとお子さんや家族にとっての負担が非常に大きく、単身赴任状態でシーズンを過ごす選手が多いわけです。すると、彼らにとっては自国に帰って愛する家族のもとでリラックスするオフシーズンがかけがえのない時間なんですよね。

しかし、帰国できないということはそのかけがえのない時間を過ごせないということ。ビジネスライクなアスリートは世界にはたくさんいるので、家族との時間も過ごせないのなら何のためにスポーツをやるのか?という発想になります。
仕事(競技)も出来ず、家族にも会えず、自国に帰れず、という状況に陥ってしまえば、何のために異国の地にいるのか?自分の生き方はこれでいいのか?と考えるのは当然です。

帰国についても、そもそもできない可能性もあるし、帰国できたとしても2週間は隔離で誰とも会わないように、といったことも想定される。すると帰国する度に各国で2週間ずつ、合計1か月何もできない期間が生まれてしまうんですよね。
時間効率が悪すぎるし、海外から移動した際には少なからず”白い目”を向けられる可能性だってある。

そうなると考えるのは当然、”地元でプレー”です。もちろん、本場やレベルの高い国で自分の力を試したい!という思いもあるでしょうし、お金の問題でその国でのプレーを選択している選手も少なくない。
ですが、身の安全が確保できない可能性がある上に、帰国できない、家族と会えない、そもそも競技が出来ないのなら、夢を追っても、お金だけ稼いでも・・・ってなってしまいます。

現在すでに所属している選手はまだしも、例えば今の状況で日本の選手がこれから新たにアメリカに移籍したい!って考えますかね?ブラジルやロシアなどの感染拡大地域に行きたい!って思いますかね?少なくとも僕は思わないです。

考え方が古いのかもしれないですけど、もし万一死のリスクを抱えないといけないってなったら、やっぱり最後は日本でって思います。
海外で仕事というのはかっこいい気もするけど、そこで生涯を終えたくはない。
というか、海外に行くなら風邪も引きたくないです。海外で病院に行くのとかすごく不安だろうし、心のどこか片隅で「海外の病院で大丈夫なの?」って思ってしまう気がする。確かに、日本に田舎者の古い考えだと思うんです。
けど一方で、そんな思いって誰にでも少なからずありません??


それと同じく、リスクは都市部に集中することもわかりました。
移動が制限される・都市部にリスクが集中しているとなると、今後の展開としては通信やモノの移動はますますグローバル化加速度的に進み、逆に人の移動は原点回帰する傾向が出てくる。
これはビジネスの世界ではすでに言われていることですが、スポーツの世界だって例外ではないはずです。

自国で、もっと言うと地元で過ごしたいというニーズが高まり、それに合わせてスポーツ選手のグローバルな移籍というのも一定程度の変化がみられるんじゃないかなって思っています。

例えば野球なら、メジャーリーグに行きたいって気持ちはやっぱり今回のことで少しは薄れる気がするし、サッカーでもヨーロッパに行きたいって気持ちにもちょっと影響がある気がする。これ、実は日本にとってはプラスなことだと思うんです。
悪く捉えようとすると海外進出が遅れるとか、海外の有望な選手を獲得できないとか、国内の選手だけではレベルが上がらないとか、言いようはいくらでもあるんですが、チャンスだってたくさんある。

良い選手の海外流出を防げるし、選手の移籍が少なければ総じてチーム力の向上に繋がる。組織力という点でいうと、これはどの競技においても日本の専売特許です。海外に行くはずだった一流選手との相乗効果でサッカーでいうところのメッシを最大限生かすバルセロナみたいなチームが色んな競技で誕生するかもしれないわけです。
今海外に流出している競技は逆に言うと日本以上の環境やレベルがあるってことです。世界に一流選手が流出しなければその選手が一番活きる場所を日本で与えてあげて、これを契機に日本のレベルを爆上げし、世界レベルのチームやリーグや環境を作ればいいんです!

実際、グローバルな選手を持ち現在でも感染拡大が止まらないアメリカでは、メジャーリーグの開幕についてしばらく方向性がまとまりそうにない。わずかなシーズンをリスクを冒して闘い、自国に帰れなかったらどうするんだ?という意見は確かにその通りです。

おらが村のヒーローが輝いていた時代は今や昔かもしれないですが、これからの時代、おらが村ヒーロー2.0の時代が来るかもしれません。
地元で活躍し、世界に活躍を発信するアスリート。会いに行ける世界的アスリート。地元大好きな世界的アスリート。これが”新しいアスリートの様式”かもしれません。

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