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これが科学的UMA番組なんだろう

NHKの動物番組「ダーウィンが来た!」で、ある意味で正統派なUMA調査回が放送された。
「100年のミステリー!日本産ウーパールーパーを探せ」

ウーパールーパーとは80年代に大流行した両生類である。詳しくは私の漫画を見て欲しい。

漫画にある通り、ウーパールーパーとはメキシコに生息するサンショウウオの仲間が幼形成熟をおこしたもの、つまりオタマジャクシの姿のまま繁殖可能になった状態のものを指す。ちなみにウーパールーパーは商品名またはキャラクターとしての名前で、科学的にはアホロートルという。
生息地の個体群が丸ごと幼形成熟の個体となって、そのような種であるかのように何世代も生き続けている地域個体群もある。幼形成熟はメキシコサラマンダー固有の現象ではなく、他種でも十分起こりえる現象である。
およそ100年前、北海道の倶多楽(くったら)湖で北海道特産のエゾサンショウウオの幼形成熟個体が見つかった。これは非常に貴重な発見だったが、おそらくは養殖用のマスの移入によって戦前には倶多楽湖の幼形成熟サンショウウオは絶滅してしまった。
しかし、周辺の魚のいない池にはまだ幼形成熟のサンショウウオがいるかもしれない。そこで調査隊を立ち上げて「日本のウーパールーパー」を探しに向かう、という趣旨の番組である。
結末がどうなったかは番組を見てもらうとして(調査自体は普通に続いているので結末も何もないのだが)、これはある意味で、私が見たかったUMA番組の一つの形である。
私は、本当はスタッフの誰も信じていない恐竜の生き残りを、もっともらしく探しに行くようなUMA番組も嫌いではないが、それはあくまでネタ番組であり、本当の意味ではUMA番組だとは見なしていない(川口浩/藤岡弘、探検シリーズを高度なコメディだと思って見ている人はいても、あれが生物学的な調査だと本気で思って視聴してる人はいないだろう)。
本当に見つかるかもしれないものを、本気で取材して探しに行ってこそUMA番組である。タスマニアタイガーやジャイアントモアなど、いくつかの絶滅動物がこの枠に入るであろうか。ニホンオオカミも絶滅宣言以降も目撃談が絶えない。
残念ながら、これらを真剣に追跡する番組は少ない。なまじ本格的な調査であるがゆえに、手間とお金と時間がかかるわりに一般視聴者からみてやけに地味なのが原因だろう。
一般視聴者に訴求しない番組を作るのが難しいのはわかるが、やはり大人が本気で見ても身になるUMA番組を作ってほしいものである。


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