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「1秒」で財務諸表を読む方法

仕事に使える会計知識が身につく本

「会社の数字」の基本がわかれば、経済現象や経営のカラクリが見えてくる!

著者、[小宮一慶]株式会社小宮コンサルタンツ代表取締役。明治大学大学院会計専門職研究科特任教授。この本は会計知識を身につけ、そしてその知識や考え方をビジネスに生かしたいと考えている皆さんのために、そのポイントやものの見方を提供するものです。


「1秒だけ財務諸表を見るなら、どこを見るか?」

それはズバリ、短期的な負債の返済能力です。企業はたいていの場合「流動負債」を返済できなくなって倒産します。流動負債とは、1年以内に返済義務のある負債です。その流動負債を返済するための資金繰りがつかなくなると倒産に直結するのです。

流動負債をまかなうだけの流動資産(現預金、売掛金、棚卸資産など)があれば、まず、当面は大丈夫というふうに考えます。貸借対照表(B/S)には、流動資産の合計と、流動負債の合計が普通は記載されていますから、一瞬でその判断はできるはずです。

しかし、残念ながらこれはあくまでも一般論です。教科書的には流動比率(流動資産÷流動負債)は120%以上あるのが望ましいと書かれていますが、実は業種により大きく違います。

小売業など「日銭」が入る業種は、流動比率が100%を下回っても大丈夫ですし、インフラ系のキャッシュフローが安定している会社の場合は60%程度でも十分に資金が回ることもあります。一方、現金化が遅い会社の場合、120%でも資金繰りがしんどいこともあります。

ケースバイケースで考えなければなりませんが、とにかく一般的には流動資産と流動負債の額を比べることで、1秒で会社の短期的な安定性についてある程度判断できるのです。

短期的に最も大切なのは手元流動性

安定性の指標として「手元流動性」という言葉を覚えておいてください。実は経営的にはこれが一番大切です。第一優先順位です。
式で表すと「(現預金+すぐに売れる有価証券等)÷月商」です。月商は損益計算書(P/L)の年間の売上高を12で割って計算します。

1秒だけ決算書を見るなら「流動比率」なのに、なぜ手元流動性が一番大切なのかというと、貸借対照表などの決算書は、決算から最低でも2ヵ月くらい経ってから公表されます。そんな古い情報を得ても対応の仕方がありません。大切なことは、当面の資金繰りです。それを知るのに最も良いのが手元流動性なのです。

大企業で1ヵ月分、中小企業だと1.5ヵ月分くらいの手元流動性が常にないと心もとないでしょう。常に少しずつでもよいから、余裕を持った経営をすることが重要で、手元流動性がなければ、資金的にも精神的にも余裕をなくしてしまいます。「お客様第一」だったのが「資金繰り第一」になってしまったら会社はお終いです。

手元流動性が乏しくなり、余裕をなくしそうだったら、とにかく借金してでもよいから手元流動性を確保することが重要です。

まず、「損益計算書」とは

損益計算書は、企業のある期間の「損益」の状況を表したものです。例えば1年間にどれだけ儲けたか、あるいは、損したかを表しています。大切な指標に売上高があります。なぜ、売上高の増減が大切なのでしょうか。

それは、売上高というのは、その会社と社会との接点の大きさを表すものだからです。会社は商品やサービスを顧客に提供します。その代わりに、会社が受け取るのが売上高です。企業は社会に貢献しているわけですから、売上高は社会での貢献度合いということもできます。だから、売上高の増減は大切なのです。

資産と売上高の関係も大切

売上高との関係で重要なのは、「売上高の伸び率と資産の伸び率ではどちらが大きいか」ということです。正常なのは「売上高の伸び率>資産の伸び率」という関係であることです。もし、売上高の伸び率より資産の伸び率のほうが大きいということであれば、資産の活用度合いが悪くなっていると言えます。これを表す指標が資産回転率(売上高÷資産)です。資産の有効度合いを表した重要な指標です。

借金を返せる限度はどれくらい?

企業では、借入から現預金を引いた「ネット(純額)の借り入れ」が、その企業の年間の付加価値額(売上高から仕入れを引いたもの)を超えると資金繰りがしんどくなる場合が多くなります。利益がそこそこ出ている会社でも返済に回せる資金は付加価値のせいぜい1から2割程度です。3割を返済に回すのは通常の会社だと難しいでしょう。

会社の価値をどう上げる?

会社の価値を計算する方法はいくつかありますが、最も一般的なもののひとつが「ディスカウンティッドキャッシュフロー」と呼ばれる方法です。企業の価値についての基本的な考え方は、企業が生み出す将来のキャッシュフローを今の価値に直したものから、現在の有利子負債を引くというものです。式で書くと「将来のキャッシュフローの現在価値-有利子負債」です。

会社の価値を上げるには、将来のキャッシュフローを増やすあるいは有利子負債を減らすのいずれかということです。営業キャッシュフローを稼いでそれを未来投資に使えば、将来のキャッシュフローが増える、借入金を返済すればその分会社の価値が上がるということになります。「稼ぐ」「使う」は、実は会社の価値を高めていることそのものだということなのです。

人材は、最大の未来投資なのに、投資キャッシュフローにも貸借対照表にも載らない

「人材」は企業にとって最大の資源と言われながら、貸借対照表に資産として載ることはありません。人材を確保したり、人材を育成するためにお金を使っても、貸借対照表に現れないだけでなく、「投資キャッシュフロー」にも載りません。すべて経費です。会計上は、将来収益を生む源泉になるものは資産ですが、こと人材に関しては、すべて経費として処理されます。

しかし、企業も国もそうですが、人材育成にお金を投じることは将来を支える上で最も大切なことなのです。特にわが国は、資源も食料も乏しい国です。知恵を出すことが、日本が発展する最大のキーです。そのためにも人材育成、特に教育に資金を使うことが、最大の未来投資となると私は考えます。

「格差社会」がとりざたされたいますが、私は格差が生じることには必ずしも反対ではありません。しかし、すべての人に機会の平等は与えられるべきです。そのためにもやる気があり努力する人には、収入の多寡に関わらず、高等教育の場が与えられることが必要なことは言うまでもありません。

「売上高-費用=利益」よりも「売上高-利益=費用」

企業は利益を出さなければ存続が危うくなりますが、会計的に考えれば、利益は「売上高-費用=原価」で計算されます。しかし、現在の企業経営、特に上場企業の経営では、「売上高-利益=費用」という考え方で経営計画を作る企業が増えています。つまり想定した売上高から、出すべき利益をまず決めて、売上高からその利益を引いたものも範囲内に費用を抑えるという考え方です。

トヨタの場合は有名な「カンバン方式」で在庫を極限まで減らす試みなどを行っており、英語にまでなっている「カイゼン」を毎年続けてきていますが、それでもまだ「乾いたタオルを絞る」ように、経費削減を行っています。従業員全員に行き渡っているコスト削減、改善意識がやはり他社とはかなり違うレベルにあると言えます。

利益についての考え方~利益は執念ではなく、信念で出すのも

どこの会社でも「売上や利益を上げろ」ということを言いますが、そもそも、売上高や利益とは何かを十分に考えたことがあるでしょうか。それも自社の存在意義や目的と照らし合わせてです。

利益は、①企業の延命、②未来投資、③従業員の福利向上、④株主還元、⑤社会還元(税)の手段です。利益なしにこれらをまかなうことはできません。そう考えると、ある意味、利益は自社や社会を良くするためコストなのです。利益なしに、会社や社会が発展することはありません。だから、適正な利益を出すことにも信念を持たなければならないのです。

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経営者は財務諸表や管理会計の基本的な概念を知らなければならない。

だが、作成や管理するような専門的ことは必ずしも必要ない。

財務や会計の知識を使って事業をどこに向かわせるのかを考えるのが経営者の仕事だからだ。

「どれだけ利益を残せる」のか、「何に投資するのか」

利益を出せなければ誰も幸せになれない。

NPOでさえ利益がなければ運営できない。

自分のために、家族のために、周りの人のために、日本のために、果ては世界中の誰かのために、より良い生活や豊かさを得る、または与えるためには利益を出さねばならない。

私達が生きる資本主義の中では資本がなければ選択肢は非常に少ない、与えられるものも少ない。

「お金がすべてじゃない」と世の成功者が語る。

しかし、多くの場合資本があればうまくいきやすい。

私達が本当に「成し遂げたい」と思っていることに手が近づく。

「お金がすべてじゃない」と言える側にならないといけない。

そう言えるだけの資本を。

人に与えられるだけの豊かさを。

だからこそ、私は利益を絶対に出さなければならないと思うのです。

偉そうなことを書いている私は、財務や会計の知識があるのかといえば一般の人よりはあるくらいのレベルだと思う。

私と同じぐらいのレベルの方は一緒に勉強して頂けたらと思いますし、もっとレベルの高い方達は財務や会計をどうやって学んだのかコメントやDMで教えて頂けたら嬉しいです。

最後に、そもそも財務諸表を「1秒」では読めない。

私なら流動資産と流動負債を探すだけで数十秒は使う。

私の情報が少なからず皆さんのお役に立てればと思います。
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masashi_umaji
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