クリエイティブデザイナーの転職市場
~シュリンクしていくグラフィックデザイナーの活躍の場~
グラフィックデザイナーの求人案件が少なくなってきている今、市場ではどう変化が起きているのか。
現在、広告業界ではWEB媒体の仕事が増えている一方で紙媒体の需要が減っています。
加えて、流行りのクラウドソーシングによるフリーランス化が進み、さらに便利なITサービスが生まれることで、素人でも非常に魅力的なデザインを作り上げることが可能になると予測されています。
需要の減少とグラフィックデザイナーの増加により、何らかの付加価値を付けなければ、生き残る事が難しい職種となるでしょう。付加価値とは、ブランディングやアートディレクション、WEBの知見などが含まれます。
グラフィックデザイナーからのキャリアアップのパターンをお伝えします。
~グラフィックデザイナーからの道 ~3つのキャリア~
グラフィックデザイナーには3つのキャリアアップの可能性があります。
『アートディレクター』・『インハウス販促担当』・『WEBデザイナー』です。
■アートディレクターを目指す
アートディレクターは、デザイン・広告業界でいう映画監督のような存在です。企画、立案、提案、デザイン、編集に至るまでのプロセスすべての制作過程に関与するため、様々なチーム編成でのデザイン経験を体系化することのできる職種です。クライアントと向き合い、プロジェクトの意味や目的をきちんと把握した上でデザインコンセプトを決定し、その上でひとつひとつの制作物が全体の方向性からズレないように、デザイナーやクリエイターたちをアサインし、指揮を取ります。そして、出来上がったビジュアルに関する品質のすべてに責任を負う。それがアートディテクターの役割です。
また近年、クリエイティブの役割には様々な変化が起きており、クライアントが希望するものをカタチにするだけでなく、その上にある企業ブランディングや企業理念のコンサルティングから手がけるアートディレクターも増えています。実力が認められると社会的インパクトの大きい仕事を手掛けられる夢のある職種です。
アートディレクターには以下のようなことが求められます。
・クライアントの要望や考え方を引き出してカタチにする力
・豊富なクリエイティブの知識
・コミュニケーション能力やコーディネート力はもちろん、ビジネス感覚やマーケティングの知識
■インハウスの販促へのキャリアチェンジ
制作物としては店頭SPツール、自社商品パッケージ、商品自体のデザイン、看板、広告・チラシ、イベントのノベルティやイベントの細かなアイテムデザインなど多岐にわたります。
最終的には会社全体のデザインやコンセプトを統括する立場までと、会社にとって大きな役割を担うポジションです。
近年、代理店や制作会社などへの外部発注をせず、自社内で制作する内製化が進んでいます。そのため事業会社での販促担当の需要が伸びています。
■WEBデザイナーへのキャリアチェンジ
グラフィックデザイナーからWEBデザイナーへの転職は現在増加しているキャリアチェンジの1つです。WEBデザイナーになるにはコーディングの勉強は必須です。HTMLやCSSの知識・スキルの勉強も重要になります。実際にコーディングをしない場合でも、コーディング工程も視野に入れたデザイン制作ができるかどうかは、デザイナーとしての評価に大きく影響します。
グラフィックデザイナーにとってデジタル領域へのキャリアチェンジをするめには独自でコーディングの勉強をすることや、スキルを取得する必要があります。
ただ基本的なデザインスキルはそのまま活かすことが出来ます。グラフィックならではの、奥行きのあるデザインは近年のWEBデザインでも必要とされます。
グラフィックデザイナーの制作物は印刷すると一旦終了するものが多いですが、WEBは常に改善対応しなければいけない生き物のようなものです。従ってグラフィックデザイナーにとっての根本的な考え方は変えなければいけません。
WEBデザイナーとグラフィックデザイナーの違いは以下のような内容です。
・HTML、CSS、JavaScriptなどの「コーディング」というシステム的な知識が必要
・WEBデザインはブラウザやパソコンのOSごとの見え方の確認作業が必要
・グラフィックは決められた中に必要な情報を簡潔に収めるデザイン。いわば、引き算のデザイン
・Webデザインは情報更新型の「足し算のデザイン」
・決められたスペースに収めていくデザイン(=グラフィックデザイン)と、スペースをさほど気にしなくても良いデザイン(=Webデザイン)
・紙とWebが大きく違う部分は、ユーザーが「操作」をすること
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?