ダイジェスト版|【黒字経営での資金調達】 自分らしく選べる医療をすべての人に - Dr.'s Primeの挑戦
先日の資金調達noteは1万字を超える分量になってしまったので😅、一番伝えたい「原体験が生んだ想い」を含む3つの章を切り出しました!
まずはこちらだけでもぜひご覧ください。
特に「原体験が生んだ想い」は医師の友人からも共感できると連絡をもらえているので、現場感をしっかり言い表せてると思います・・・!
⭐️ 原体験が生んだ想い - 医師として現場で見た「医療の真実」
私自身、医師になる時はこうして起業するとは思ってもいませんでした。純粋に良い医療を届けたいと思い、強度の高い教育で有名な病院で研修を積み、救命救急の道に進みました。(起業するつもりだったならもっと暇な病院に行ってたと思います😅)
しかし、そこで見た医療の真実が、"自分らしく選べる医療をすべての人に届けなければならない" という使命感とともに、私を起業の道へと突き動かしたのでした。
そして、その "医療の真実" は、私が働いていた病院だけの問題ではなく、医療業界全体の課題だと気づきました。これがその病院だけの課題であれば、もっとこの病院を良くするために頑張ろうとか、他の病院で働こうとか、の選択肢になっていたと思います。
医療の真実、それを一言で言うと、 "患者さんのために頑張っても、医師は報われない" ということです。(患者さんを救うことではなく、どれだけ論文を発表したかなどのアカデミックな実績が評価される文化があります)
もちろん、人の心としては人助けすることで満足感を得ることができますが、頑張った人が報われない、むしろ損をする、というのは構造上、質の高い医療を提供し続ける持続性がないと感じました。
スタートアップに例えると、
トイレなどオフィス掃除を自分たちでしなければいけない創業初期に、利他的に掃除をしていたらどんどん掃除を任されるものの、目標につながる業務にコミットする時間がなく、結果として評価が下がる、というような「人として良いことをしてるのに、評価は下がる」感じです。
"人として良いことをするか vs 自分のキャリアを進めるか" のトレードオフ構造になってしまっている状況でした。
だいたいの医師はゲームルールの理解が早い賢さをもってる人が多いので、1年立たないうちに、「一人でも多くの命を救いたい」という思いで医師になった友人が、どんどんこの文化に染まっていくのを目の当たりにしました。
これは医師が悪いわけではなく、むしろ構造の問題です。
多くの努力をして医師になったのに、ゲームルールに適用しなければキャリアが進まず、ここで終わりになってしまいます。
もちろん、"キャリアを進めるための論文" だけでなく、 "業務としての診療" もこなさなければなりません。
このような状況では、自分の業務を他の人にお願いしたいというインセンティブが起こりえます。救急車のたらい回しも同じです。
過疎地では自分が救急車を受け入れないとダメでも、都内では自分が断っても他の受け入れ先がある状況では、"業務としての診療" に全力を注ぎ続けるのも無理がありますよね。(医師が足りない過疎地よりも、医師が多い都市部の方が、救急車の受け入れ拒否が多く発生しています)
こういった医療の真実が浸透している現場で、
子供から大人まで "救えたはずの命が救えない" という不甲斐なさ
救うための熱量が空回りしたり、逆に煙たがられたり
ということを実感しました。
最初はちょっと違和感でしたが、何度もそういった場面と出くわすなかで、この状況が起こる背景を理解できたことで、違和感が確信に変わりました。
患者さんやその家族の立場で「自分ごとだったら許せるか?」という気持ちは変わらない。
でも結局は、誰が悪いでもなく、構造の問題。
最初は患者さんのために頑張っていたとしても、その頑張りが報われない、むしろ損をするという点では、医師も同じくこの構造の被害者です。
この不甲斐なさ、やるせなさからくる "怒り" を源泉として、医療業界の構造を変えるため、起業しました。
⭐️ 投資を拡大するLifeDoctor事業とは?
調達金額を活用し、新たに開始するLifeDoctor事業は、欧米では当たり前になっている、家庭医を日本で普及させるためのサービスです。
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欧米では、先祖代々Aクリニックにかかっている、というように、" 一家に1人、かかりつけの家庭医 "が決まっています。
お腹が痛い、健診でがんの可能性があると言われた、子供の受験が心配で眠れない、など、包括的な悩みに対して寄り添い、必要に応じて専門医に紹介する機能を果たしています。
家庭医の役割は包括的なケアだけでなく、その人の価値観・人生観を尊重して提案し、患者個人だけでなく、家族の健康もケアする存在です。
まさに、人生に寄り添うドクターが海外の家庭医です。
一方、日本では国民皆保険制度によるアクセス性の良さや、Specialistを好みやすい日本の文化からも、症状に合わせて専門医を受診するというパターンが多く、包括して診療してもらう家庭医という概念が浸透しませんでした。
結果、医療アクセスは良いが、信頼して相談できる医師はいない、という状況になっています。
些細なことも相談できる信頼できる医師がいないと、自分らしい医療も選べません。
今の医療課題は、テクノロジーが足りないことが問題ではなく、医師との信頼関係を構築できないことが原因のほとんどだと思ってます。
例えば、日本の死因で多い脳梗塞や心筋梗塞などの病気は、生活習慣病(糖尿病・高血圧など)のケアで予防することができるものの、
" 糖尿病で3ヶ月に1回薬をもらいに行っても、自分が置かれてる生活状況を理解してもらえず、毎回医師から食べ過ぎを怒られてしまい、信頼できなくなって通院を中断してしまった "
" 健康診断で高血圧が発見されたけど、その後行った医師を信頼できなくて放置してしまった "
ということが非常に多いです。
その結果、生活習慣病が悪化し、脳梗塞や心筋梗塞を発症し、救えたはずの命が救えないことが起こります。
自分の気持ちや価値観に寄り添ってくれる信頼できる医師がそばにいれば、そういった命を救うことができます。これは、生活習慣病が原因になる疾患での死亡率が高い今の日本においては重要なことだと思います。
海外で一般的な家庭医を日本でも普及させるため、ドクターズプライムではこれまでの医師評価事業で蓄積した3万人の医師データを活用して、自分の人生に寄り添うLifeDoctor(欧米の家庭医)をすべての人に届けます。
⭐️ これから目指す世界
ドクターズプライムは「人の人生に寄り添う医療」を推進する会社を目指しています。
例えば、キャリア・生活・ライフイベントの領域ではリクルートがゆりかごから墓場までのあらゆる人生のステージにおいて、また、衣食住であれば、ユニクロ・イオン・ニトリなど、「人の人生に寄り添う」に取り組む日本を代表する企業はたくさんあります。
けれど、医療という領域では、人生に寄り添うことをテーマに取り組む企業はこれまでなかったと思います。
「自分らしく選べる医療」を通じて、すべての人が健康で自由な時間をより多く得るように。人の人生に向き合う医療サービスを提供し、医療の在り方を変えていく存在になりたいと考えています。
学生時代は怪我して整形外科、家庭を持ったら小児科、年齢を重ねたら内科、など、人生の各ライフステージにおいて、必要になる医療の種類は異なります。
しかし、どのライフステージにおいても、安心して気軽に相談できるLifeDoctorの存在は欠かせません。
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また、自分らしく選ぶ医療は、治療だけでなく、予防も含まれます。
治療を受けるときには、"医師評価の仕組み"で、質の高い医師にアクセスできる
より健康になるために予防するときには、"医療情報の民主化"で、Self Medication(自分で自分の健康をつくること)できる
「医師評価の仕組み」 と「医療の民主化」で、自分らしく選べる医療を実現していきます。
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自分らしく選べる医療の実現のために、ドクターズプライムは、治療は医師のサポートで、予防は自分の力で、健康になる仕組みを提案します。
Academia・Work・LifeDoctorの3つの事業で今までなかった医師評価制度を構築することで、治療が必要なときに、信頼できる医師のサポートで患者主体の医療を受けられる仕組みを作ります。
そして、医療情報の格差をなくすことで、自分で自分の健康を作る仕組み(予防を中心としたSelf Medication)を作ります。Myカルテに蓄積された治療や行動結果をもとに最適な行動を提案するため、使うほどに健康になります。
治療も予防も、信頼できるLifeDoctor(家族のように信頼できる医者)がサポートすることで、自分らしく選べる医療を実現します。
さらに、世の中にある他社の医療系のサービスをより浸透させるために、医師の評価データを活用を考えています。
前述の"医師として現場で見た「医療の真実」"の章でも書きましたが、日本の医療には「患者さんのために頑張ろう」と医師が一歩踏み出すための仕組みがありません。
そのため、どれだけ患者さんのためになるサービスを世の中にリリースしても、医師が使おうとならなければ浸透しません。
医師の本音としては「患者さんのためになるのは分かったけど、僕らの手間増えるよね?」です。(もちろん建前上は「診療の質が下がるかもしれないから患者さんにとって良くない」などオンライン診療と同じようなテイストの回答になり得ます)
どれだけ患者さんにとってためになるサービスであっても、医師が利用するインセンティブを構築できなければ浸透しないんです。
ドクターズプライムではこれまで、ルールの明確化とインセンティブ設計による"医師評価の仕組み"を構築してきました。
その医師評価の仕組みに、他社が提供する患者さんのためになるサービスの活用もルールとして組み込むことができます。
A社のサービスは医師の利用が促進されてないけど、患者さんのためにはなる。であれば、その他社サービスをドクターズプライムが評価に組み込むことで、医師の利用を促進することができます。
ドクターズプライムが提供するサービスだけでなく、世の中に存在する他社のサービスも含めて、患者さんのためになる医療が促進されるエコシステムを作れたらなと思います。